客もまばらな平日の夜の酒場で、酒を1人飲む軍曹の姿があった。
百戦錬磨の軍曹だったが、任務を受けたことに不安を覚えないわけではなかった。
[0回]
今まで考えたこともない『もし失敗したら』という思いが、今回はやたらと脳裏を過ぎる。
受けた任務を辞退するつもりはないが、不安な気持ちを落ち着かせるため、1人で酒をあおっていた。
「・・・曹、・・・軍曹」
なんだってんだ、こんな女々しい気分になってしまうなんてよ、俺らしくもない・・・。
「Burd軍曹!」
「ん?」
考え込んでいた軍曹は何度か呼ばれてようやく振り向いた。
「おや、Cariusじゃないか、こんな所にどうした」
「どうしたって、軍曹こそ1人で何寂しく飲んでいるんですか。言ってくれれば僕が付き合ったのに。おや、もう出来上がってるんですか?」
「俺がたかがビール5杯で酔うかよ、寝言は寝て言えってHAHAHA」
そう言って笑う軍曹の吐く息から強い酒の臭いがした。
「で、俺に何か用か?」
「昼間の写真が出来上がったので持って来ましたよ」
伍長は写真を軍曹の前に差し出した。
「何?わざわざ持って来てくれたのか、ありがとうよ」
「軍曹が届けてくれと言ってたじゃないですか。大丈夫ですか?忘れたなんて相当酔っているんじゃ・・・」
「いや、全然酔ってない。で、このナイスガイは誰だ?」
「・・・僕にそれを言わせても面白くないでしょ軍曹」
軍曹の冗談か酔いでボケたのかわからない問いに伍長は困惑した。
「そうだ、今のは将軍に言われてみてはどうでしょう。ところでなぜ将軍と一緒に写真を撮ることになったんですか?」
「・・・理由か、そのくらい察してくれよ」
軍曹は酒の影響も手伝ってか、頬を赤くして照れている。
「あ、わかった、軍曹は将軍のことが好きなんですね!!」
「おいおいおいお前、それはストレート過ぎるぞ。遠まわしに尋ねるってことを知らないのか」
伍長に文句を言いつつも軍曹の表情は言葉とは違い緩みきっていた。
「将軍はー・・・怖い女で鬼将軍として通っているが、あれは表向きの顔だ。実際は違うんだぞ」
「へええ、どう違うんですか?」
「シャイだな、うんうん。俺は良く蹴りを入れられるが、あれは俺に対する愛情ツッコミ表現ってわけよHAHAHA」
(軍曹見つけたぞ・・・と、なんだ、伍長と一緒だったのか)
Burdを捜して酒場まで来たMiariは、今2人の会話に割り込むのは悪いな、と遠くから眺めた。
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