今回は
この話の続きみたいな感じ。
「腹、減ったなあ・・・」
「減りましたねえ・・・」

帝都の湖が目前に広がる洞窟に住むBAB普及委員会メンバーA・Bの両名は吊り下げられた空のボロ鍋をぼんやりと眺めていた。
会長のBABオヤジが詐欺師に騙されて家を失い、一同は仕方なくこの洞窟を住居として使っていたが、近頃は二人の仕事も減り、明日の食べ物にも困るようになっていた。
ここ最近はずっと「カニ鍋」ばかりが続いている。

この辺りは水辺ということもあり、カニがよく現れる。
初めのころは捕まえて茹でたり鍋にして食べていたが、さすがに毎日カニ尽くしでは飽きてきたし、帝都ガニは元々美味しいものではないのでどんなに食べても満腹感が得られなかった。
「カニも魚も見るのも嫌だ。ああ~、肉が食いてえなあ」

「いのしし鍋が食べたいですねえ。鹿鍋でもいい。ジンギスカンなんていつ食べたかもう憶えていませんよ」
「うおー肉ー!何でもいいから肉が食いてーな!」
二人が美味しそうな数々の肉料理を想像していると、BABオヤジがひょっこり戻ってきた。
[3回]
「おう、お前たち、ただいま。今日はいい儲け話を仕入れてきたぞ」

「おお、どんな話だ」
「これなら10万マルクの借金など軽く返せるだろう。いわゆる先物取引という奴だ。安く仕入れて価値が出たところで売りさばく・・・」
「先物取引はリスクも高いと聞きますよ。ヤバくないですか?」
「ワシもそう思ったが、話を聞いているうちにこれはいけると確信したんだよ。なんだってあの有名な黒チョコボをシロディールで育てて乗り物として販売するという今までだれもやったことが無い前代未聞の儲け話だ」

「え、チョコボってまさかあのクエッと鳴く愛らしい超有名な・・・!」
「すげえな!そんな話見つけてくるなんてさすが会長だぜ!」
BABオヤジは得意げに言った。
「サンプルにと相手が黒チョコボを一羽売ってくれてね。お前たちに見てもらおうと思って連れて来たよ。ほら、あの子だ」

と、BABオヤジが示す先にはチョコボというより黒いニワトリが居た。
「クエッ」
(おいおい!どこがチョコボだよ!)
(どう見たって鶏じゃないか!しかもやたらでかいぞコイツ!)「見事な黒チョコボだろう・・・ワシは初めてチョコボというのを見たが、こんなにかわいいものとは知らなかった」

(会長!本物のチョコボ見たことないのかよ!?こりゃまた騙されたな!!)
「さあおいで~♪コッコちゃん♪」

(名前付けてるし!しかもチョコボって言いつつニワトリそのものなネーミングかよ!!)
「見たまえ、この貫禄のある姿を・・・これぞまさしくチョコボの、いや、黒チョコボの鏡ではないかね」

「あのう会長、水を差すようですが、それはチョコボというよりはニワトリではないでしょうか。会長はチョコボと偽ってニワトリを買わされたのではないかと自分は推測します」
「ん?これがチョコボではないと?何をとぼけたことを。こうしてちゃんと乗ることも出来るじゃないか」

「めちゃくちゃ不安定な体勢になってます」
「乗れればいいってもんじゃねえよ」
「ワシはこれを老若男女に大人気の素敵な乗り物チョコボとして育てるべく、数を増やしていくつもりだ」
自信満々のBABオヤジに二人は不信感が沸いてきた。
これは止めないとまずい。
「会長、すばらしい案を思いついたのですが」

「ほう、何かね」
「チョコボとしてではなく、食肉加工用の養鶏としてコッコちゃんを増やしてはどうでしょうか。乗り物としてよりそっちの方が絶対に無難ですよ」
「そうだそうだ。こいつを高級地鶏オブリコーチンとして売り出せば儲けること間違いなしだって会長!」
「肉として売るのか?このコッコちゃんを?」
「だってほら、よおく見てくださいよ!」

「このガッシリとしたハリのある胸肉、水炊きに最高じゃないでしょうか!(ゴクリ」

「このむっちり太もも、ローストチキンレッグにしたならば超巨大チキンレッグで家族総出の舌鼓コースとくらぁ!(ゴクリ」
二人の意見に賛同出来ないらしく、BABオヤジは顔をしかめた。
「お前たちはこのコッコちゃんを食べるために増やすというのか?冗談じゃない(プンスカ」

「会長!普通鶏は鶏肉として食べる為に鶏を増やすものですよ!?それ雄鶏だから卵も産まないし」
「だからこれは鶏ではなくチョコボだ」
BABオヤジは黒鶏をチョコボだと信じきっているようだ。
「どう見ても鶏です!そうだ、もう一ついい案を思いつきました!加工した肉に衣をつけて油で揚げて売り出すというのはどうでしょうか。ジュースと揚げたポテトをつけて笑顔セットなんてのを出せばバカ受けですよ!『BABフライでチキン』という会社を立ち上げてやりましょう会長!」

「鶏肉を油で揚げる?どこからそんなおかしな発想が出てくるんだ。誰もそんなもの金を出してまで買おうとはせんよ」
「えー?いい案だと思ったんですが・・・」
「ワシの目に狂いはない、そんな商売はやめておけ。それよりコッコちゃんを立派な黒チョコボに育てて皆の人気者にした方がガッポリ稼げるだろう。ほら、お前たちがごちゃごちゃ余計なこと言うからコッコちゃんがいぢけてしまったぞ」

(あの後姿、どう見ても鶏だよなあ)
(ああ・・・鶏の丸焼き、鶏の丸焼き・・・)
「コッコちゃんは自分を鶏と間違えるとは失礼な奴だと考えているんだよ・・・」

「クエッ(我輩は鶏である」
「かわいい奴じゃないか。将来が楽しみだな」

(このオヤジ、一生借金返すの無理だな)
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hrChocoboMount
黒チョコボを追加しますが、外見は黒いニワトリです。
少々動作が不安定なので導入の際には注意したほうがいいかも。
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Maddogs Fantasy Mod本家チョコボに乗りたかったらこれしかない!
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