なぜここまでマーティンが洗濯物にこだわるのかBurdには理解しがたいものがあったが、人にはそれぞれ大切なものがあるのだろうと、マーティンをなだめながら話を聞いていた。
どうやら洗濯物が干せさえすればマーティンは元気になれそうだ。
[0回]
「マーティ、俺がなんとかするよ。な、だから落ち着いてくれ」
「うう、軍曹・・・」
マーティンのすすり泣きがようやく止まった。
「すまない、取り乱してしまって・・・」
「HAHAHA、いいってことよ。マーティの熱い洗濯物を思う心に俺は負けた!俺が新しい物干し竿を探してきてやるよ」
「・・・いいのか?」
「マーティの悲しむ顔をこれ以上見たくないからな」
「ありがとう」
マーティンは頭を下げ、Burdに礼を述べた。
そしてさっきまで泣いていたのが嘘のようにぱっと明るい顔になり、自分がどんな物を欲しいのか話した。
「場所を気にせずどこでも干せるようなコンパクトな物干し台が私は欲しいな。今使っているのは高い所でしか使えないので、背が届かず苦労していたんだ」
(簡単に殿下おっしゃられてますが、やっかいな頼みですな・・・ううむ、日曜大工が得意な者を探して頼んでみるか)
無理だと言えばマーティンはまた落ち込んでしまう。
Burdは笑顔でうなずいて、マーティンに言った。
「任せてくれマーティ、俺に任せてくれればちょろい仕事さ」
「はは、言ってみるものだな!我侭を聞いてくれてありがとう軍曹、楽しみが出来て嬉しくなってきたよ」
マーティンは元気を取り戻したらしく嬉しそうにしている。
そしてニッコリ笑ってBurdに手を差し伸べた。
「さあ、寺院に戻ろう。外は寒くて体が冷えてたまらん」
「・・・マーティ、なんだ?その伸ばした手は?」
「軍曹と手を繋ぐのだ(^^*」
「えぇ!?」
「なんだ、その嫌そうな叫びは」
マーティンはずいっとBurdに詰め寄った。
(近い、近すぎますぞ殿下っ)
「照れる必要はない。スキンシップのために男同士でも手を繋ぐのはこの国では当たり前の習慣なのだ。握手と一緒だ握手と。だから恥ずかしがることはないぞ」
そんな習慣聞いたことございませんっ!とBurdは叫びたかったが、マーティンが泣きそうな顔になったので慌ててBurdは承諾した。
「わ、わかったマーティ!手を繋ごうじゃないかHAHAHA!(泣」
「そうかそうか、早く中へ戻ろう(^^」
マーティンはBurdの手をぐっと掴んで寺院への道を戻り出した。
「マーティ・・・皆がいる所まで戻ったら手を離してくれよ(汗」
「見られたら不味いのか?」
「不味いに決まって・・・!と、ほら、アレだ、エルフの彼女に見られたら俺にマーティを取られたって泣かれてしまうじゃないか、な?」
マーティンは友に誤解されるのは不味いな、と頷いた。
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