マーティンは神像の足元の台座に座り込んだ。
前かがみになって手を組み、暗い顔をしたまま考え込んでいる。

「・・・マーティン」
「・・・」
「マーティン、どうしたの?なぜ私の問いに答えてくれないの?」
「・・・」
「ここに連れて来たことを怒っているの?」
「・・・怒っていないよ」

マーティンはやっと言葉を返し、顔を上げ、私の目をじっと見ながら言った。
「友よ、君にとって私の存在とはどんなものか聞かせてくれないか。隠さずに正直に答えて欲しいのだ」
「隠さずにって、改まってどうしたの?マーティンはこの国の皇帝になる人で、皆に必要とされてる大事な存在の人だわ」
「違う、他の者の話をしているのではない。君の考えを聞きたいと私は言っているのだ」
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