「友よ、聞いてくれ。軍曹が私のために物干し竿を作ってくれるそうだ(^^」
「ほええ、買ってくれるんじゃなくて作ってくれるの?すごいわね」
いつの間にか自分が作ることになっているのを聞いてBurdは目が丸くなった。
[0回]
「えぇ?ちょっと待ってくれマーティ!(汗)俺は探してくると言ったのであって作るとは言って・・・」
しかしマーティンはBurdに向かって必死に頼み込んできた。
「軍曹!この前私に話してくれたピカピカの錆びないスーパー物干し台とやらが夢に出てくるほど欲しくて堪らなかったんだ!頼む、私の為に作ってくれ!」
「あらら、軍曹困ってるわ。まーくんも洗濯物の事となると我侭が酷いのよねえ」
「ああ・・・そこまで気になっていたのか」
軍曹は二人の間に割って入った。
「殿下、ピカピカの物干し竿がこの世に存在することは軍曹殿から聞きましたが、あれを個人が作るとなると大変かと思います」
「そうそう(汗)すまないがBurdの言うとおりだ。俺の手には負えない、どうか諦めてくれマーティ」
しかしマーティンは諦めきれない様子で、しつこく頼んできた。
「嫌だ!私はどうしても新品のピカピカな物干し台が欲しいんだ!物干し台は洗濯物の晴れ舞台!私は洗濯物を干すことに関しては妥協しない!」
「陛下、客人相手に我侭を言うのはおよしなさい」
さすがにマーティンの我侭を見かねたジョフレが側に来て怒った。
「洗濯物を干したいのならロープを柱にくくりつけて木のハンガーで下げればいいじゃないですか。ロープならありますし、結ぶのはBaurusが愛情と力を込めてやると申し出ております」
「そんなものはだめだ!」
マーティンは叫んだ。
「洗濯物をロープで干すなど、私の美的センスが許せん!私はスタイリッシュな物干し竿に洗濯物をビシっと干すのが夢だったのだ!こればかりはジョフレと言えど聞き入れることはできない!」
「まーくん、ジョフレの言う事聞くのが一番よ。洗濯物乾かすぐらいならロープで十分じゃない」
Miariはマーティンを落ち着かせるつもりでいったが、これが機嫌を損ねてしまった。
「友よ、乾かすぐらいとは失礼な。弛んだロープに干されて中央に偏った洗濯物と物干し竿に綺麗に並べられ干された洗濯物では存在感が違いすぎるのだ。友もジョフレも何と言おうがこればかりは譲らないぞ」
「もう!洗濯物洗濯物って、私と洗濯物とどっちが大事なのよ!」
「洗濯物も友も私にとっては大事だ!比べることなど出来ない!」
マーティンは悪い意味で言った訳ではなかったが、それがMiariにはカチンときた。
「それって私は洗濯物と同じってこと?私の価値って洗濯物と一緒なの!?」
「やれやれ、陛下も洗濯物の事となると異常に頑固になられるのだから・・・あとは皆さんにお任せします」
ジョフレは手に負えないと思ったのかそそくさと側を離れてしまった。
「ねえ、ちゃんと答えてよ!洗濯物と同じっていったいどういうことよ!」
気が収まらないMiariはマーティンに食って掛かった。
マーティンもマーティンで、洗濯物ごときと言われたのが不愉快になり抗議した。
「友は洗濯物の素晴らしさがわかっていない。汚れを水で清め、美しく復活する様はまさに生命構築の循環を象徴している。そんな洗濯物を愛し、慈しむ事は私の生涯をかけた責務なのだ」
聖職者が語りかけるような口調で、独自の洗濯物理論を語るマーティンにMiariはイライラしてきた。
「そんなのまーくんにしかわかんない思い込みよ。まーくんの洗濯物に対する愛情は絶対おかしいわ!」
「おかしいとはなんだ。ははあ、友は洗濯物に嫉妬しているのか?」
「ええ、おかげ様で洗濯物と聞く度、憂鬱になるわ!」
「なあ、兄弟、ここのマーティって執着心が強い奴なのか?」
軍曹とBurdは二人から離れ、ひそひそと小声で会話していた。
「いえ、とんでもない。自分もああまで皆を困らせるほど我侭を通す殿下を見たのは初めてです」
きっと、屋内生活に偏りがちになるBrumaの冬が殿下の気性を変化させたんでしょうなとBurdは苦笑いした。
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