軍曹は少し考えた後、Miari達には聞こえないよう小声でBurdに尋ねてきた。
「そういや兄弟、地下の武器庫には鍛冶場があったよな。そこを使わせてもらうこと、出来るか?」
「出来ますよ、自分も剣を打ち直したい時に使っています。熔炉やふいごなど鍛造に必要な物は一通り揃っているので、素材さえあれば大抵の物は作れるかと」
「素材か・・・兄弟、鉄材が欲しいんだが当てはあるか?」
「鉄なら剣を集めて溶かせばいいかと。軍曹殿、何か作るつもりで?」
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軍曹は真剣な顔をして答えた。
「・・・物干し台を作ってみようかと思ってな」
「えぇ、作るんですか!?」
「そうさ、作るんだよ。俺たち男前コンビが組めば出来ないことはないだろ?」
「軍曹殿、本気ですか?しかも二人で作ることになってるし!(汗」
「文明の利器をうっかり話して期待させた責任があるからな。マーティには世話になった事だし、これくらいの礼はさせてくれ」
「作ることが出来れば越したことはないですが、どうやって作るんですか?刀や剣を打ち直すのとは訳が違うでしょうに」
「手製の銃を俺は何度か作ったことがある。それの応用でチャレンジしてみよう。金属を加工する機材は積んでいるから、後は設計や鍛造を・・・っと」
Miariがバタバタと二人のところへ駆け寄って来たので軍曹は口を噤んだ。
「うわーん、まーくんのぱかー!」Miariは両手で顔を覆いBurdに泣きついてきた。
「おやおや、泣かされましたか」
笑いながらBurd(軍曹)が言った。
「まーくんたら酷いのよ!洗濯物の良さも物干し台のすばらしさもエルフにはわかりっこないなんて言うの!ええ、どーせ人間じゃないからわからないわよ!ぴえーん!>Д<。」
「ははは、我々にもわかりませんよ」
「そうそう、今のマーティの言葉を真に受ける必要はないさ」
Burdが慰めようとMiariの肩に触れたとたん、Miariは悲鳴を上げて一目散に逃げ出した。
「きゃー!」「な、なんだ?まるでお化けでも見たかの様に(泣」
Miariが自分を怖がって逃げたことにBurdはショックを受け、Miariからずっと避けられている軍曹の寂しさがわかった気がした。
軍曹はMiariを呼び止めて言った。
「はは、もうそろそろ軍曹殿に慣れてもいいんじゃありませんか?軍曹殿は殿下の為に物干し台を作ってくれることになったんですよ」
「え・・・軍曹がまーくんの為に?」
軍曹(Burd)はにっこりと笑って言った。
「俺たちで作ってみるよ。マーティのあんな寂しげな後姿を見たら、放っておくわけにはいかないだろ?」
せっかく元気になったのも束の間、すっかり気落ちしたマーティンは暖炉の前で肩を落としていた。
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