「でもいくら愛情表現だからって蹴られたら痛いですよね。あ、好きだったら痛くないのかな」
「痛いもんは痛いさ。まともに喰らったらヤバイぜ。まあ、今では俺も慣れてギリギリ避けるタイミングがわかったけどよ」
軍曹はもう扱いも手馴れたものさ、とニンマリした。
[0回]
「で、軍曹は将軍が好きなんですね!」
目を輝かせて尋ねる伍長に軍曹は苦笑いで返した。
「HAHAHA、そんなに俺の口から好きだって言わせたいのか」
「ハイ、聞きたいです!言っちゃって下さいよー、僕だれにも言いませんからー」
軍曹はふうっと、深呼吸をして真剣な目をした。
「よし、誰にも言わないなら言ってやろう。俺はあいつのことが好きさ!」
「やった、言った!いよっ軍曹、オトコマエ!ひゅーひゅー」
伍長は陽気に軍曹を囃し立てた。
「止せよ、照れるだろ。でもな、でも、あいつは全然俺の気持ちをわかってくれなくてよ」
軍曹の声は急に辛気臭くなった。
「周りが認めてくれても、本人が認めてくれねえのは辛いな。俺はこんなに好きなのに、ううっ・・・」
軍曹は酔うと泣き上戸になるらしく、男泣きしながらビールをがぶがぶと飲んだ。
「ええ?じゃあ将軍は軍曹のことを好きじゃないんですか?」
「そんなこたぁない。好きさ、絶対好きだ。俺に対するキツイ言葉は好いてるからこそぶつけてこれるんだ」
(・・・あきれた男だ。私がどんなに嫌いだと言っても変に自信だけは失わないんだな)
間違ってはいないが、軍曹が自信ありげに言われると、反射的に違うと言い返したくなってくる。
筒抜けになっている2人の会話をそろそろ止めるか、とMiariが思った時、外から客が入ってきた。
ガラがあまり良くない3人組の男だった。
彼らはMiariの姿を見つけると、ヒソヒソと内緒話を始めた。
「お、兄貴、若い女が1人でいますぜ」
「WOW!イかしたketuのねえちゃんじゃねーかオイ」
「ここらでは見ない顔だよな。よし、声かけて俺たちが遊んでやろうぜ」
3人組はMiariに近づいて馴れ馴れしく声をかけた。
「よう、カノジョ~コンバンハ」
「1人で突っ立ってどうしたのさー?お酒飲まないのかい」
「・・・なんだお前たち」
急に声をかけられ、Miariは怪訝な顔をして振り向いた。
「1人ならさー、俺たちと遊ぼうよー」
「そうそう、お酒おごるからさー」
「すまないが私は1人じゃない。人を尋ねてここへ・・・」
Miariは断ったが、しつこく3人組は誘ってくる。
「付き合い悪いなあカノジョォ~、どう見たって1人じゃーん、照れなくていいから一緒に飲もうよー」
「ね、ほらほら席に着こうよ」
3人組の一人の手が、Miariのお尻をポンとタッチした。
PR