「軍曹、危険な特殊任務を受けたと聞いたが、本当なのか」
2人だけになると、Hassildor将軍が徐に尋ねてきた。
「おや、俺の任務は極秘扱いになっていたはずだが、なぜ御存知なので?」
「元帥と宇宙研究施設の者が会話をしているのを聞いた」
「偶然聞いたのか?それとも盗み聞きかな?なんにしろ俺に聞くということは心配してくれているんだろ、hahaha」
親しげに話す軍曹と違い、Hassildor将軍は素っ気無く淡々とした態度のままだ。
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「いや、私は任務の内容が気になっただけだ。私を通さない任務とはいったい何なのか気になってな」
将軍の表情からは、軍曹を心配している感じはまったくない。
「すまん、秘密厳守でね」
「私にも話せないということは、危険な任務なんだな」
「知りたければ元帥にお尋ねされてはどうかな?今言えるのはブラックホールに吸い込まれかけた3年前の任務より安全だろうってことさ。それに俺にはこの幸運を呼ぶ相棒がついている」
「・・・酷いポンコツだな。まだこのような旧式の宇宙戦闘機に乗っていたのか。もっと良い最新型機を与えるよう私が頼もう」
「いや、十分だ。気持ちはあり難いが、俺は引退までこいつと添い遂げると誓っていてね」
将軍は視線を戦闘機に向けたまま聞いた。
「・・・出発はいつだ」
「一ヵ月後の予定だ。いろいろと面倒な準備が必要でね、それ位まだかかる」
「一ヵ月後か・・・帰るのはいつだ」
「わからん」
「長期任務なのか」
軍曹はフッと笑った。
「行き先が行き先でね、長い旅になるかもしれん」
そうそう・・・と軍曹は将軍に恭しく向き直り言った。
「Hassildor将軍、今夜俺に付き合ってもらえないだろうか」
「付き合えだと?お前は誰に向かって命令をしている」
「命令?滅相もない。俺は将軍の君ではなく婚約者の君に側にいてくれないかと頼んでいるんだ」
そう言って軍曹は将軍の腕を掴んだ。
「婚約者・・・なんのことだ」
将軍は怪訝な顔をした。
「とぼけるのもいい加減にしてくれよ、Miari Hassildor。俺たちの関係なら人前でも仲良くしてもいいと思うんだが」
軍曹は将軍の腕を掴み、自分の側に引き寄せた。
顔を近づけ、軍曹は将軍に口付けしようとした。
将軍は笑みを浮かべて大人しく応じる素振りを見せたが、突然腕を伸ばし、一瞬の間に軍曹の背中の銃を奪い取った。
「!!」
「ふざけるな軍曹。貴様に婚約者呼ばわりされる権限を与えた覚えも、馴れ馴れしい口を聞かれる覚えもない」
Hassildor将軍は軍曹から奪った銃を構え、冷笑を浮かべながら銃口を向けた。
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