クラウドルーラー寺院の平穏ないつもの日常・・・。
それはマーティンが朝から夜遅くまで
洗濯マニュアル本や家庭の料理全集本に目を通し読み耽っている場面である。
しかし就寝時間が夜中の3時で起床が6時というのは体に負担がかかり過労で倒れてしまうのではと皆は心配していた。
[1回]
さり気なく「早くおやすみになっては」と忠言していたが、当の本人は「大丈夫だ、私はまだまだ若いんだからな。安心してくれ、無理はしていない(^^」と満面の笑顔で返答するのでそれ以上強くは言えなかった。
だがジョフレはそれでもマーティンの事を心配して、なんとか早く寝てもらいたいと思っていた。
今日もすでに時刻は夜の2時を回り、皆寝静まっている。
「陛下、今日はお疲れでしょう。続きはまた明日にしてはどうですか?」
読書に没頭しているマーティンに話しかけた。
「まだ眠くないのだ。この本を読み終えてから寝るよ」
マーティンが読んでいる本を見ると、まだ半分以上ページは残っている。
最後まで読んでいたら朝になってしまう。
「・・・陛下、早く寝ないとおばけがでますよ」
「なに?」
マーティンは本から目を離してジョフレに振り返った。
「おばけです」
ジョフレは真面目な顔で言った。
笑いながらマーティンは席を立った。
「ジョフレは私を子供だと思っているな?寺院に幽霊など出るわけがなかろう、からかわないでくれ」
ジョフレは本当ですと言わんばかりに眉間にシワを寄せた。
「陛下、実はこの寺院の地下には歴代の皇帝を死守すべく命を投げ打ったブレードたちの亡骸が埋葬されていましてね。死してもまだなお皇帝を守ろうとする彼らの魂が寺院内に現れるようになったので、彼らが彷徨い出さないようにと結界代わりに地下には迷路が張り巡らされたのです」
「この寺院の地下に迷路があるのか?面白い冗談だな、そんな話初耳だよ」
「いえ、どこかに地下迷宮への扉があると聞いたことがあります。歴代の皇帝が夜更かしする度にその扉からおばけが心配して現れたそうです。だから早く寝ましょう陛下」
「ははは、ジョフレは私を早く寝かしつけたいから作り話で脅かそうとしているんだろうが無駄だぞ、楽しい話を有難う」
マーティンはジョフレの話を相手にせず信じなかった。
ジョフレが寝た後も構わず、夜遅くまで本を読み耽っていたのだった。
次の日の朝。
マーティンはいつもの様に庭の掃き掃除をしていた。
掃除なんて陛下はなさらないで下さいと皆に止められていたが、
寺の住職として日課だった掃除を辞めるつもりはなかった。
階段を降り、下まで掃き終わったので寺院に戻ろうとした時だった。
「ん?」
マーティンは奇妙な物が視界に入り、なんだと目を凝らした。
壁と石と木に挟まれるように、地下への入り口らしき扉が地面にあった。
「なんですか殿下、こんなとこに私をつれてきて」
「Burdよ、大変なのだ、これを見てくれ!」
マーティンはBurdの腕を引っ張り、さっき見つけた地面の扉を見せた。
「蓋?なぜこんなところに蓋が落ちているんですか?」
「蓋ではない!地下迷宮への入り口だ!」
マーティンは昨夜のジョフレの話をBurdに話して聞かせた。
「おばけ?ほほう、殿下はおばけが怖いんですな( ̄ー ̄)」
「霊が怖いわけではない。ただ思い当たる節があるのだ。本を読んでいると後ろから視線を感じることがよくある。あれはきっとこの寺院の霊の仕業に違いない」
「あのう、失礼ですがそれはBaurus殿では?」
「ある朝、寝坊してしまい昼に起きた私は慌てて洗濯物を干しに行ったらすでに干してあったのだ。私の楽しみを奪うとは、きっとこの寺院の霊の仕業に違いない」
「それもBaurus殿だと思いますが。気を利かせて干してくれたんだと思います」
「ある昼の話だ。ブレードや皆の為に17人分の食事を用意したのだが、材料を多く使いすぎて18人分作ってしまいテーブルに並べてしまった。後で片付けようとしたらなんとすべての皿が空になっていたのだ!あれはきっとこの寺院の霊の仕業に違いない」
「ご友人を数に入れれば18人になりますな。あれが食べたんでしょう」
「ある夜の話だ。私が取り込んだ洗濯物をたたんでいると、靴下が片方なくなっていたのだ。物干し台の辺りを見てみたのだがどこにも落ちていなかった。あれはきっとこの寺院の霊の仕業に違いない」
「片方の靴下は洗い桶のすみっこに取り越されていたのでは?」
マーティンは手を合わせて懇願した。
「というわけでBurdよ、地下に降りて霊に洗濯物にだけは手を出すなと説得してきてくれ!」
Burdはとんでもないと真っ青になって首を横に振った。
「いやですよ!地下迷路なんて狭くて真っ暗に決まってますから!」
「なんだ、お前は狭くて暗い場所が怖いのか(笑」
「なんですか今のニヤリ笑いは。殿下、変なこと考えましたね?ただ私は体が大きいので狭い場所は動き辛いだけですっ!」
「なんの為にお前をここに連れてきたと思っている。とにかく降りて調べてこい。寺院の地下に迷路があると考えただけで目が回って眠くなってくるのだ」
「殿下はいつも夜更かししてるから丁度いい薬じゃありませんか。私は絶対潜りませんっ!そういうことはご友人に頼んでくださいっ!」
結局皆怖がって誰も地下に潜って調べた者はいなかったらしい。
これをきっかけにマーティンの就寝時間が早くなったとか。
■
Cloud Ruler Labyrinth寺院地下に迷路を追加します。
なぜ寺院に迷路があるのかは説明されてないので、勝手に理由を考えていたら上の話が浮かんで、笑ってしまいました。
迷路はとても良く出来ているのでぜひ、狭いところが苦手なBurdの代わりに探索してみてくださいね。
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