「おお、友よ、よく戻ってきてくれた」
Camoranを倒し、パラダイスから戻ってきた私を迎えてくれたのは皇帝の衣装をまとったマーティンだった。
「君が戻ってきたということは、Camoranを倒したということだな!?」
マーティンは興奮気味に尋ねてきた。
「ええ、Mythic Dawnの脅威は消えたわ。さあ陛下、これを受け取ってください」
私は手に握っていた王のアミュレットをマーティンに渡した。
マーティンはそれを受け取り、自らの首にかけ嬉しそうに言った。
「アミュレットを取り戻したことで、我々にも希望が見えてきた。Camoranは倒したが、DragonFiresを灯すまでDagonの侵攻は止まる事はない。急いで帝都に向かおう」
扉に向かって歩き出したマーティンを私は呼び止めた。
「ま、まって、今からすぐに行くの?」
「当たり前だ。急がなければ手遅れになるんだぞ?」
マーティンは何を言っているんだ、という顔をした。
「Dagonが降臨してからDragonFiresを灯しても遅いんだ。戻ったばかりなのに急かして悪いが、私を帝都へ案内してくれ」
今のマーティンに焦っては悪い方向にいくのではと忠告しても怒られそうでとても言えなかった。
[0回]
二人で外に出ると、外は信じられないほどいい天気だった。
まるでこの世界が深刻な状況になっているとは考えられないほど見事な青空が広がっていた。
「そうだ、君に話しておくことがあった。Temple of the Oneに向かう前に元老院のOcato議長に会いたいので、先に案内してほしい。現在この国を統治しているトップが彼なら、先に会っておいた方がいいだろう」
「わかったわ、案内すればいいのね・・・」
浮かない顔で返事をすると、マーティンは励ますように言った。
「友よ、もう少しだ。辛いだろうが私がDragonfiresを灯すまでがんばって耐えてくれ。それが終われば、君が元の世界に戻る方法を一緒に考えよう」
「・・・え!?」
私は驚いてマーティンを見た。
「元の世界って、どうして急に?私がどんなに話しても、それは夢だって言って信じてくれなかったのに!」
不思議なことにマーティンからは冷たさが消え、かつてのマーティンのような穏やかさが戻っていた。
「君が話すことは、夢にしては出来すぎているとずっと不思議に思っていたんだ。夢だけで私のことを詳しく知っていたり、親しくもないガードキャプテンの死を嘆き悲しむなどありえない。それに私を見る時の君の目は私でなく、違う私を君は見ていた」
「どうして、どうしてそんなことがわかるの?」
「わかるさ。君が私を見る目は好きな人を見る時の目付きだったからね」
私はマーティンが照れた様な笑みを浮かべて言うので思わず赤面した。
「鈍そうな男に見えるかもしれんが、結構気は利く方なんだ。今まで君の話をまともに聞かなかったのはアミュレットの奪還を急ぐためだった。その為とはいえ冷たくあしらったことは君を酷く傷つけただろう、すまなかった。Dragonfiresを私が灯して世界を救ったら、次は君を助ける番だ」
元の世界に戻る事を諦めかけ、閉ざされかけていた私の心は、思いがけないマーティンの言葉で救われ、涙がぽろりとこぼれた。
「ありがとう、マーティン、ありがとう・・・」
「はは、君は泣き虫だな。泣いてばかりいると運がなくなるぞ?もう泣くのはやめなさい」
アミュレットを取り戻したことで、マーティンは希望を見出したらしく、明るい表情を見せていた。
帝都へ急ごう。
Dragonfiresを灯せば、世界に秩序は戻り、私も元の世界に戻ることが出来るかもしれないわ。
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