「Burd!Burdよー!!」マーティンは慌てふためきながら寺院の中へ駆け込み、Burdに必死になって外の異変を伝えようとしたが、あまりに動揺していたため動きばかり焦って言葉が出てこない。
「はっはー殿下、新しいジェスチャーゲームですかな( ̄ー ̄)」
目の前でひょこひょこと奇妙な動きをしているマーティンを笑いながらBurdは見ている。
「・・・・・・っ!!!」
マーティンは説明するのももどかしくBurdの腕を引っ張り、外へ連れ出した。
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「たたた太陽が見えんのだ!太陽がっ!!」
混乱したままのマーティンはやっとのことで言った。
「太陽が見えない?はあ、今日の天気は曇りでしたか。残念でしたな」
パニックになるほど天気が悪いのがショックだったのかと、Burdはちょっとマーティンが気の毒になった。
「い、いや、曇りなどではなくてな、空が真っ黒なのだ」
「黒い?では嵐が来るのかもしれませんな。では中に洗濯物を干しましょう」
「そうではない、このばかちんが!いいから空を見ろ!!」
マーティンは怒りながら空を指差し、Burdに見るように促した。
Burdはやれやれと溜息をつきながら空を見上げた。
「はあぁ、私が空を見たって晴れるわけでは・・・」
「っのうわぁわああぁぁっ!!!」Burdは空に浮かぶ謎の物体に目をひん剥いて驚き、悲鳴を上げながら一目散に寺院の中に駆け込んでいった。
「ま、待たんかBurd!私を置いていくな!!!」
慌ててマーティンもBurdを追いかけて寺院内へ戻った。
「ああああれ何なんですか!?」
Burdはすっかり動揺して震える声でマーティンに尋ねた。
「わ、わからん、昨日はなかったはずなんだが」
二人は動悸が止まらず、げほげほと咳き込んだ。
「ででで殿下、もしかするとアレはアレが話していたアレかもしれませんぞ」
「アレとは何だ、Burdよ」
「失礼、軍曹殿が滞在していた時にこんなことを話してくれたのです。あの方の世界にはUFOという伝説があるそうでしてな。宇宙からやってきた謎の物体が空を飛んだり現れたり消えたりして人々を驚かせているんだと笑いながら教えてくれたのです」
「笑いながらだと?それはなぜだ」
「私にもその辺の理由は良くわかりませんが、なんでしたっけ、近くに機密軍事エリアがあるからだろうなぁと笑っておりました」
マーティンは首をかしげて、ううむ、と唸った。
「Burdよ、今の話は機密軍事エリアがある、というのが笑いどころなのか?なぜ軍曹はそこで笑ったのだ?私にはわからん」
「私にもわかりませんよ。ただね、そのUFOってのは人や動物をさらっていったり、悪さをすることがあるそうなんです。もしかしたら寺院の外にあったアレはUFOでー・・・」
「なるほろ、人や動物をさらっていくのか、それは大変だ・・・うむ、わかったぞ」
「な、なるほろ?・・・殿下、何がわかったのです」
「あのUFOとやらは、きっと私の洗濯物たちを奪いに来たのだ」
「・・・はい?」
「人や動物をさらう気なら、私がさっき外に出た時にさらっているだろう。そうしなかったということは、私が洗濯物を干すのをきっと待っていたのだ、で、私が離れた隙を狙ってかわいい洗濯物たちを・・・っ」
「奪うわけですなってそんなわけないでしょ!洗濯物が欲しい宇宙人なんていませんよ」
「では何が目的なのだと?・・・ハッ、そうか、わかったぞ!」
マーティンは手をパチンと叩いた。
「おお、今度こそわかりましたか!」
「私のノリだ」
「・・・ノ、ノリ?」
「いや、私だけではないな、寺院にいる皆の良い能力を奪い取ろうとしているのだ」
「・・・といいますと?」
「私からはノリ、お前からはツッコミ、ジョフレからはノリボケ、Baurusからは世話好き、友からは鈍くささー・・・おお恐ろしい!皆からそれらを奪ったら我々は終わりだ!ああ!私はどうしたらいいのだBurdよ!!」
「先に殿下をどうかすべきのような気がしますが、とにかく皆を集めて対策を講じましょうぞ!」
「そうだな、会見を開くから広間に皆を集めてくれ。ああ、友以外をだぞ」
「え?ご友人も呼んだ方がいいのでは?」
「友は昨日夜遅く帰ってきたらしくてな、疲れているようでまだ寝ている。お寝坊さんだから起こしてはダメだぞ(^^」
「おねぼうさんって可愛く言っちゃって、ご友人には甘いんですなぁ。では自分は皆を呼んできましょう」
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