「諸君、先日の面接会での選考結果、採用することになった新しい仲間を紹介しよう」

寺院の広間に集合したブレード一員の前でマーティンは話し始めた。
「このクラウドルーラー寺院は特別な組織であるので、人事部、探偵部の者に過去の経歴を厳しくチェックさせ、ようやくクリアな人物を無事採用するに至った」

暖炉の前には3名の新メンバーが緊張した面持ちでマーティンの話に耳を傾けていた。
「私はこの新たなる仲間に期待している。聞き分けのない元老院に我々は立ち向かう為、強力な信頼と協力関係の絆を深めていかねばならん。それでは私から新メンバーを紹介しよう」

マーティンは3人の近くに歩み寄り、一人ずつ紹介した。
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「まず彼女から紹介しよう。彼女はSI出身の黄金聖闘士、Asakoくんだ。すばらしい能力の持ち主で、なんと千里眼が使える。この能力は遠くの店で売られている安い商品を探し、節約に結びつくと考えた。尚、戦闘経験も豊富で、以前の任務では何度も死線を潜り抜けた兵である」

「始めまして、Asakoと申します。今すごく緊張していますが早くここに馴染めるよう頑張りまーす」
「では次はImperial City出身の都会派Montoくんを紹介しよう。彼の突出した能力は営業スマイルである。彼の笑顔はどんな頑固者でも心を溶かし、すぐに打ち解け商談を優位に持っていくという稀な才能を持っている。この才能が我が寺院の窮地を救うと私は考えた。戦うセールスマンとして戦闘能力も申し分ない力を持っている」

「Montoです、宜しくお願いします。寺院の発展に全力を尽くし、頑張る所存です」
「最後はユニークさで採用となったKorukoくんを紹介しよう。彼は素晴らしい編み物能力を持っている。手袋だろうが、マフラーだろうがセーターだろうが相手の体型を見ただけでピッタリサイズの編み物を提供してくれるのだ。特に彼の編む毛糸のパンツは履き心地が良く、注文に追いつけないほどの大人気ぶりであったそうだ。編み物で戦える男は彼しか居まい」

「おおきに、おおきに、わてKorukoいいます~。手袋ぐらいやったらすぐ編めますさかい、気軽にいつでも頼んでや~」
「と言うわけで3人を紹介させてもらった。入ったばかりでまだ何もわからないと思うので、皆いろいろ教えてやって欲しい」

「こちらこそ宜しくお願いしまーす」
「皆で頑張っていこうぜ!」
「100%の勇気があればへっちゃらだぜ!」
ブレードたちから歓声と共に新人たちへ歓迎のメッセージが次々と送られた。
しかし、いつも一番に励ましそうな人物からの声が上がってこない。

「ああ、そこの黄・・・じゃないBurdよ、何か言うことはないか?(^^」
皆の後ろに隠れるように立っていたBurdに向かってマーティンは話しかけた。
「・・・自分からは別に何も・・・」

彼らしくない小さな声で短く答えただけだった。


寺院が静まり返り、気まずくなった場を取り持とうとMiariはマーティンに尋ねた。

「ね、ねえ、まーくん。ハウスキーパーも雇うって言ってたわよね。3人さんの誰がハウスキーパーになるの?」
「ハウスキーパー?おっと、そうだった。ハウスキーパー職はまた別の人物を採用したんだ。物陰に隠れたままだったから危うく紹介を忘れるところだったよ」
そしてマーティンは広間横の柱の方を振り向いて言った。

「そこの君、出てきてくれるかな?」
マーティンが声をかけると、柱の影から白装束の男がぬっと姿を現した。
彼は気配を消していたため、それまで誰も気付くものはいなかったので皆内心驚いてドッキリした。

「諸君、この寺院専属のハウスキーパーとして今日から働くことになったアノレタイノレくんを紹介しよう」
マーティンに名前を紹介されたアノレタイノレは、照れくさそうに小さく皆に向かって会釈した。
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