クラウドルーラー寺院の大広間で、会議が執り行われることになった。

丹念に掃除がされた広間に机が並べられ、マーティン以下重要な寺院のブレインたちがそれぞれの席に着席している。
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「諸君、今日は月に一度の大事な会議を執り行う」
マーティンが最初の挨拶を述べる。

「今回は初めて参加する新人もいるので、よく会議内容を勉強しこれからを担う頼れる若手となってほしい」
(一応建前上トップである)マーティン殿下が仕切る会議なのだから、とても重要なことがいつもここで議決されているのだろう。
Burdは心を引き締め、マーティンの言葉に真剣な面持ちで耳を傾けた。

「ここで議論される内容に初めは戸惑うことばかりだろう。まあ、最初は私もついていけずに自信喪失し会議恐怖症になって登院拒否寸前までいったぐらいだ、ははは」
マーティンは笑いながら言った。
「確かに、会議に慣れないころの殿下は目も当てられないほどお気の毒な狼狽っぷりでしたからなあ」

隣のジョフレが和やかに笑った。
「あの頃に比べて陛下は400%アップ(※寺院比)で強くなったよな!!!!」
Baurusも一緒になって笑っている。
って、会話の内容はまったく笑えないのだが。
しかし、会議にしては堅苦しさをそこまで感じさせない和やかさがあり、Burdは緊張感が解けたが、ふと、マーティンの隣の空いた席が気になった。

上座の席が空いたままで誰も座っていない。

本来なら、あの上座にマーティンが座るべきではないのだろうか。
あの席、誰が座るの?
「殿下、すみません、ちょっとお尋ねしてよろしいですかな」

「なんだ、新人」
「え?新人?あたしが新人ですか?隣の白い方のが新人でしょ?まさか同じ扱いですか?まあいいや、そちらの空いた席はどなたが座るのですかな?」
「空いた席だと?」
マーティンはすっとぼけた顔をした。

「とぼけないでください。殿下の左手側の隣の席が空いているでしょ?なぜ殿下がそこに座らないのですか?一番のお偉いさんが座る席でしょ」
「・・・え・・・えと、この席は・・・誰の席だった・・・かな・・・」

その席の存在を恐れているのか、マーティンは震える声でつぶやいた。
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