軍曹に対して尊大な態度しかとれないMiari将軍だったが、内心は軍曹の事が気になっていた。
ぼんやり考えながら施設内を歩いていると、声をかけられた。
「浮かない顔をしてるな」
はっとして顔を上げると、そこには父親のHassildor元帥がいた。
「・・・お父様!」
「将軍、ここでは私のことを元帥と呼べと言ったのを忘れたかね」
「申し訳ありません、元帥」
将軍は頭を下げ謝った。
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元帥はしばらく無言で将軍を見ていて、そっと尋ねた。
「Burd軍曹と一緒ではないのかね」
「なぜ私が軍曹と一緒にいる必要が?」
「知っていたのではないか?彼が危険な任務を受けていることを」
「・・・知っています。が、内容までは・・・軍曹が受けた任務とはどれほど危険なのですか」
尋ねると、元帥は少し言い難そうに答えた。
「彼には幾つかの異次元世界を調査する任務を任せることになった。それぞれの文明や資源の調査が主だが、実験的な任務故、実際のところ危険度は計り知れん」
「いったいどのような世界に軍曹を?」
「我々と同じもう1人の人間が生きている世界だ。友好的な人々の世界なら良いのだが、そうはいかん世界もあるだろう。それに元の世界に戻ってこれなくなる可能性も0ではない」
「ではなぜその様な任務を軍曹に任せたのです。適任者は他にもいたでしょうに」
「体力、知力の高さは必須だが、今回の任務で一番重要とされるコミュニケーション能力が彼は特に優れているのだ。軍曹は誰とでも親しくなれる不思議な魅力を持っている。それはお前もよくわかっているのではないかね」
「元帥、私は軍曹がなぜそのようなリスクの高い任務を受けたのか、理由がわからないのです。私の婚約者だと言い張るならなぜなのか・・・」
「任務達成の暁には、お前が婚約者として納得せざるを得ないような階級に彼を昇格させることにした。軍曹は喜んでいたが、他にも受けた個人的理由はあるかもしれん。それは本人に聞くべきことだろう」
「元帥、昇格のためにそんな危険な任務を引き受けるなど愚かな考えだと私は思います。軍曹に任せることはない、どうか別の適任者を・・・」
「軍曹のことが心配か。それとも遠くに行ってしまうのが寂しいのかね?」
「いえ、上官として優秀な部下を失う可能性に喪失感を感じているだけです。それでは私は用事がありますので失礼します」
将軍は一礼し、通路の奥へと消えた。
「やれやれ、あの強情さはいったい誰に似たのかね・・・」
何が何でも素直になろうとしない娘の態度に、元帥は深い溜息をついた。
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