「・・・キ・・・イ」
「オキ・・・イ・・・」
耳元で誰かが囁いている。
「 オキナイカ イツマデ ネテイル 」
もう・・・誰?私はまだ眠っていたいのよ。
男の人の声みたいだけど・・・マーティンかBurdが起こしに来たのかな。
ん・・・、どれくらい私は眠っていたんだろう。
昨夜寺院に到着したのが遅かったせいで、遅くまで眠ってしまった。
今何時かしら・・・。
そろそろ起きないと、と私は重い瞼を開いた。
[0回]
視界に入ったのは、薄汚い石の壁と天井。
あれ?寺院の天井ってこんなに汚かったかしら・・・。
私はぼんやりと思った。
ここ、寺院よね。
私、確かまーくんの部屋まで行って・・・
目を覚まそうと横になったまま大きく息を吸うと、かびの匂いが鼻をついた。
どうも様子がおかしい。
私は眠い目を擦りながら体を起こした。
「まーくん、どこ?」
近くにいるはずのマーティンの名前を呼んでみる。
しかし返事はない。
耳を澄ますが、恐ろしいほど静かだった。
重い体を寝床から起こして立ち上がり、辺りを見回した。
垂れ下がった鎖、冷たい石の床、そして金属の檻・・・ここはどう考えても見慣れた寺院ではなかった。
ここは牢屋?
なぜ私は牢屋の中にいるのかしら。
檻の外を見ようと近づくと、向かい側の牢に誰か居た。
その人は檻越しに私を見つけるなり、ひゃひゃひゃと気味の悪い笑い声を上げた。
「うひょーう、こいつはべっぴんさんだな!看守の奴ら、いい獲物を捕まえてきたじゃねえか!」
「な、なんなの?ねえ、ここはどこ?私はなぜここにいるの?」
反対側の檻に収監されている男はどうやらダークエルフらしい。
イヒヒ、と笑い声を上げ、愉快そうに私を見た。
「あんたが何をしたかって?俺が知るわけねーだろうが。どうせ獲物が欲しかった看守が難癖つけてアンタをそこに放りこんだんだろ。今夜はお楽しみだな」
「お楽しみって、どういうこと・・・」
「お楽しみはお楽しみだろ?あんたにとっちゃ地獄だろうがね、ヒヒヒ!まあ、無駄に抵抗しない方が身のためだぜ。おっと、どうやらあいつらが来たみたいだ、早いな・・・イヒヒ・・・」
男が檻の向こう側に引っ込むと、遠くから階段を下りてくる足音が聞こえた。
に、逃げた方がいいんじゃないかしら、逃げなくっちゃ・・・!
しかしどこにも逃げ場はない。
私が顔を青ざめてオロオロしていると、檻の向こうにローブを着た人物と鎧で身を固めた数人の兵士が現れた。
・・・え?
私は目の前にいる相手が誰なのかすぐにわかった。
ブレードと皇帝陛下!?
ど、どうなっているの!?
PR