この光景、私は知ってる・・・。
ブレードたちは私を見て怪訝な顔をしていた。
「おい、なぜこの中に囚人がいるんだ」
「おかしいな、ここは使うなと指示した筈なのですが」
「先に進むしかない、おい囚人、ぼーっとしていないで後ろに下がれ!」
ブレードは威圧的な口調で命令してきた。
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私が奥の壁まで下がると、すぐに檻の鍵が開き、どかどかと入ってきた。
「いいか囚人、そこを動くな。おかしな真似をしたら叩き斬るからな!」
ブレードの一人が私の前に立ちふさがって物凄い形相で睨みつけている。
ブレードに護衛されながら後から入ってきた皇帝は、私を見るなり目を丸くした。
「おお、君はもしや・・・よく顔を見せてくれ」
「そなたの顔は見たことがある、そう、夢の中だ。星のお告げは正しかった」
私だって貴方の顔見たことあるし誰なのか知ってるわ、だって一度会ったんだから、と言いたかったが、なぜか声が出ず、体も金縛りにあったかの様に動かない。
Uriel Septimは自分は皇帝であり、息子達が突如襲ってきた暗殺者に殺され、次は自分の番だろうと沈痛な面持ちで語った。
「だが、そなたがここに居て会えたことは私の希望だ。神々のご意思に違いない」
ブレードが壁の隠しスイッチを押すと、さっきまで私が寝ていた寝床の横壁が音を立てながら開いた。
「陛下、お急ぎ下さい。追っ手が迫っております」
「・・・うむ」
ブレードたちは皇帝を守りながら横穴の先へ消えていった。
私の前を通り過ぎていった護衛の中にはよく知っている人物がいた。
Baurus。
でも彼は私の顔をチラリと見ただけで足早に去ってしまった。
私は穴の前で何が起きているのか理解できず混乱していた。
今起きたことはすべて一度経験した記憶があった。
皇帝陛下の言葉も、ブレードたちの言葉も、一度は聞いたことを彼らは繰り返していた。
つまりこれって、夢よね?
そう、きっと夢だわ・・・私は寺院にいたんだから。
夢なら覚めてよ、と目をぎゅっと閉じてそおっと開いたが、周囲の景色は変らない。
ほっぺたを思いっきりつねってみた。
>Д<。ついて行こう・・・ついて行くしかない。
彼らはどんどん先へ進んでいく。
私が見たことがある場面を彼らは確かに繰り返している。
途中で赤いローブの暗殺教団が襲い掛かってきた。
暗殺者は倒されたが、一人のブレードが犠牲になってしまった。
これが夢だとしても、武器がないまま先へ進むのは心許ない。
地面に落ちたブレードの刀を拾い、彼らの後を追った。
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