軍曹はマーティンが用意した軽食をBurdと頂くと、人目がないところで大事な話がしたいと寺院の武器保管庫に二人で降りていった。
薄暗い倉庫内はひんやりとした空気に包まれ、ランプの仄かな明かりが壁にゆらゆらと影を投げかけていた。
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軍曹は辺りを見回し、誰も居ないことを確認してからBurdに向き直り改まって話し出した。
「兄弟、しばらく話がしたいんだがいいか?」
「ええ、構いませんが。して、いったい自分にどのような用件ですかな?」
軍曹は葉巻の煙をふうっと吐いて、横目でちらりとBurdを見た。
「俺が今から尋ねることを正直に答えてくれないか」
「なんでしょうか」
「あのエルフのことだ。彼女、お前のことを友人だと言っていたな。本当の所はどうなんだ」
「それはどういう意味ですかな?」
Burdは意味が飲み込めずきょとんとして聞き返した。
軍曹は振り向き、ニヤリと笑った。
「お前と彼女の関係だよ、本当は友人なんてガキっぽい関係じゃないんだろ?」
軍曹の態度がずいぶんと砕けてきたようだ。
「はぃ?いえいえ、何をおっしゃいますか。アレと自分はあくまで友人の関係です」
Burdは憮然となった。
「友人?冗談だろ?俺とお前は同じ遺伝子を持った同一人物なんだから隠しっこは出来ないぜ。女として見てるんだろ?なあなあ」
軍曹は興味津々でBurdにしつこくMiariとの仲を聞いてくる。
Burdは困って首を横に振った。
「変な詮索はせんで下さい軍曹殿。私がどう思っていたとしても、あれが好きなのはマーティン殿下である以上、自分が入る余地はありません」
「あちらさんがどうこうじゃなくてだな、俺が聞きたいのはお前が彼女に対してどう思ってるかって事なんだ、兄弟。もしかしてマーティの立場が自分より上だからって遠慮してるのか?」
軍曹は強い口調で詰め寄ってくる。
「軍曹殿、そんな質問をするのはもしや貴殿が将軍を好きだから私も同じではないかと踏んで言っているのですかな」
「そうさ、俺たちは基本的にすべて同じなんだ。俺が好きな相手をお前が好きじゃないはずはないんだよ」
Burdはだんだんと不愉快な気分になってきた。
「それはあくまで軍曹殿の考えであって事実はそうと限りません。同じ人間だからといって趣向まで同じだと決め付けんで頂きたいですな」
「そもそも軍曹殿の世界とこちらの世界では状況が違うじゃありませんか。こちらのHassildor伯爵はそちらではあれの父親ですし、殿下も一般人の一人に過ぎません。軍曹と将軍が両思いだからといってこちらまで同じとは限らんのです」
「ふむ・・・じゃあ確かめておくが彼女との関係は友人として考えていいんだな」
「もちろんです」
「・・・Sorry、野暮な質問をして悪かった、兄弟」
軍曹は納得いかない顔をしていたが、軽く頭を下げてBurdに謝った。
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