Burdコンビは手際よくその日の内に武器庫の改修工事を終了させた。
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「兄弟、俺達の新しい仕事場が完成した!おめでとう!」
「軍曹殿のお陰で見違えるように素晴らしい施設になりましたな。これなら何でも作れそうです」
設備が整ったので、早速物干し台製作に取り掛かることになった。
「兄弟、頼んでいた材料は手に入ったか?」
「刃こぼれして使えなくなった刀を頂くことができました。これを使って下さい」
「・・・これだけ?だめだ、もっと必要だぞ兄弟」
数本の刀では物干し台用の金属パイプを作るのに不足過ぎた。
「ふむ、どれくらいの量がご入用ですかな?」
「そうだな、あと50本ぐらいは軽く必要だろうな」
「ではすぐに探してきます。寺院に無ければBrumaまで行って調達してきましょう」
Burdはしばしお待ちくださいと言って、武器庫を出て行った。
希望の金属が鍛造できるか試しに作ってみようと軍曹が作業に取り掛かるとMiariが様子を見に武器庫へ入ってきた。
(あれ、Burdしかいないわ、軍曹どこか行ったのかしら)
軍曹に話しかけてみようと勇気を出して来たMiariだったが、Burdしかいないのを見て少しほっとした。
マッチョでタフなBurdに鍛冶の姿はよく似合っていて、Miariはしばらく後姿に見惚れていた。
「Burd、調子はどう?」
軍曹は手を止めて振り向いた。
「おや、いつからここに?気が付きませんでしたよ」
「うふふ、忙しそうだったから声掛け難かったのよ。それにしてもBurdの鍛冶姿って絵になっててかっこいいわね。体格がいいから余計に似合うのよね」
「おお、お褒め頂いて光栄です。お陰で気も引き締まってきっと良い物が作れますぞ」
「あら、いつもなら私が褒めても『変なこと言ってないで邪魔だからあっち行っててください、気が抜けますっ』って怒るのに、寛容なのね」
「そんなこと言うなんてとんでもない!見学したければずっと見ていていいんですよ。綺麗な女性が応援してくれるなら力もやる気も沸いてきますからな」
「やだ、おだててるの?今日のBurdなんか変よ?」
軍曹とBurdが入れ替わってることを知らないMiariは、Burdがさらっとキザなセリフを言うので不思議に思った。
「おだててはいませんよ、思ったことを言ったまでです。うーむ、困った、温度が上がらないな・・・」
軍曹は溶炉の火を見ながら唸った。
「高温にするためには高純度の燃料が必要不可欠か、参ったな」
「燃料?薪を燃やすだけじゃだめなの?」
Miariが尋ねると、軍曹は頷いた。
「溶炉を高温にする為の熱量が薪の火力では出せそうに無いんだ。これはコークスかそれに変わる代替燃料が必要だろうな・・・」
「コークス?ナニソレ」
Miariは聞いたことが無い名前や説明が次々とBurdの口から出てくるので目をぱちくりさせた。
「ん?ああ、黒い石みたいな外見の燃料さ。発熱量が高く有害な酸化ガスを出さないので金属精製に向いているんだ」
「Burd、貴方ガードだったのになぜそんな鍛冶のことに詳しいの?」
「いざという時、自分で武器を調達するためには必要最低限な知識ですからな、知ってて当然です」
「ふぅん、そうなんだ。あ、黒くて燃えそうな石なら私持ってるわよ」
そう言ってMiariは石を持ち出してきて軍曹に見せた。
「な、なんだこれは?」
黒い石から赤い光が漏れ出している奇妙な石に軍曹は驚いた。
Miariは初めてSigil Stoneを見たような顔をしたBurdにきょとんとした。
「なんだこれって、Sigil Stoneじゃない。BrumaのOblivion Gateを一緒に閉じに行ったことあったでしょ?その時に入手した石よ、忘れたの?」
「あ、ああ~あれか。失礼、随分前のことだから忘れていたよ」
「Burdったらしっかりしてよね。物忘れする様な歳じゃないでしょ?で、これ使えそう?」
軍曹から見るとSigil Stoneは謎の物質だったが、熱と光を発しているあたり、ボイラーでエネルギーに変換することは可能のようだ。
しかし一個では足りない。
「この石はまだありますかな?」
「もっと必要なら調達してくるわ。どれくらい必要?」
「あればあるほど助かります」
「任せて、いっぱい取って来てあげる!」
Miariはパタパタと急いで走っていった。
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