図書館の中は、本を手に取り熱心に読書している人たちが何人かいた。
マーティンは本棚に並べられている大量の書物の数に感心している様子だった。

でも、捜している本が見つからないらしく、本の背表紙に書かれているタイトルを見ながら、ない、ないな・・・としきりに呟いている。
「まーくん、何の本を捜しているの?」
私が後ろから尋ねると、マーティンは振り向いて言った。

「Daedraの神々に関する本を読みたいと思ってね。だが、ここにはないみたいなんだ」
本棚を覗き込んでみると、自叙伝や小説などの現代文学系の書物が並んでいた。
Daedraだと、宗教関係になるのかしら。
「3階に宗教関係の本棚があったはずよ、そこに置いてあるかもしれないわ」
[0回]
階段を上がり、三階の書庫に来た。
この階には私たち以外は誰も居らず、部屋の中はシーンと静まり返っている。

マーティンはすぐに目的の本を見つけたらしく、興味深そうにページを捲っていた。
私は他の本棚には何があるんだろうと、隣の本棚の前に移って書物を眺めてみた。
『恋が成就する時』
『結婚、そして浮気』
『同棲生活のススメ』
『愛は癒し』
『パートナーを飽きさせない50の秘訣』ちょ、ちょっとなにこれ。
コーナー名を見ると『恋愛心理学』と書かれている。
宗教関係のお堅いコーナーの横になぜこんなのが><
隣で真面目な本をマーティンが読んでいるんだから、こんなのとても見れないわ、見れない・・・でも読みたいな・・・ちょこっと見るぐらいならいいわよね。
私は『パートナーを飽きさせない50の秘訣』というタイトルの本がなんだか気になって、手に取った。

本を開いてパラパラとページを・・・
へえ・・・
ふぅん・・・
なる・・・
すっごーい・・・
「・・よ」
「・・・・」
「友よ」
「・・・・」
「友よ、聞こえてないのか?」

「・・・・」
「私の声が届かないほど面白い本なのか、それは」
ハッ!( ゚Д゚)「な、なに、まーくん」
私は本を読むことに没頭してマーティンに話しかけられていることに気がついていなかった。
「何を読んでいるんだ?」

「!!」
私が読んでいた本をマーティンが覗き込んできたので、慌てて本棚に戻した。
「面白い本だったんで、つい没頭してたのよ。気がつかなくてゴメンなさい」
「ほう、面白いのか?では私も見てみたいな・・・友が戻した本はどれだったかな」

(ひえええ><)
私が置いた本がどれだったかと、マーティンが視線を本棚に移して探し出したので、私は慌てふためいてそれを止めた。
「あわわわ、ま、まーくんは見たい本見つかったのかしらっ」
「ん?見つかったよ、これだ」
マーティンは持っていた本を私に見せた。
「そ、それじゃあ、二階に降りましょ!座れる場所があるから、そこで読むといいわ、さあさあ」
強引にマーティンを扉の方に誘導して、下に降りるよう促した。

「でも君はいいのか、読みかけなんだろう?借りていけばいいのに」
「いいのいいの><気にしないで」
二階に下りると椅子が二席あり、誰も使っていなかった。
「さっきの本は借りてこなくて良かったのか?とても楽しそうに読んでいたじゃないか」

「いいいいいのよっ><」
・・・やたらしつこく言われるってことは、そんなにニヤけながら読んでいたのかしら、私orz
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