オール黄色問題だった第一次試験。
まさか自分のテストだけ黄色問題だったのではないかと心配になったBurdは、試験が終わり休憩時間に入ったところで周囲に尋ねてみた。
「皆さん、試験の具合はどうでしたか?」
「一次試験は思ってたより簡単だったな。バナナダイエットは俺のかみさんがはまってたもんだ。効果?聞かないでくれよ(笑」

「Hive Mindが採掘作業工具で倒せるのに、Dagonが倒せねーってのは500%間違ってると思うんだよなー」
「ねえねえ、なんでBrumaガードの服って黄色いの?Burdが黄色好きだから?」
皆の話を聞く限り、どうやら同じ試験問題を解いていた様だ。
Burdは自分がテストでもマーティンにおちょくられているのではないかと思い始めていたので、賑やかに試験の出来を話し合う級友たちの会話を聞いてほっとした。
[1回]
短い休憩時間の後、第二次試験が始まった。
「君たちがこれから受ける二次試験は先ほど説明したとおり、ブレードとして心得ておくべき能力を集結させた問題となっている。つまりこの試験で及第点に届かなかった者はブレードとしての素質に欠けると言っても過言ではない」

普段のマーティンからは想像出来ないような厳しい言葉に皆は緊張した。
「もしも落第点を取った者が居た場合は、後ほどみっちりと補習を受けてもらうぞ。まあ、エリート揃いの諸君ならこのテストで落第点など取るものはいないだろう」
マーティンの表情はいつになく真剣だ。

「あの忌々しいー・・・我々の敵への対処法や対抗策など尋ねる難問も用意させてもらった。ぜひ君たちのアイデアと閃きで回答してもらいたい」
敵とはやはりCamoran一族のことだろうか。
これは手ごたえのあるテストになりそうだ。
開始の合図が出ると、Burdは二次試験のテスト問題を緊張しながら読み始めた。

第1問 非常事態対応力

一問目からレベルの高い問題だ。
これこそ護衛スペシャリストのための素質を問う問題だろう。
Burdはこんな問題を待っていたのだ。
(ふむ、確か帝都刑務所囚人収監予備室3A-6番、壁の隠しスイッチで・・・)
この辺りの問題はしっかり勉強していたのですぐに解答出来た。
第2問 快適空間力

隠し通路を快適にする?
快適にする意味ってあるんだろうか。
湿気を無くすには換気を良くするしかないが、喚起の為に穴を多く開けていては隠し通路の意味がなくなってしまう。
滑る危険がない程度の湿気ぐらい我慢すべきでは、とBurdは思ったが、通気を良くする方法をとりあえず真面目に考えてみることにした。
第3問 消火力

Cが正解っぽいがBも捨てがたい。
Aで鎮火できるのって殿下だけではないだろうか。
って、まさか寺院を火事にしかけた事があるの!?
第4問 清掃力

いきなり意味不明な問題がきた。
pH度って何?
合成洗剤やクレンザー、という言葉は軍曹とマーティンの会話で聞いた気もするが・・・。
第5問 洗浄力

思わず心の中で「知らんがな」と呟いてしまった。
ホコリがたまってくるとベタベタしてくるが、あれは油と混ざっているからだろうか。
第6問 洗浄力2

重曹って、軍曹の仲間だろうか。
だとすれば物凄い大活躍をしてくれそうな予感がする。
第7問 材質鑑定力

以前殿下が寺院の壁に向かって雑巾を手にしたままブツブツ呟いていて大丈夫だろうかと心配になったことがあったが、あれは土壁の汚れを拭こうとして壁の砂が剥がれてしまい困っていたのかもしれない。
「土壁の掃除はハタキが一番です」と記入した。
第8問 防衛力1

水分が多くて暗くてジメジメして・・・Brumaが温暖化したら、寺院が真っ先にカビにやられそうだ。
第9問 防衛力2

押入れは発生し易そうだ。
水分が多い場所となると、後は窓や浴室だろうか。
第10問 防衛力3

清潔にして乾燥させておくのが一番だろう。
でもなんでこんな問題があるの?
第11問 防衛力4

やけにカビの駆除にこだわっているが、殿下はカビが嫌いなんだろうか。
まあ、カビが好きな人ってあまりいなさそうだけど。
第12問 浄化能力1

「30分後に桶の水で手を洗え」だろうか。
それとも「30日後に手馴れの者を寄こす」だろうか・・・。
第13問 浄化能力2

これ暗号っていうより、もしかしたら洗濯物関係の取り扱いを説明した絵表示で、日陰でつり干しとか手洗いしてという意味のアレでは・・・。
第14問 知識力

綿と朝は植物繊維、ウールとシルクは動物繊維。
綿の性質は丈夫で痛みに強くて、ええっと・・・。
第15問 耐久力

色落ちは洗い方や日に当てすぎ、縮みは繊維の特徴だったような。
第16問 漂白力

服にシミが付いているのを見つけるなり「こらこら、また汚したのか。綺麗に洗ってやろう(^^」と嬉しそうな顔をするのはマーティン殿下ぐらいなものだろう。
第17問 クリーニング力

軍曹の友人のマーティにお任せしないと簡単に解けそうにない問題である。
第18問 修復力

第19問 発想力

第20問 攻撃力

18~20の3つの問題はマーティン自身の悩みがそのまま問題になっているような。
テカリはブラシで擦る、室内干しのニオイの原因は雑菌と聞いたことがあるので、洗い物をため込まずすぐに洗って干す、黒いヤツは撃退よりも寺院に入ってこないように工夫するのが一番ではないだろうか。
それにしても、第二次試験のまともな問題はどう考えても2問目辺りまでである。
戦闘能力や警護に関係ない知識を、ブレードが心得ておく必要あるのだろうか?

(だいだい洗濯とか掃除の詳しい知識なんて、殿下だけ知っておけばいい知識だろうに・・・)
Burdは無意識に自分の頭に浮かんだ無礼な考えに気付き、顔が青ざめた。
自分は殿下が掃除洗濯をするのを当たり前だと思ってしまっているのだ。
Septimの血を受け継ぐ皇帝陛下に対して、主夫業やってなんぼの存在だと違和感なく思ってしまっている自分に気付いて恥ずかしくなった。
ああ見えてマーティン殿下は立派な人物なのだ。

毎晩遅くまでMythic Dawnの脅威に打ち勝つためにMysterium Xarxesの解読にいそしんでいるというのに、皇帝を主夫扱いするなどとは言語道断!
本来、料理や洗濯など家事一般はブレードが当番ですべきことである。
この試験はそれを教えてくれているに違いない。
殿下は時間と暇があればDaedra関係の書物を片っ端から調べ上げ・・・


マーティンはどう見ても家事に勤しむ主婦が見るような雑誌を熱心に読みながら、今日の晩御飯は何にしようか、とブツブツ独り言を言っている。

Burdは平和なのが一番だからまあいいか、と呟いた。
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