午前7時。
マーティンは朝食のパンをつまんでいた。

元神父なので、ワインとパンばかり食べているみたいだけど、それだけで体は持つのかしら。
もっと栄養のある物を取った方がいいんじゃないかしらと、心配になる。
食事を済ませ、再び本を読み出したが、何か思いついたらしくマーティンは本を置いて立ち上がり、Burdに話しかけた。
[0回]
「Burd、大事な事を忘れていた」
「はあ、どうされました殿下」

「お前に渡したい物があったのだ。倉庫に置いてあるからついて来てくれ」
「渡したい物?な、何でしょう殿下(恐)」
「なぜ怯える。ほら、早く来い」
どこへ行くのだろうと私も二人の後を付いていくと、マーティンはBurdを武器や鎧が置かれている別棟の倉庫に連れて来た。

「お前が着ているブレードの鎧なのだが、実はな、キャプテン用の他のブレード鎧とは違う色の鎧があるのだ。ほら、これなのだが着替えてみてくれ」
マーティンは鎧一式をBurdに渡した。
「キャプテン用ですと?滅相もない、自分は普通のブレード鎧で満足していますよ」
Burdは慌てて受け取るのを拒否したが、マーティンは強引に鎧を押し付けた。
「いいから着替えてみろ、きっと似合うはずだ」
「はあ・・・」
強制的にBurdは鎧を着替えさせられた。
「ほら、着てみましたよ、どうです、似合いますかな」

マーティンはまじまじと見ていたが、眉間に皺を寄せて言った。
「暗くてここではよくわからん、外に出ろ」
寺院の外に出て、明るい日の下でマーティンはBurdを見て一言呟いた。
「・・・似合わんな」

「一方的に無理矢理着せておいて感想がそれですか(泣)」
「色がミステイクだ。お前は普通のブレード鎧が似合うらしい。すまないがその鎧は元の場所へ戻しておいてくれ」
「はいはい、そうしますよ。私も前のがいいです。ったく殿下の気まぐれも困ったもんですな」
Burdは文句を言いながら、鎧を戻しに倉庫に行ってしまった。
午前9時。
マーティンは中に戻って本を読むのかと思いきや、Baurusと世間話を始めた。

内容は難しくて理解できなかったが、時折「ネタ」とか「企画」とか「ヌヌン派」がどうのこうのと言う言葉が聞き取れたので、そんな真面目な会話でもなかったようだ。
午前10時。
「しなければならないことがあるので、部屋に取りに行ってくる。友よ、外で待っていてくれ」

そう言ってマーティンは何かを取りに部屋を出て行った。
寺院の外で待っていると、マーティンが長い棒とバスケットを持って現れた。

「殿下、そんな物持って今から何をなさるおつもりですか?(汗)」
「何って、洗濯物を干すのだ」
「は?洗濯物ですと?」
マーティンは、寺院と馬小屋に挟まれた狭い通路に私達を連れて来た。

「ジョフレやBaurusに、そんな庶民的な行動を民に知られたら恥ずかしいから止めてくれといつも怒られるのだが、こればかりは私の長年の習慣になっているので、何と言われようが絶対譲れんのだ」
物干し竿を両側の壁に挟んで、それに洗濯物をつり下げた。
「今日は天気がいいから、よく乾くだろう」

マーティンは干された洗濯物を楽しげに見つめていた。
「えっと、まーくんは10時に洗濯物を干しに行く・・・と」

私がメモしていると、Burdがヒソヒソと話しかけてきた。
「貴公、殿下にツッコミしたいのですが、あまりの皇帝陛下らしからぬ激しく平凡なお姿に衝撃を受けてしまい何も言葉が出ません(泣)」
「別に無理してツッコミ入れなくたっていいわよ、Burd。それにこんな家庭的なまーくんってとっても素敵じゃない、萌えるわよね~」
「殿下が洗濯物干してる姿を見て萌えられるのは貴公だけですッ!」
「友よ、しっかりと記録してくれたかな」
にこにこしながらマーティンが振り向いた。

「うん、おk、書いたわよ」
「では中へ戻ろうか」
「・・・殿下、ワザといつもと違う行動されてますな」
「そんなことはない、これがいつもの私なのだ。素敵だろう?(^^」
「御自分で素敵だろう?とか言わんで下さい」
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