風に飛ばされた洗濯物は寺院外の地面に落ちてしまった。
[0回]
「なんということだ、私が丹念に育て上げた洗濯物が・・・」
マーティンは地面に落ちた洗濯物をがっかりした表情で見つめていた。
溜息をつき、洗濯物を取りにマーティンは私たちの間を通り、歩いていこうとした。
「下に行って拾ってくるよ。おや、2人ともなぜぼーっとしているのだ?」
衝撃を受け言葉を失い、変な顔で棒立ちになっている私たちを不思議そうに眺めながらマーティンは言った。
「あ・・・あの、びっくりして」
さっきのあれはなんだったんだろう?頭の中が混乱して真っ白になったまま、私は答えた。
「風にびっくりしたのか?まあ驚くのも無理はない。物凄い突風だったからね。では私は洗濯物を拾いに行ってくるから」
マーティンは1人で階段を下りて行ってしまった。
「ただの風じゃないのに・・・殿下気付いてなかったのかしら」
「ですな。あの轟音と風で平然とされているとは度胸があるのか、それともただの・・・」
Burdも混乱してたのか、マーティンを追うことをすっかり忘れて、ぼんやりと見送っていた。
「やれやれ、洗濯物を飛ばされてしまうとは朝からついていないな」
マーティンは嘆きながら寺院の裏手へ歩いていった。
落ちていた服は雪と泥で汚れてしまっていた。
「仕方がない、もう一度洗いなおそう。一着だけだし、時間もまだ早いから夕方までには乾かせるだろうしな」
「ん?」
服を拾い上げ、寺院へ戻ろうと歩き出したマーティンは、いつもと違う気配を感じて立ち止まった。
「・・・なんだあれは」
マーティンの視線の先には、奇妙な物体がブーン・・・と静かな音を響かせ停止していた。
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