Burdと軍曹はすっかり意気投合し、食事をしながら酒を飲もうという話になった。
まだお昼なのに、酒だご飯だ何を食おうかと盛り上がっている2人の会話を聞きつけたマーティンは、酒に合う料理ならいいのがあるから自分が用意しようと張り切って炊事場に向かった。
私も手伝うと言うと、火傷したら大変だから彼らと一緒にテーブルで待ってていいよ、と炊事場に入れさせてもらえなかった。
マーティンが調理を始めると、美味しそうな香りが寺院内を漂い出した。
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軍曹の側に行くのは怖かったので、私はBurdの隣に座り、大人しく2人の話を聞いていた。
料理が運ばれてきてテーブルの上に並べられると、2人が盛り上がりだした。
「おお!これは酒が進みそうな一品ですな!」
「hahaha!こいつぁYAKITORIじゃないか!酒の供といえばこれだよ!ナイスチョイスやってくれるぜマーティ!」
酒場に出そうな料理に喜んでいる男2人の横で、私もなにかしらと覗き込んだ。
鶏肉と長ネギが交互に串で刺されてこんがり焼かれている。
ネギの香りとかかったタレのおかげで食べる前からとても美味しそうに見えてきて、お腹がグゥと鳴った。
「お待たせしましたお客さん。もっと食べたければ焼くから遠慮なく言ってくれ(^^」
エプロン姿で張り切っているマーティンは、なんだか注文を取る酒場の店主に見えた。
「殿下は本当に家事がお好きですなあ。洗濯物も料理もネタだと思っていたのに、実際にされていたとは。将来は良い主夫になれること間違いなしですぞ」
マーティンはBurdの褒め言葉に対して真剣な顔をして答えた。
「料理や洗濯ぐらい自分で出来ないでどうする。特に食べることは生きている上で最低限必要なことだろう?衣食住が満ち足りることこそが人々の幸福の基礎となるのだ」
軍曹は早速ボトルから酒を注いで飲み始めた。
「マーティを独り者にしておくのはもったいないな。どうだ、俺の嫁にこないか?苦労はかけさせんよ(笑」
「軍曹、私を嫁にすると逆に君が苦労することになるかもしれんぞー(^^」
「hahaha、どう苦労するのか興味があるなマーティ。俺は丈夫だから、扱いが雑でも簡単にはへこたれんよ。で、そちらのエルフお嬢さんはどうなんだ?誰かいい相手はいるのか?もちろんいるよなあ!」
軍曹が急に振ってきて私を見たので目が合い、私は慌てて目をそらせてしまった。
「え?ええ、私はその、まーくんが・・・」
動揺して声がかすれてモゴモゴと小さな声になってしまったので、軍曹には聞こえなかったみたいだった。
うう、やっぱり軍曹は苦手・・・><
私のおかしな態度のせいで周囲が変な空気になってしまい、どうしよー><と焦っていると、Burdがコホンと咳払いをして、コップを手に取りながら言った。
「あー、皆さん、人も食事も揃った所ですし改めて乾杯といこうじゃありませんか」
「そうだな、では私は軍曹の横に失礼させてもらおう」
マーティンは軍曹の隣に座り、コップを手に取った。
「では、遥々遠い世界から訪れた珍客と我々の出会いを祝って乾杯!」
マーティンの一声に続いて皆が乾杯!と言いながらコップをカチン、と各自打ち当ててゴクゴクと飲みだした。
「軍曹、さっき私にした話をもう一度してくれないか?友人にも聞かせてあげたいのだ」
頼みの言葉に軍曹は笑みを浮かべて答えた。
「さっきの話というと、俺の世界の君らのことだな。もちろん話すが俺も君たちの事を知りたい。だから後で話してくれよ」
「もったいぶらずに早く聞かせてください軍曹殿。貴殿自身のことも私は興味がありますぞ」
Burdは身を乗り出した。
「わ、私は・・・そんなに知りたいとは思わないわ・・・」
乗り気じゃない私にBurdはなぜですか、と不思議そうに聞いてきた。
「貴公、貴方こそ知っておかなきゃなりませんよ。軍曹殿、先ほどの写真をこれに見せてもらえませんか」
「ああ、そうだな、これは彼女にも見てもらいたいんだよ」
軍曹はポケットから写真を取り出すと、直接私にではなくBurdに差し出した。
・・・私、気を使わせちゃってるなあ・・・。
「ほら、軍曹の横に女性がいるでしょ。貴公によく似てると思いませんか?」
写真を見るとBurdの説明の通り、軍曹の横に私に良く似た女性が写っていた。
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