軍曹は思わせぶりにニヤニヤしているだけで、自身の世界での関係については話してくれなかった。
私の長い耳を不思議そうな顔をしてちらりと見たが、尋ねてはこず、その場から居なくなってしまった。
軍曹は珍しそうに寺院の中を見て回り、なぜかその後をマーティンがトコトコとついて回っている。
[0回]
「・・・殿下何してるのかしら」
「軍曹のことが気になって追っかけしているんでしょうな。わかりやすい行動をされるお方だ」
「どうして軍曹を気にする必要があるの?」
見ているとマーティンは軍曹を炊事場のところに連れて行き、なにやら親しげに話し出した。
「今度は隅っこに行って話をしてるわ」
自分がいつも食事を作る炊事場の説明でもしているのかしら。
「殿下楽しそうですな。これは軍曹に惚れたのかもしれませんぞ」
「惚れ・・・た?」
きっとこういう話をしているのでは?とBurdが面白半分に2人の会話の内容を当て出した。
********************************************「軍曹、何か食べたい物があれば言ってくれ。なんでも作るぞ(^^」
「いいね、俺の為に食事を作ってくれるのかいハニー」
「ああ、望むならば毎日朝昼晩、私は軍曹の為に温かい飲み物と食事を用意しよう。どうだ、悪い話ではないだろう?いっそのこと、ここに住まないか軍曹(^^」
「俺に居て欲しいのか?そうだな、そろそろ俺の愛銃も休ませたいと思っていた所だ。落ち着ける場所があるなら有り難い。しかし俺が住める部屋はあるのかい、ハニー鍊」
「私の部屋を使うといい。ダブルベッドだから2人で寝ても大丈夫だぞ」
********************************************「はっはっは、おっさん2人がこんなラブラブな会話してたら笑えますな!」
「笑えないわよ!><仲良さそうに見えるけど殿下は軍曹のこと本気で好きになったりしないわ!」
「いやー、殿下はわかりませんぞ?そのうち軍曹と結婚するとか言い出したりして。そんなことになったらどうしますか貴公、はっはー」
「パカー!軍曹は男よ!(゚皿゚)いくらまーくんでも男と結婚なんてー・・・」
「はあぁぁ~・・・」
溜息が聞こえ、なんだろうと思って振り返ると、そこには肩をがっくり落としたマーティンが立っていた。
「まーくん?」
「どうされました殿下」
「はあー・・・」
マーティンはとても落胆していた。
とぼとぼと私たちの前に歩いて来て、しょんぼりしながらこぼした。
「彼には婚約者がいるそうだ・・・」
「婚約者?いったい何を軍曹と話していたのですか殿下」
「ここに残ってくれないかと頼んだのだが、向こうの世界に婚約者がいるから帰らないといけないそうだ・・・はあぁぁ~」
婚約者が居てガッカリって、まさかマーティンは軍曹のことを好きになってプロポーズして振られちゃったのかしら><。
「嘆いていても仕方がないな、私はやるべきことをやるよ」
マーティンは暗い顔をしていつもの自分の席に戻っていった。
私が・・・私がいるのに軍曹と結婚しようとするなんて・・・っ。
「ぴえーん!>Д<。まーくんのばかぁーー!!なんで軍曹と結婚しなきゃならないのー!私はいったいなんだったのよー!!」
「貴公、今のは私もビックリしましたが、結果的に振られたみたいだから良かったじゃありませんか。どうか落ち着いてくださいよ」
「うええぇぇん!うぇぇーん!>△<。」ショックでワアワア泣いている私をBurdが慰めていると、軍曹が近寄ってきて驚いてBurdに言った。
「おいおい!何をやらかしたんだオトコマエ!いくらお前がいい男だからって女を泣かすのは許されるべき事じゃないぞ!」
「は?違いますぞ、泣かしたのは自分ではなくあなた方であってー・・・」
「きゃああぁぁあ!!>Д<」いきなり軍曹が側に来たのにビックリして私は飛び上がって逃げだした。
「・・・なんだ?なんで逃げるんだ?」
「すいませんな、彼女は貴方を怖がっているんですよ」
「さっきから気になっていたんだが、彼女はなぜ俺を避けるんだ?怖がられる憶えはないんだが。現に兄弟、お前のことは怖がってないじゃないか」
「貴殿が銃で大きな音を出して脅かしたからですよ。でもそんなことで怖がったままというのも変だな。いつもの鬼貴公はいったいどこへいったのやら」
PR