「マーティからプロポーズ?hahaha!冗談は止してくれ兄弟!さっきの話はブレードにならないかと誘われていただけさ!軍を辞める訳にはいかないから丁重に断らせてもらったがね」
大笑いしながら説明する軍曹の声は離れた場所にいる私の耳にも届いた。
(なあんだ、まーくんが軍曹にプロポーズしたと思ったのは早とちりだったのね。動揺して損しちゃった)
この距離なら2人の会話を聞き取れそうだ。
[0回]
側に行くのは怖いのでここから聞き耳立てておこっと。
「しかし俺の銃はそんなにデカい音がしたか?」
「彼女はエルフなので人間より聴覚が優れていましてな。耳がいいので小さな破裂音でも爆発音に聞こえるそうですよ」
「エルフだって!?」
軍曹は目を大きく見開いた。
「彼女は人間ではないのか?変わった耳をしているとは思ったが、エルフだとは思わなかったよ。俺の住む世界ではエルフは空想上の種族で実在せんのだ」
「エルフがいない?貴殿の世界はこちらとは随分違うみたいですな。さっきの話だと彼女も貴殿の世界にそっくりなのがいるのですかな?」
「もちろんさ。彼女だけでなくマーティもいるぜ」
「ほう、殿下もいらっしゃるのですな。あの方はあちらではどのような立場のお方なので?」
「兄弟、その話は一杯やりながら話すってのはどうだ?自分や自分の親しい友人が別の世界でどんな人生を送っているのか興味あるだろ?どうせなら酒の肴にして・・・」
軍曹は酒が好きらしく、物欲しそうに指でくいっと酒を飲む仕草を見せた。
「おお、それはいい案ですな!貴殿の婚約者が誰なのかも気になります。酒なら自分が用意しますぞ」
Burdは軍曹に対して親近感を抱いているみたいだった。
同じ自分だから、馬が合うのかしら。
そうだ、と思い出した様に軍曹はポケットに手を突っ込んだ。
「Hassildor将軍と俺が一緒に写っている写真があるんだが見るかい?」
「写真?なんですかなそれは」
「紙に人や背景をそのまま写した絵みたいなもんだと思ってくれ。ほら、これだ」
軍曹は写真を取り出して眺めた。
「ん?今、Hassildor将軍と申されましたか?あの方が将軍とは、あちらではすごい出世をされているのですな」
Burdはあの方が将軍か・・・と、SkingradのHassildor伯爵を思い出した。
「見ろよ兄弟。髪型と服装が違うが顔を見ればすぐにそっくりだとわかるはずだ」
軍曹はBurdに写真を差し出した。
「おお、拝見させて頂きます」
Burdは受け取り写真に目を通したが、写っている人物を見たとたん目が丸くなった。
「軍曹殿!?こ、これはいったい・・・」
そこに写っていたのは、Burdが想像していたあのHassildor伯爵ではなかった。
軍曹は得意げにBurdに言った。
「俺の横にいるのがHassildor将軍さ。どうだ、いい女だろ?」
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