私たちは帝都に到着すると、まっすぐ目的地の議事堂に向かった。
先に中へ入っていったマーティンの後に付いて私も入った。
「お待ちしておりました、Martin Septim殿下」
奥から声がしたので振り向くと、元老院議長のOcatoが腰を屈めて敬礼していた。
「この日が来ることをどんなに我々は待ちわびていたことか。正式な皇位継承者をお迎えできた事、とても光栄でございます」
Ocatoはマーティンを直視してはいけない存在の様に目を合わせないまま深々と礼をした。
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「君がOcato議長か」
マーティンが訪ねると、Ocatoは恭しく返事をした。
「はい、殿下。私が元老院の最高議長Ocatoでございます」
「顔を上げてくれ。私はまだ正式に皇位を継いでいないのだから、堅苦しい挨拶は必要ない」
Ocatoはいえいえ、と首を横に振った。
「滅相もございません殿下。貴方様は神聖な存在ゆえ無礼を働くわけにはまいりません」
Ocatoの礼儀正しく丁寧な応対を見ていると、マーティンはやはり普通の人とは違うんだ、と改めて私は思い知らされた。
「議長、あまり時間がないんです。元老院は殿下を皇帝として受け入れてくれるのか早く教えて下さい」
私が尋ねると急にOcatoは立ち上がり、私をじろりと睨み付けた。
「誰だ君は?馴れ馴れしく話しかけおって」
私は目が点になった。
Ocatoは私を覚えていなかったのだ。
「私はBruma防衛の時に応援を頼みに来た寺院からの使いよ、忘れたの?」
ああ、とOcatoはしかめ面で頷いた。
「あの件では協力出来ずすまなかったな。しかし結果的に勝利した所、初めから軍を出すほどの危機ではなかったのではないか」
Ocatoのぶっきらぼうな言い方に私は思わずカチンときた。
協力してくれていれば、誰も死なずに済んだかもしれないのに!
私の苛立ちを察したのか、マーティンが間に入った。
「議長、彼女は私をここまで導いてくれた大切な友人だ。この世界を救いに導く要でもある。軽んじた言動は控えてくれ」
「ふむ、要ですか。見たところ、その女はこの国の者ではありませんな。なぜその様な他所者を殿下のお側にお仕えさせたのですか?」
私を疑っているようなOcatoの言葉にマーティンは気を悪くしたらしく、威圧的な口調で言った。
「まて、今はそんな話をしている場合ではないだろうが。私がなぜここへ来たかわかっていないのか?」
「はっ、申し訳ございません。すでに元老院は殿下の皇位継承問題の結論を出しております」
Ocatoは腰を屈めて丁重な言葉でマーティンに述べた。
「元老院の代表として、Martin Septimの即位を承認し、速やかに戴冠式を執り行う事を誓言致します」
「よかったわね、マーティン!」
「ああ」
マーティンはにっこり微笑んだ。
「後はDragon Fireを灯せば戴冠式を迎える準備が整う。さあ、神殿へ急ごう」
その時、外からバタバタと物音がして伝令が議事堂に飛び込んできた。
「Ocato議長!大変です、市内にOblivion Gateが大量に開いてDaedra達があふれかえっています!!」
「なんだと!」
私たちが身構えるやいなや、伝令が駆け込んできた背後の扉からDaedra達がなだれ込んできた。
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