「だ、だめ!まーくん、それはダメよ!!」
私は大慌てでマーティンより先に机の上から日記を取った。

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。友がどんなことを日記に書いているのか見たいだけだよ」
マーティンはあっけらかんと言いのける。
[0回]
この人、女の日記を見ることに抵抗感はないのかしらTT
「どんなことって、一日の出来事を書いてるだけの普通の日記よ。読んでもつまらないわ」
「それなら少しぐらい私に見られても大丈夫だろう?なあ、ちょっとだけでいいから友の日記を見せてくれないか。なあ、頼む、友のことを私はもっと知りたいのだ」

「ダメだってば!文章変だし字は下手だし誤字とか脱字だらけで、とても人に見せられる中身じゃないのよ!」
「そんなの構わないよ、君は私の日記を以前読んだだろ?これでおあいこにしようじゃないか」
「あれは、まーくんの日記を私が見るようにわざと貴方が仕掛けてたんじゃないのっ><」
私がどんなに拒否してもマーティンはしつこく日記を見せろと迫ってくる。
「ほら、駄々捏ねてないで早く見せないか(^^」

「ちょ、ちょっと、やだ、だめだってば」
「私の言う事が聞けないのか君は」
「だめ、この日記はまーくんでも見せられないわ!」
私は迫ってくるマーティンが怖くなって逃れようと身を翻した。
「いいから見せなさいっ(^^」
「きゃああああっ!!」いきなり後ろから抱きつかれ、私は驚いて悲鳴を上げた。
腕を振り解こうともがくが、マーティンの両腕は、ものすごい力で私を締め付けて離そうとしない。
「私のこともその日記に書いてあるのか?」

「や、やだ、まーくん離してっ!離してってばっ!いやぁっ」
私はパニックになって、ワケもわからずきゃーきゃーと悲鳴を上げた。
「・・・」
「マーティン、許して!これは貴方でも、誰にも見せられないのよ!」
「・・・嫌いなのか」
え?

「私のことが嫌いなんだろ、君は」
マーティンらしくない暗く沈んだ声だった。
やっと腕の力が緩み、私は彼の腕の中から解放された。

が、突然のことに身体が驚いたのか震えが止まらず、私はしばらくそのまま動けなかった。
「もういい、もう沢山だ・・・」
溜息を吐く様なマーティンの声に恐る恐る振り向くと、彼は暗く、疲れた顔をしていた。

ど、どうしたのかしら・・・
「マーティン、私は貴方のこと嫌いじゃないわ、なぜそんなことを言うの?」
「嫌いじゃない?よく言うよ。私が君に触れようとしても、君は私から逃げてばかりじゃないか。本当は嫌いなら嫌いだと言ってくれ」

「違う、私はまーくんのこと嫌いなんかじゃないわ」
「だったらなぜ私に触れられるのをそこまで嫌がる?今も悲鳴をあげて逃げようとしていたな。何を考えて君は私と二人きりでここにいるんだ?私に気があるフリをして惑わし楽しむ為か!?」
イライラした様子で言い放ったマーティンは、完全に私を疑惑の目で見ていた。
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