Daedraとの戦闘になり議事堂の中は一時騒然となった。
ガードや議長の応戦でその場のDaedra達は倒されたが、この場で新手を待ち構えても全滅する可能性が高いと、マーティンはTemple of the Oneへ進撃すると宣言した。
外に飛び出すと、空はOblivion Gate内の様に真っ赤に染まり、Daedra達が暴れまわっていた。
マーティンは自分をTemple of the Oneまで導いてくれと叫んだ。
[0回]
Temple of the Oneのある区域までたどり着くと、すでにOblivion Gateがいたる所に開き、Daedraに周囲を占領されていた。
早くTemple of the Oneへ入ってDragonFireを、と建物の前に回り込むと、巨大なDaedraが立ち塞がっていた。
時すでに遅く、破壊の王Dagonはこの世界に降臨してしまったのだ。
果敢に立ち向かっていたガードたちは無残に殺されてしまっていた。
呆然と見ていた私にマーティンが駆け寄ってきた。
「Dagonを降臨させてしまった・・・くっ、遅かったか」
マーティンも動揺が隠せない様子だった。
「奴には人が作った武器など通用しない。もはやDragonFireで追い返すことなど出来ん。我々の望みは絶たれてしまった。いったいどうすればいいのだ!」
「マーティン、ごめんなさい、私がアミュレットをもっと早く取り戻しておけばこんなことにはならなかったのに!」
「アミュレット・・・」
マーティンはアミュレットという言葉に何かを閃いたらしい。
「・・・そうか、王のアミュレットは神が造りだした物。それを武器として使うことが出来れば・・・しかしどうやって?こうなったら一か八かだ、最後の望みに掛けよう。さあ、Temple of the Oneへ!」
マーティンは私を連れてTemple of the Oneへ入った。
そして振り向き、意を決した顔をして言った。
「友よ、これから言うことをよく聞いてくれ」
「マーティン、どうしたの?」
私は不安を隠しきれなかった。
「Dagonに勝つ方法があるの?まさか・・・」
それ以上は怖くて聞けなかった。
「先に・・・謝らなければならん。君を力付けるはずの言葉が、結果的に君を傷つけてしまったことを」
マーティンは悲しげな顔をした。
「君が元の世界に戻る方法を共に探そうと言ったが、それは嘘になってしまった。Dagonを倒すには私の命を神に預けるしかない」
「待って!何を言ってるの!?」
私は思わずマーティンの腕を掴んで叫んだ。
「嫌よ!一緒にいてちょうだい!戻る方法を見つけるって約束したでしょ!?お願い、行かないでぇ・・・!!」
不安に押しつぶされ、最後の方が泣き声になっていた。
「・・・今ここで私が犠牲にならなければ、世界は終わってしまうんだ」
マーティンは固い表情で答えた。
「嫌よ!私にはマーティンが必要だわ!例えこの世界が救われたって、マーティンが居ないと私は終わりなのよ!」
世界の平和と私の我侭とどちらをとるかなんてマーティンに言う事自体、愚か過ぎる言動だとわかっていたが、それでも引き止めずにはいられなかった。
だが、マーティンは怒ることはなかった。
優しい目で、じっと私を見て言った。
「友よ、気をしっかり持つんだ。君が愛しているのは私ではなく、別の世界の私だろう?君は彼の為にも元の世界に戻らなければならない。その為には今ここで世界を救わなければ、君が戻ることは永遠に叶わなくなってしまうんだ」
「マーティン・・・」
いつの間にか涙が溢れ出しマーティンの顔がぼやけてきていた。
「元の世界に戻る術は必ずある。何があっても諦めるんじゃない。そして今の君ならわかるはずだ、この運命を変える方法が。戻ったら君の世界の私と共に運命を変えてくれ」
「いや、いやよ・・・無理よ。私一人じゃもう何も出来ない・・・」
すがり付こうとする私の手をマーティンはそっと払いのけて、寂しそうに笑った。
「短い間だったが、君と出会えて私は幸せだった。次は君が幸せになる番だ。さらばだ友よ、龍が私を呼んでいる」
その時、物凄い音がしてDagonが建物の壁を破り、マーティンは部屋の中央に向かって走り出した。
「マーティンーーー!!」
私は悲鳴にも似た声で叫んだ。
彼の胸元から光が溢れ、体が上空へと浮き上がっていった。
マーティンの姿は巨大なドラゴンになり、Dagonに襲い掛かっていった。
凄まじい光景だった。
神同士の戦いを私はただ黙って見守るしかなかった。
Akatoshの化身となったマーティンの一撃でDagonは致命的なダメージを受け、敗北した。
後に残ったのは巨大なドラゴンの石像。
マーティンはもう戻ってくることはなかった。
あたりは静けさを取り戻し、パチパチと音を立てている残り火からくすぶる煙と風の音だけが聞こえていた。
Dagonは倒され、Oblivionとこの世界を繋いでいた道は消え去った。
世界は平和になったのだ。
マーティンの尊い犠牲で。
泣きたいのに、もう、声も涙も出ない。
顔を震える手で被ったまま、ずっとその場から動けなかった。
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