「きゃーきゃー!やめてー離してぇーー!」

Miariは三人組から逃げようとしたが、身動きが取れないように押さえ込まれてしまった。
「おねえちゃん、可愛い悲鳴出すじゃねーか。ますます放って置けねーなー」
「そうそう、観念して俺たちと仲良くしようよ。もう誰も助けてくれる奴はいないよー?」
そこにMiariの悲鳴を聞いたBurdが戻ってきた。

「な、なんだこの光景は、あの貴公がモンスターでもない相手に絡まれて手も足も出ない状態になっている!?」
「きゃー!Burd!助けてえええ!!!」
Burdはポカンとしていたが、Miariの悲鳴ですぐ我に返った。
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「お前達何をしてるんだ!彼女を離せ!」
Burdが大声で威嚇すると3人は一瞬たじろぎ、Miariを押さえ込んでいた男の腕の力が弱まり、そのスキにMiariは腕を振り払って逃げた。
そしてBurdの後ろに回りこんで、わっと泣き出した。
「うわーん!何でもっと早く戻ってきてくれなかったのよー!」

「うお、なんで泣くんですか!?すみません貴公、すぐ戻るつもりでいたのですが、何しろ殿下が」
「私を放っておいてまーくんとトイレで何してたのよー!怖かったんだからぁ~!!」
「あ、あのどうしたんですか?私がいない間に何があったんです?彼らは何者ですか?」
「あの人たちにいきなり声かけられて、断ってもしつこくて、お尻触られて・・・」
「尻を触られたですと!?」
Miariはそれが一番ショックだったのかまたワッと泣き出した。

どうやらMiariの話を聞くと、自分達が席を離れている間に三人組にナンパされちょっかいをかけられていたらしい。
勇ましくモンスターや野盗相手に戦っている姿を見慣れていたBurdにとって、身体の一部を触られた、というぐらいで泣いているMiariの姿は意外だった。
(やれやれ、なんだか今回は泣いてばかりですな・・・あまり貴公の女々しい面を見せられると戸惑ってしまうではありませんか)

自分と2人で行動していた時は女らしさなど微塵もなかったのに、殿下の影響で彼女に女らしさが芽生えてしまったのだろうか、とBurdは心の中で苦笑いした。
「わかりました、もう大丈夫ですから後は自分に任せて貴公は下がっていて下さい」
優しげにBurdが言うと、Miariは顔を覆ったままウンウンと頷いて、Burdの後ろに隠れた。
「おっさん、アンタ見かけねえツラだが、でしゃばらねえ方が身のためだって教えておくぜ。大体俺たちはその女に話しかけただけじゃねーか」

「そうだ、悪いことはなーんもしてないよぉ?」
三人組は悪びれる様子もなく、ニヤニヤしている。
「悪いことはしてないだと?お前達ドサクサに紛れて彼女の尻を触ったそうじゃないか」

「おっさん、あれは事故だよ事故。背中を押そうとしたら手がうっかり触れてしまったワケよ」
「ではさっき抱きついていたのはなんだ」
「その女が酔って倒れそうになっていたので支えてやってたんだ」
Burdはフンっと鼻で笑った。

「よくそんなデタラメが次々と口をついて出てくるな。お前達には私の連れを泣かした礼をしなくてはならんようだ」
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