Hassildor伯爵の悩みのタネである、大企業Daedraの違法建築物OBLIVION GATEの開発中止を求めるため、私達は郊外に向かった。
煙が上がっているのが見えたので、そちらに行ってみると、環境問題などまったく考えていないような、周囲に溶け込めていない外観のGATEが建てられていた。

周囲にはDaedra関係の作業員が待機し、見張っているようだ。
「なんだなんだあんたら。ここは立ち入り禁止だぞ、出て行ってくれ」

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私達が近づくと、作業員が絡んできた。
フッ、笑止千万、ふざけないで。
出て行くのはあなた達の方よ。
大企業Daedraの不法開発計画を見逃すわけにはいかないの。
私達は作業員の制止を振り切り、GATEへと近づいた。

このGATEのおかげでCyrodiilの方々の美しい大地の景観が損なわれているのだ。
『御迷惑をお掛けしております。関係者以外立ち入り禁止。Daedra建設Skingrad地区担当事務所』そんな看板があってもなくても、私達は迷わずGATEをくぐっただろう。

現場には、見上げるような高さの塔が立ち並んでいた。
事務所本部と思われる建物はどうもあの奥の方にある塔のようだ。
私は周囲を見回した。
どういうわけか事務所に行くための道が見当たらない。
正面は溶岩の海、塔からは橋が繋がっていない。
「あの中央の塔へはどうやって行くのか教えなさい」
現場に居た作業員に道を尋ねてみた。

「すまねえなぁ、今は忙しいんで、他のもんに聞いてくれや」
仕方がないので、ぐるっと遠回りしていくのかと思い、現場を歩いてみた。

見事に行き止まりである。
どういう手抜き工事か知らないが、現場内の道路ぐらい、舗装しろとまで言わないからまともに作っていてもらいたいものである。
「入ったすぐの手前に見えた二つの塔が怪しいですな。戻ってみませんか」
Burd専務の提案で私達は引き返すことにした。
まず、入口から向かって左手の塔を尋ねてみる。

中に入ると、Daedra建設の社員が数名、ホールで待機していた。

この工事現場の構成はどうなっているのか聞き出さねばならない。
「中央に行くにはどうしたらいいのか教えなさいっ!でないと痛い目にあわせるわよ!」

「すみません、私らはまだここに勤めたばかりでわかりません。上の階の者に尋ねてもらえませんか」
彼らは右往左往するばかりで答えないので、私達は上階へと上がってみることにした。

登っていて気が付いたのだが、ここは、中央の火柱がないだけで、Sigil Stoneがあるメインの塔そっくりの構成になっているのだ。
従業員に道を尋ねつつも答えを得られないまま、とうとう、最上階に辿り着いてしまった。
私達の前に、屈強なDremora警備員が現れた。

「おいおい、ここはDeadra関係者以外立ち入り禁止のはずだぞ!部外者は出て行け!」
あのね、そういう言葉は、許可を貰って建てた場所で言いなさい。
「中央の塔に行く方法を教えなさいっ!あの塔に私達は用事があるのよ!」

「貴公、何でさっきからいちいち話しかけてニヤニヤしてるんですか?こいつらは耳を貸すような奴らではないでしょ!敵ですよ敵!私達で方法を探すしかありません!!」
「フゥーアハハー、そうだ、死ぬまで捜せ!この階に中央への道を開く仕掛けがあることなど死んでも言・・・!ウワァァ!」

後ずさりしていてうっかり足を踏み外したDaedra警備員は、自らから下の階に落ち、そのまま動かなくなってしまった。
向かい側に目をやると、巨大な装置のようなものが視界に入った。

あれが警備員が教えてくれた仕掛けね。
大きなレバーが、さも引いてくれと言わんばかりに置かれている。
私は、それを引いた。

すると、機械がガランガランと大きな音を塔の中に響かせながら動き出し、カチリと音がして止まった。
・・・それ以外の反応は無い。
これは多分、もう一つの塔で同じ事をしろということなのだろう。
私達は塔を降り、もう一つの塔へと入った。
この二つの塔同士が途中の階の橋で繋がっていたような気がしたが、下まで降りてしまったので、最初から登ることにした。

中に突入すると、警棒を持ったDremora警官が襲ってきた。
通報されたのかもしれない。
早くこの仕事を片付けねば!
私達は急いで最上階に上がった。
予想通り、先ほどの塔の最上階と同じく、レバー付きの装置が設置されていた。
レバーを引き、スイッチを入れた。

ガランガランと音を立て、装置が動き出した。
『インターロックが手動解除されました。ラダーブリッジシステム発動により、全従業員の中央への立ち入りが許可されます。渡る際は足元に御注意ください』
そんな館内放送が流れようが流れまいが、とりあえず渡ることが出来るようになっていればいいので、下の階に行ってみた。
外に出られるはずの扉を出てみると、空中に突き出した道があった。
それはガコガコと音を立て、中央の塔へと伸びて行き、橋となった。

さすがは大企業Daedra。
圧巻の技術力である。
私は目の前の塔を見上げた。

後は、あの塔からSigil Stoneを回収するのみ。
もう少しで特命を達成出来るだろう。
伯爵の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
あ~あ、個人的にはBrumaへの社員派遣支援業務よりも伯爵自身を支援してもら・・・
「貴公、ずっと思っていたんだが、今日の貴公はいつもより変だぞ」
Burd専務が恐る恐る背後から話しかけてきた。
にしても、いつもよりってどういう意味よ。
いつも私がヘンみたいな言い方じゃない。
「伯爵に面会した辺りぐらいから、いつもの貴公ではなくなった気がする。目付きからして違うんだ。普段がただのエルフなら、今はダークエルフ・・・」
「おだまりっ!」
「おっと、何か知らんが機嫌が悪いようだな。すみませんね、もう余計な事はいいませんから」
・・・機嫌が悪いわけじゃないのよ。
伯爵の為に何か出来たらいいと思ってるだけ。
いえ、そんな私情は挟むべきではないわね。
私は特命を受けているのだから、それを遂行するのが先だわ。
「行きましょう、もう少しで任務を達成できるわ」
私達は空中の橋を歩き出した。
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