「Burd隊長!待ってください、待ってくださいってば!」

城を出たBurdの後をCariusが急いで追いかけてきた。
「なんだ、Carius」
「怒らないんですか?」

「どうしてそんなことを聞くんだ」
CariusにとってBurdの反応は不可解だったのだろう。
「だって、長い間Brumaのために隊長は頑張ってきたのに、一度離れただけで一方的に必要ないって言われたんですよ?僕ならめちゃめちゃ怒って抗議します!」
Burdは悲しげに笑いながら、ゆっくりと言い聞かせた。
「俺が必要とされない理由ははっきりしてるじゃないか。もうガードは辞めたんだし、今更怒ったって時間の無駄になるだけだ」

「だからって簡単に諦めるなんておかしいですよ。今までの努力はなんだったんだって思わないんですか?腹が立って当然だと僕は思いますが」
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「あのな、Carius」
Burdは穏やかに言った。
「人間、がむしゃらに頑張るのも大事だが、身を引いた方がいい場合もあるんだ。お前が隊長になったことでBrumaガードは前よりもまとまったし、Yvaraは結婚したことでもっと幸せになれた。俺がいない方が皆上手くいってるのなら何も言う事はないじゃないか」
「自分のことよりも人の幸せを大事にしたいってことですよね。でも普通は自分が幸せじゃないとそんなセリフ言えないはずです。隊長自身は今、幸せなんですか?」

問われたBurdは苦笑いした。
「俺も人間だから君らへの嫉妬がまったくない訳じゃない。だが恨んで何になる?事情があったとはいえ、俺は一度Brumaを離れた身だから、とやかく言える立場にないんだ。いずれBrumaガードはお前にすべて任せるつもりでいた。大変だろうが、隊長としてこれからBrumaのために頑張るんだぞ」
「隊長って、僕が思っていたよりもっと強い人だったんだなあ・・・」
Cariusは寂しそうに笑って言った。
「最後に言わせてください。僕にとって貴方は永遠に隊長であり僕の尊敬する大先輩です。隊長がブレードになっても僕の隊長であることはずっと変わりません」

「はは、なんだ、そう改まって畏まれるとこっちが照れるじゃないか。・・・ありがとう。気が向いたらまた顔を見せてくれよ」
「遊びに行きますよ。仲間たちも連れて行きますから」
「ああ、待ってる。それじゃ、俺はもう帰るよ、元気でなCarius」

「はい、隊長もお元気で!」
BurdはCariusに別れを告げ、街の外へ出た。

街の外に出ると冷たい風が吹き抜け、草木がさわさわと揺れていた。
(はぁ・・・)

緊張が解け、思わずため息がもれた。
皆の前では元気なそぶりを見せたものの、心は晴れないまま落ち込んでいた。
これでもう完全にBrumaガードに戻ることはなくなってしまった。
頭の中に、ガード時代の辛かったことや楽しかった数々の思い出が蘇ってきて涙がこぼれそうになった。
これからはブレードとして頑張らなければ・・・と顔を上げると、見慣れた人物が目の前でウロウロしていた。

(おや、あれは・・・何やってるんだこんなとこで)
Miariは考え込んでいる様で、出てきたBurdに気付いていなかった。
Burdは近づいて声をかけた。
「貴公、なにやってんですか?迷子にでもなりましたかな」

「ひぇ!」
Miariはびっくりした上に動揺したのか慌てて弁明した。
「わわわ私ここでBruma城にどうやって忍び込もうかとか考えてた訳じゃないわよ!」

「はぃ?忍び込むつもりだったんですか?どうしてまた」
「だって他にBurdを連れ戻す方法思いつかなくて!><」
BurdはMiariの慌て振りを見て思わず吹き出した。
「おやまあ、そんなこと企んでいたんですか。貴公らしい無鉄砲さは相変わらずですな、ははは。そんなことしなくてもいいですよ。さあ、一緒に寺院に帰りましょうか」

Miariは目を丸くして言った。
「え?ブレード辞めるつもりでここに来たんじゃなかったの?」
「ブレード辞めたらこの鎧着てる訳ないでしょうが。辞めたのはガードの方です。先ほど伯爵婦人に剣と鎧をお返ししてきました。これでガードは完全に卒業しましたよ」
「剣と鎧って、あれすごく大事にしていたじゃない、返してもいいの?」
Burdは自分のブレード鎧に触れて言った。
「私にはこれがあるからもう不要です。ところで貴公、どうして私がブレードを辞めるかもしれないと思ったんですか?今回の件を貴公に直接話した憶えはないんですが」

「え?ああっとぉ~どうしてかっていうと・・・私ってほら、ちょっと地獄耳なトコあるじゃない?だからほら聞かなくていいことまで聞いて知ってたりするのよね」
「ああ、つまり私たちの話を立ち聞きしたと。相変わらずいい耳してますなあ。怒っても通り抜けてしまう殿下の耳と足して2で割れば丁度いい具合になるかもしれませんな」
「そうよ、立ち聞きしましたごめんなさい!><殿下だってBurdのことすごく心配してて・・・」
そこまで言ってMiariは急に思い出したことがあり出し抜けに大きな声になった。
「殿下!?そうそう、Burdが寺院を出てからまーくん大変だったのよ!」

「うわ、急に大きな声出さんで下さい、びっくりした。殿下に何かあったんですか?」
「Burdが外出してから『カッコつけてBurdにあんなこと言ってしまったが、本当にブレードを辞めたらどうしよう』って涙目でオロオロしていて・・・洗濯物を取り込む気力も出ないって凹んでいたんだから」
「あ~それは重症ですな。殿下が倒れないうちに帰りましょうか」
Burdは心の中でマーティンのカッコつけたがりは相変わらずなんだなと思った。

Burdは自分を待ってくれている、必要としてくれる人たちがいて本当に良かった、と胸が熱くなった。
END
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