軍曹はBurdを連れ、武器庫の鍛冶設備が使えるかどうか確認していた。
一通りの設備が揃っているが、作成物を考えるともっと良い設備を整えなければダメだと軍曹は思った。
[1回]
「参ったな、このままでは無理だぞ」
「ええ!?何とかなりませんか軍曹殿。殿下をがっかりさせたくないのです」
「高品質の金属を鍛造するには設備が弱すぎる。溶炉はもっとパワーアップさせないと目的の物を作るのは無理だな」
「ふむ、では設備を良くする為にはどうしたら良いのでしょうかな?自分に出来ることは何でもしますから遠慮なく申されて下さい」
Burdはマーティンの元気を取り戻すためなら助力は惜しまない。
軍曹は頼みがあると言った。
「兄弟、マーティの所へ行って、地下室を工事して改造する了解を取ってきてくれ。俺は外に出て道具があるか確認して先に用意しておこう」
「殿下に許可を貰ってくればいいのですな、任せて下さい。物干し竿の為なら殿下も嫌とは言わんでしょう」
説得しやすいよう一旦元に戻るか?と軍曹は言ってきたが、Burdは急ぎたいし、このまま軍曹として殿下を説得してみると張り切って武器庫を出て行った。
「武器庫を改造するだと?そんな事をしたら、ブレードたちが困るのではないか」
物干し竿を作るためとはいえ、自分の一存で寺院内の施設を改造するのはどうかとマーティンは顔を曇らせた。
Burdはマーティンが即了承してくれるとばかり思っていたので、相当落ち込んでいるのではと心配になった。
「マーティ、ブレードはみんな君の事を心配しているんだから俺が反対させんよ。武器庫は軽く改造するだけだから心配するな。ベターな物干し竿を作るには地下室の工事が必要不可欠なんだ!」
真剣に熱く説得するBurdの説得は通じ、マーティンはゆっくりと頷いた。
「よし、好きにしてくれ。すべて任せよう」
「サンクス、マーティ!素敵な物干し台を作ってみせるぜ!待っててくれ!」
(軍曹っていい人なのかも・・・)
遠巻きに二人の会話を聞いていたMiariは軍曹の後姿を見ながら思った。
マーティンの為に一所懸命になっている軍曹の姿は、いつもおちょくられながらも殿下のためと懸命に働くBurdと変わらないように見えた。
Miariは軍曹を怖がっている自分が小さい心の持ち主に思えてきた。
「軍曹殿ー!」Burdは外に出ていた軍曹の所へ急いで走って行った。
軍曹はいくつかの箱を戦闘機から下ろして準備をしていた。
「殿下の了承を得ることが出来ましたぞ。自由に改造して良いそうです」
Burdが伝えると、軍曹は頷いた。
「よし、受注獲得おめでとう兄弟。こいつは男前組の初仕事だ、いっちょ気ぃ引き締めてやろうぜ!」
Burdは地面に置かれた荷物が珍しく、何なのかと尋ねた。
「軍曹、それは?」
「予備の機材や道具が入っている。他にもまだあるから中に運ぶのを手伝ってくれよ」
「まーくん、さっきはごめんね、私、軍曹のコト理解しようと思うの・・・」
Miariはマーティンに軍曹への考えを改めたことを話そうと近づいた時、突然隣の棟から物凄い騒音が響いてきた。
「な、なんだ、この騒々しい音は。もう軍曹が工事を始めたのか?」
物音に驚いたマーティンは振り向いた。
「と、友よっ!」
背後でMiariが突っ伏して倒れていた。
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