長い下水道を抜け、やっと外に出た。
ずっと暗いところにいたので外も夜だろうとばかり思っていたが、まだ明るく昼過ぎぐらいだった。
目前に広がる景色は美しかった。
これは・・・本当に夢なの?。
夢にしては鮮明すぎるし、聞こえてくる風や波打ち際の音、揺れる木々のざわめきも本物としか思えなかった。
[0回]
何にしても、ずっとここに留まるわけにはいかない。
ちらりとクラウドルーラー寺院まで行ってみようかと考えたが、ジョフレが修道院にいるのなら寺院に行っても門は開いていないだろう。
道はわかっているから、真っ直ぐジョフレがいる修道院へ向かおう。
帝都からChorrolへ続く道は、ずっと長い上り坂が続く。
走るのは慣れっこのはずなのに、すぐに息が切れて疲れてしまった。
前より走るスピードが遅くなり、体力がガクッと落ちて、スタミナもなくなってしまった気がする。
歩いたり、走ったりを繰り返しながら西へ向かった。
途中、道を塞ぐ塔があった。
ここって、追いはぎが待ち伏せしていたんじゃなかったかしら。
襲われたくないのでこっそり通り過ぎようと足音を忍ばせて塔を抜けたと思った瞬間、バタバタと駆け寄る足音がした。
「へっへっへー!そこの姉ちゃんよぅー!命が惜しけりゃ100Gよこしなゴルァー!!」
きゃー見つかったぁ!!>Д<
戦いたくなかったので大人しく100Gを渡そうとしたが、お財布には52Gしか入っていなかった。
なんでよりによって二桁なのよ!信じられない!!
「湿気た冒険者だなゴルァー!ぶーころーして身包み剥いでやらぁゴルァー!」
「わーん!こんなトコで終わらせるもんですかー!!」
100G出せなかった私は問答無用で追いはぎと戦闘になり、傷だらけになりながら錆びたダガーでやっと倒した。
「あいたたた・・・><。」
追いはぎとこれだけ命懸けになって戦わなきゃならないなんて、どれだけ強い追いはぎなのよ!
地下通路で手に入れていたポーションを飲んで傷を癒し、再び西へ向かって歩き出した。
その後は敵に遭遇することなく無事、修道院に着いた。
それにしても、この夢はいつまで続くのだろう。
どうして覚めないんだろう。
体が重いのもきっと夢のせいだからに違いないのに。
扉を開けて、中に入った。
二階へ上がると、書斎で本を読んでいるジョフレの姿があった。
「あの・・・こんにちは」
私のことをジョフレは憶えていないかと期待したが、私を見上げた彼の目は初対面の人を見る目付きだった。
「誰だね君は?」
「皇帝陛下に貴方を探して王のアミュレットを渡すよう頼まれました」
アミュレットをジョフレに渡し、皇帝の遺言を伝えた。
驚きながらもジョフレはoblivionのDaedraの話やブレード、皇帝陛下から赤ん坊のマーティンを預かった時のことを私に話した。
現在マーティンはKvacthで聖職者をしており、敵に見つかって危険が及ぶ前に彼をここへ連れて来るようにと言った。
「そのままでは大変だろうから装備を整えた方がいいだろう。そこの木箱に入っている道具を自由に使ってくれ」
「・・・助かります」
防具はともかく、今は使える武器が欲しい。
使い慣れているダガー類がないかと箱の中を探した。
木箱の中にメイスや剣はあったがダガーはなかった。
思わず溜息が漏れる。
「大丈夫か?」
後ろからジョフレの声がした。
「え?」
振り返った私を見てジョフレは言った。
「随分と疲れているようだな。顔色が良くないし、フラフラしているじゃないか。隣の部屋のベッドを使っていいから今日は休んでいきなさい。お腹が空いているのなら下で食事を取って構わないから」
「でも早くマーティンの所へ行って連れてこないと・・・」
疲れきった顔をしているのも無理はない。
ここに来るまでずっと休んでいないし、未だ心は混乱したままで体もヘトヘトだった。
「そうするべきだが、今、君にもしものことがあっては困る。休んで体力を回復させていきなさい、ここは安全だから何も心配はいらないよ」
「有難う、そうさせてもらいます・・・」
私は言葉に甘えて、修道院で休んでいくことにした。
食事を一階で済ませ、再び二階に戻り窓際のベッドを借りた。
まだ窓の外は明るい。
寝るには早い時間だけど、早く休みたかった。
修道士さんから譲ってもらった白いローブに着替え、ベッドに横になるとすぐ眠気が襲ってきた。
なぜ夢の中で眠くなるのかな・・・。
うつらうつらとしながら、これからのことを考えていた。
武器をどこかで調達しなくっちゃ。
Daedricダガー、あれが強くて使いやすいから欲しいな。
私が持っていたあのDaedricダガーはどこで手に入れたんだったっけ。
そして・・・マーティンに会いたい。
明日になって夢から覚めても覚めなくてもすぐに会いに行きたい。
まーくん・・・まーくん・・・
目を閉じて愛しい名前を呟いていると、次第に意識が遠のき、深い眠りに落ちていった。
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