「な、なんだお前は!」
洗濯物を取り込もうと駆けつけた現場には、でで~んとイエローテロリストが待ち構えていた。
[14回]
早く取り込まないといけないのに、邪魔されてそばに近寄れない。
「殿下、何やってんですか?」
イエローテロリストはあきれてるのか怒ってるのかわからない顔で睨んでいる。
「殿下とか知らん!今私は洗濯物を取り込むのに必死な農夫なのだ!」
「説明口調で否定しちゃってるあたりでこれが殿下の現実逃避モードだということが確定です」
「ええい何を言う、これが現実なのだ!まさに雨で洗濯物が濡れるという大変な事件が目の前で起こっているのに私は手も足も出せないとはっ」
別の方向から洗濯物に近づこうとしたが、先にイエローテロリストが回りこみ封鎖してしまうのでどうしても近づけない。
「どかんかー!洗濯物が濡れてしまう!!洗濯物を見殺しにさせる気か!!」
しかしどんなに叫ぼうとも洗濯物の敵は壁は頑として動こうとしない。
「洗濯物が濡れたぐらいで何なんです。そんなに大騒ぎするようなことですか」
全世界の洗濯物ファンを敵に回すイエローテロリストの発言に自称農夫はカチンときた。
「お前は洗濯物を侮辱する気か!!いいか?洗濯物が濡れるということは大事件なのだ!!濡れることで多くの手間と時間がとられまた最初から洗い直しという屈辱を味わうのだそしてもっと恐ろしいのがー・・・」
「あのですな殿下、こんなのが大事件ですか?じゃあ言いましょう、
事件は現場で起こっているんじゃない!会議室で起きているんだっ!!か・い・ぎ・し・つですよっ!!!」
「会議室だとっ」「殿下、どうされました?急に大きな声を出されて」
「もしや良い企画を思いつかれましたか?」
「会議室といやあ、会議は踊るですかね!」
「いやーそれは古いっしょ、やっぱりAosimaの名台詞ネタがいいっしょ」
周囲のブレードたちが不器用ながらマーティンの唐突なボケのフォローに走る。
そこはクラウドルーラーイベント企画部の会議が行われている会議室だった。
「・・・・で?」
「し、失礼致しました。なんとなく自分の居場所を確認した次第です」
マーティンはテンプルマスターと目を合わせるのが怖く、真正面を見たまま返答した。
イエローテロリストのとってもつまらないネタであっさり現実に戻されてしまったことに、マーティンは敗北感を覚えずにはいられなかった。
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