今日もクラウドルーラー寺院は雪だった。
灰色の空から絶えることなく白い雪が舞い落ちてくる。
悪天候が続き、マーティンは洗濯が出来ない&洗濯物が干せないとずっと愚痴をこぼしていた。
日増しにマーティンの落ち込みは酷くなり、とうとう読書も止めて暖炉の前でぼーっとしていることが多くなった。
Miariが元気を出させようと話しかけても暗い顔をして生返事を返すだけだった。
[1回]
Burdは軍曹と入れ替わるため入念な打ち合わせをして、とうとう今日その計画を実行することになった。
入れ替わってみたものの、どうも皆を騙すことに抵抗があるBurdは、寺院の中に居づらく、軍曹が戦闘機を待機させている裏手で考えごとをしていた。
(こんな物を乗り回せる軍曹殿にはつくづく感心させられますな)
同じ人間とはいえ、文明も環境も違う世界でお互い生きていたのだから別人と変わらないのではないかとBurdは思った。
そのそっくりな別人を自分は演じきることが出来るのかー・・・。
Burdと軍曹は、武器庫に誰もいない時を見計らって、お互いの言葉遣いやしぐさを憶える練習をし、大丈夫だろうと確信が持てたところで服を交換した。
「oh!! 随分とオトコマエになったじゃないか!まるで俺自身を見ているようだ」
軍曹は自分の迷彩服を着ているBurdを見て感嘆の声を上げた。
「いやいや、軍曹殿も私にそっくりですぞ。よくブレード鎧が似合っておいでで」
ここまで自分にブレード鎧が似合っているとは思っていなかったので、Brumaガード服が一番似合っていると信じていたBurdは少しショックだった。
「他にもう質問はないか?兄弟・・・っと、もう入れ替わったんだから言い方を替えないとな。質問があればどうぞ、軍曹殿」
軍曹は葉巻の煙を燻らせ苦笑いしつつ言った。
「・・・そうですな、じゃない、そうだな。銃は自・・・俺が持っていていいのか?」
「構いませんぞ軍曹殿。ただしこれは殺傷能力が高いからくれぐれも扱いには気をつけて下さいよ」
軍曹は銃を構えながらBurdに忠告した。
「なんなら引き金が引けないよう安全装置を掛けておきましょうかな?」
「いや、一通り銃の使い方は教えてもらったので大丈夫だ」
Burdは軍曹から銃を受け取った。
「皆に兄弟が俺だと思わせられるよう上手くやれよ、Good Luck!」
「ぐ、軍曹殿も楽しまれてください(緊張」
(とは言ったものの・・・)
軍曹になりきることなど出来るのだろうか。
調子よく話に乗ったが、正直なところ、まだ自信の程はいまいちだった。
ジョフレやBaurusは念のため避けておくことにしよう。
Miariは軍曹を避けているので気付き難そうだが、マーティンがBurdにとっての最大の鬼門だった。
勘のいいマーティンを騙しとおせる自信は全然ない。
今日は出来るだけ顔を合わせないようにしようとBurdは心に決めた。
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