・・・夜中に何度か専務は寝ぼけて起き上がり、別のベッドへ移動してまた寝るという謎の行動を目撃する。
朝6時。

Burd専務は目を覚まして寝床から起き上がると、宿舎の端の方にスタスタと歩いていった。
あらまー、相変わらずブレードの制服着たまんまだったのね。
ガード服って新しく支給されないのかしら。
見ていると扉から別の部屋に移動したので私も後を追った。

地下の留置場に降りて行くBurd専務。
壁際から覗いていると、看守とちょこっと話を交わしただけで、すぐ戻ってきたので慌てて影に隠れると、気が付かずにそのまま階段を上がっていった。
宿舎に戻ったかと思ったら、また出て行ったので、後をつけると城の中央のホールに行って、ガードと意味の無い雑談をしていた。

様子を見ていると専務は意味も無く城内をウロウロ、そして雑談ばかりしている暇なおっさんにしか見えなかった。
Burd専務が振り向く前に物陰にそそそと隠れて、見失わないよう目で後を追う。

宿舎に戻るみたいね・・・。
扉の向こうに消えてからパタパタ後を追うと、中から丁度入れ違いでBruma警備保障のCarius Runellius部長がひょこっと現れた。
彼は不審そうな顔で私をジロジロと見た。
「さっきから何をコソコソしているんだい?キャプテンに用があるなら普通に会って話せばいいのに」

「キャプテン?・・・あ、Burdのことね。いえ、実は久しぶりに会うから脅かそうと思って、チャンスを狙っていた所よ」
「ふーん、そうか。今ならしばらく中にいるからきっとチャンスじゃないかな。さて、僕は戻って食事してくるよ」
Carius Runellius部長が中に戻っていったので、私は彼を盾にして宿舎に入った。
Burd専務は全然気が付いてない。
こちらに背を向けたまま、ぼーっと突っ立ったったままだ。

このBurd専務の後姿に実は私は大変弱い。
見ていると、あるイケナイ衝動に駆られるのだ。
アノ背中 スニークアタック カマシタイ周囲にガードがいるので、そんなことしたら逮捕されるので止めておかなくては・・・><
代・わ・り・に♪
抱きついてあげちゃおっと☆
「Burd~久方ぶり~撚」
「ぐわあーーー!!」Burdは案の定炎に驚いて、抱きついた私の腕を振り払って逃げた。
「な、なんだ!?なんなんだ!!寄るな妖怪インフェルノめ!私を丸焼きにする気かっ」

「Burd~せっかく私が愛情込めて熱い抱擁をしてやったと言うのに~そんなに私が恐ろしいのか~~」
「・・・そのダミ声は貴公!?なんで燃えているんですか!!」
「驚かそうと思って、ちょっぴりお遊びで演出しちゃった(・∀・)ゴォォォォォ」
「そんな命がけの演出なぞせんで下さいッ!早く火を消さないと!!」
「あのねーこれが本物の火なわけないでしょ~。アイテム使った見た目だけのエフェクトよ、エ・フ・ェ・ク・ト☆」
「ホッ・・・そ、そうですか、では、見た目が暑苦しいのでそれ以上側に寄らんで下さい」
「え、何か言った?よく聞こえなかったー」
火の勢いが強く、声が聞こえなかったので、私はBurdに近づいて耳を傾けた。

「暑苦しいので側に寄らんで下さいといったんですっ!早くその効果消してくださいよ、いつまで燃えてるつもりですか」
「燃える女に抱きつかれるのがそんなに嫌?」
「嫌に決まってるでしょ(泣)抱きつくなら普通に抱きつけばまだ可愛げがあるというのに・・・いや、後ろからだけは止めて下さい。
美少女に油断してジャーマン・スープレックスかまされた悲しい悪夢が蘇ってきますから」
「ほえ?なんのこと?」
「なんでもありません、独り言です」
「ほら、見てみて~、これって他にもこういう効果あるのよー」

「貴公の毒々しいハートを神聖な宿舎に撒き散らさんで下さい」
「あら、せっかくこれで抱きついて上げようと思ってたのに」
「結構です。それで伯爵や殿下に抱きついて上げてはどうですかな?きっと昏睡状態に陥るほどの衝撃を受けて喜んでくれますぞ」
「じゃあ、まずBurdで実験・・・」
「私を殺す気ですかっ」
「失礼ねー、抱きついたぐらいで死ぬわけないでしょ。だいたいなんでそんなに無駄に怒ってんのよ」

「怒りたくて怒ってるわけじゃありません。貴公が怒らせるから怒ってるだけです」
「普通に話してるだけじゃない」
「どこが普通なんですか。なんです、ストーカーまがいのことして!ずっと私の後付けていましたね?わかってたんですよ」
「あら、どこから気付いてたの?」
「昨日、貴公が部下達に話しかけてる時点で気付いてました。何やってるんだと気にはなりましたがね、怖いので無視しました。で、何をしていたんですかな?私の部下達に」
Burd専務は引きつった笑みを浮かべて尋ねてきた。

「ううん?何もしてないわよ。ただ話しかけてただけ」
「私を除いて全員と話をして何もないですと?絶対何か企んでるはずですぞ、貴公」
「Burdに話かけなかったのは、ほら、あれよ。後からゆっくり話がしたかったから」
「・・・そうですか、ではなぜストーカーなことをしていたのですかな?貴公がストーキングするのは伯爵だけかと思っていました。寝ている時に何かされるのではないかとヒヤヒヤしていましたよ」
「なーんだ、気付いていたのなら、起きてくれればよかったのに」
「夜中に気になって何度も目が覚めましたが、何か?寝床を替わる度に貴公がコソコソ暗闇の中で付いてくるから、落ち着いて眠れやしませんでしたよ」
へえ、そういう割りによく眠れてたみたいだけどー。
「ストーカーしてみたのは、Burdが普段何をしてるのかなーって思って」
「私をストーキングしたって面白くないと思いますが」
「うん、全然面白くなかった、すっごいつまんなかった」
「でしょうな、忙しく歩き回ってますからな」
あれのどこが忙しく歩き回っていたんだ。
「あー、でも、1つ気になることがあったわ。Lords Manorに入ってくとこ見たけど、中で何をしてたの?」
「ギクッ、み、見てたんですか」
「あの扉の向こうには、確かスチュワードの部屋が・・・」

「アレはまったく関係ありません!公爵婦人に用があってですな」
「公爵婦人はその時間は謁見の間にいたわよ」
「・・・用があって行ったら、すでに私室には居られなかったのですぐにLords Manorから出ました」
「へえ」
「なんですか、へえって。疑っているんですか」
「ちょっと来なさいよ、それに関して聞きたいことがあるわ」
私はBurdを部屋の隅につれてきた。
「これ、まだ放置したままなのね。なんで自分で持っておかないのよ」
ベッドの脇に放置された手紙を私は指で指し示した。

昔からずっーーと宿舎の隅に放置されたままになっている、Burdがある人物に宛てたラブレター(推測)である。
「それは貴公には関係ないことです。だいたい私の物と言う証拠は・・・」
「
以前大ケンカした時に、これはBurdのだって認めたじゃないの!」
手紙の文面が見えるように広げ、Burdの目の前に突き出した。

「大事な物をどうして自分で持っておかないのよ!」
「だからそれは・・・貴公、この話は終わりにしてもらえませんかな(泣)今更それで大喧嘩したら我々は以前からまったく成長していないバカだと部下達に思われますぞ」
「だったら持っておきなさいよ」
前と変らないあやふやな態度にムカついて、私はギロリとBurd専務にガンを飛ばした。

「そんな恐ろしい形相で睨まんで下さい、普通の顔で十分貴公は怖いんですから。その手紙はそこに置いたままでいいんですよ。あ、懐に入れたら、泥棒になりますぞ!貴公、止めなさい!部下に見られたら・・・!!」
私は、強引にBurd専務にラブレターを持たせようと一旦自分の持ち物に入れようとした瞬間、Carius Runellius部長がすっとんできた。
うわーしまった、逮捕されるー!
と思ったら、私の顔を見て、彼はニコニコしながら言った。

「なんだ君か、間違えてその手紙を盗ってしまったんだね。私は見なかったことにするから、罰金も払わなくていい、でも今後は気をつけるんだよ」
そう言ってCarius Runellius部長は席へと戻って、再び食事を取り始めた。
思わぬ買収の効果だった・・・。
「貴公、彼に何かしましたな?普通なら今の行為は逮捕されるか罰金支払わされるハメになったはずですぞ」

「ちょこっと根回・・・いや、ガードさんたちと仲良くなっただけよ(ああ、びっくりしたー)」
「・・・まあ、面倒が起こるよりはいいですよ。では、私は食事をとりますが、貴公もどうですかな」
「うん、何か食べたいな、まだ今日は何も食べてなかったからお腹空いたわ~」
「よかったですね、友人が遊びに来てくれて。毎日暇だと嘆いていたでしょう?」

「ま、まて、Carius、そんなこと私は言っていないぞ!」
「何言ってんですか、毎日退屈だ、友人が遊びに来てくれないかとぼやいていたじゃないですか」
「私は忙しいことになってるんだから、そんなはずない!変なことを言うな!」
へえ・・・やっぱり帰ってから暇を持余していたのか~。

これはもう、Burd専務の為に何か面白いこと考えてあげなければならないわね。
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