「これはいったいなんだ?いつからここに置かれていたのだ?」
マーティンは奇妙な物体の側に近寄り、珍しげに見上げた。
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「なんという大きさ・・・!これはドラゴンか?いや、違うな。このような形のドラゴンなど見たことも聞いた事もない」
マーティンは目の前の未知の物体に恐怖心よりも好奇心が湧いてきていた。
森に潜めば見分けがつかないような色彩と模様のボディが鈍く朝日を反射している。
「うーむ、体は金属で構成されているようだ。翼に白い筒みたいなのがついているが何かの容器か?中に何か入っているのだろうか」
白い容器らしきものを叩いてみようと手を伸ばしかけた時、遠くから『殿下ー!』と叫ぶ声がした。
振り返ると、BurdとMiariの2人が走ってくるのが見えた。
2人はマーティンのところに駆け寄ると、息を切らせながら言った。
「はあはあ、こ、これはさっき空を飛んでいた怪物じゃありませんか!殿下も無用心すぎます。勝手に怪しげな物に近づかんで下さい!」
「そうよ、これ危険な物なのかもしれないのよ!まーくんすぐに離れた方がいいわ!」
「じっとして動かない鉄の塊が危険なのか?君らは、この鉄の塊が空を飛んだり、攻撃したり危害を加えてくるとでもいうのか?ははは、面白い冗談だな」
マーティンは信じてないらしくニコニコと笑っている。
「あのですな、先ほど殿下の洗濯物を吹き飛ばしたのはこの怪物ですぞ。殿下は余所見していたから気づかれませんでしたが、これが飛んできて寺院を横切った瞬間に突風が起きたのです」
「つまりお前は私の洗濯物を飛ばしたのはこれが風を起こしたからだと言うのか?信じられん、どうすればこんなものが空を飛ぶというのだ」
飛んでいた姿を見ていないので、中々Burdの話を信じようとしない。
「ああもうじれったい。飛ばなきゃここに来れるはずがないでしょ!どうやって動かしているのか聞いて見られては如何ですかな?私の予想ではこれは空飛ぶ飛行物体で、中に主がいると思うのですが」
「この中に人がいるというのか?どうやって鉄の塊の中に人が入ったというのだ。まあいい、私が呼びかけてみよう」
マーティンは窓っぽい部分に向かって叫んだ。
「あー、ちょっと尋ねたいのだがー!私の洗濯物を飛ばしたそうだが、中に誰かいるなら出てきなさいー!」
声が聞こえたのか、搭乗口が開き中から人が現れた。
「!!」
「おお!出てきましたぞ!」
「あれは人・・・よね」
私たちの目の前に現れた人物は奇妙な杖を背中に携えていた。
そしてそれをゆっくりと手に取り上空に向け構えた。
何をするのだろうと見ていると、突然パーン!と耳をつんざく
ような破裂音が炸裂し、杖から炎弾が空に向かって放たれた。
あまりに突然で、私もBurdもマーティンも意表を突かれたじろいだ。
「うおおっ!?」
「うわっ」
「きゃあああーーーー!!!>Д<」長い耳を持つ私には、その音が凄まじい爆発音に聞こえ、びっくりして2人を置いたままその場から逃げ出した。
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