「やっぱ猫部屋はいいにゃ~」
地下室の使用人部屋にいついたネコミミさんは、もうゆったりと寛いでいる。
「ねえ、まだ話を聞いてないんだけど・・・」

「何の話にゃったか?」
「貴方の事よ。これからここで一緒に暮らすのなら、ちゃんと素性を話してちょうだいな」
「そうだったにゃ、ええと、話す前に先に服着替えさせてくれにゃ。おみゃーの余り物の服でいいから、べっぴんさんに見えるようなコスチュームをミーに貸してくれにゃ」
「服?いいわよ。私の部屋に行きましょ」
[1回]
私はネコミミさんを3階の寝室に連れていった。
「これなんかどうかしら、カッコよくてカワイイわよ」
私が服を差し出すと、ネコミミさんはにゃーにゃー言いながら、すぐにそれに着替えた。

「いいにゃ!気に入ったにゃ。これでミーの色気も更にパワーアップするにゃ」
「色気ねえ・・・ネコミミさんがちっこいせいか、そんなに色気があるようには見えないんだけど。それに子供っぽいし・・・」
「子供じゃないにゃ、ほれ、よう見てみろにゃ。口元にシワあるにゃろ?お肌も良く見るとカサカサで荒れ放題にゃ」

ネコミミさんはよく見てみろ、と私の方に顔を寄せた。
「ええ、そう?わかんないわ、一体貴方の歳は幾つなのよ」
「詳しくはミーもわからないにゃ。ミーはいちおー18歳だがにゃ、Eyjaおばちゃんの歳と足されてしもたから、おばちゃんの歳とミーの歳を足して2で割った数がミーの歳にゃ。バリバリの熟女にゃ」
「Eyjaさんいるの?どこ、どこ?」
「ミーにゃよ。ミーはこっちの世界に来る為にEyjaとフユージョンしたにゃ」
「フユージョンって何?」
「フユージョンも知らにゃーのか、おみゃーは。ミーが大好きなドラゴン○ールに出てくる合体技にゃ。ドラ○ンボールは誰だって知ってる超有名国民的・・・」
「はいはい><それ以上言わなくてもわかったから。でもどうやってそんな合体なんてことが出来たの?」
「簡単にゃよ~」

「まず、こうやって
『フユ~っ』と言いながら相手に近づいていくにゃ~」
ちょこちょこと横走りするネコミミさん。
「で、向きを変えて足の角度も変えるにゃ。手の向きや角度にも気を付けるにゃ」

「ここで
『ジョンッ!』って相手と一緒に掛け声出すにゃ」
「・・・はぁ」
「で、
『はっ!!!!』という掛け声と共に相手の指と自分の指をあわせるにゃ!」

「足の角度に気をつけるにゃ。特に外の足をピーーーーーンと伸ばすのを忘れたら失敗するから気をつけるにゃ!」
「・・・・・」
フユージョンのやり方を聞いた訳じゃないんだけど・・・。
「以上、フユージョン講習は終わりにゃ。もっと詳しく知りたかったら、単行本40巻の四百七拾七、四百八拾話見てにゃ。ほれ、おみゃーも今のポーズやってみいー」

「えー><嫌よ、恥ずかしいわ」
「いいからやれってにゃ、誰も見てにゃいからいいにゃん。交流を深めるためにミーも一緒にするにゃ。やってみると楽しいにゃよ」
ネコミミさんが一緒に遊びたそうな顔をしているので、私もしぶしぶ付き合うことにした。
ちょこちょこ・・・
「フユ~・・・」
「そうにゃ、そうにゃ、その足先の動きが初めてとは思えないほど上手いにゃ」
「ジョンッ!」
「おみゃー、いいセンスしてるにゃ!決まってるにゃ!」
「はっ!!!!」
「すげいにゃ!ミーと息バッチリにゃ!」
「次はそれをミーと左右対称でやるにゃ♪」

「ええ~!?もう結構です~~><」
「まー、おみゃーとフユージョンするつもりはにゃーから無理強いはしないにゃ。とりあえず、ミーは今日からここのメイドとして住み着かせてもらうにゃから、よろしくだにゃ」

「・・・はあ」
なんだか強引に話をまとめられてしまった気がする・・・。
「おみゃーが迎えに来てくれるのを首を長くしてEyjaおばちゃん待ってたんにゃよ、早くあの店から出たいって。その想いがきっとミーを呼び寄せたに違いないにゃ」
「そうなの?だったらすまないことしたわね。1人の方が気楽だから、ずっとお手伝いさんは要らないと思ってたのよ」
「おみゃー、ずっと1人ぼっちだったかにゃ?」
「え?基本は1人だけど、ぼっちってわけでもないわ」
「そうか!1人だったかにゃ!だったらミーが来てよかっただにゃ!今まで寂しかったにゃろ?ミーもあっちの世界じゃ1人で寂しかったのにゃ!これからはミーが忙しなくお世話してあげるにゃ!猫の手一本借りたぐらいに思って気楽にメイドとして使ってくれにゃ!」
ネコミミさんは大喜びしていた。
そんなにこの家に来たかったのかな・・・。
こんなに喜ばれたんじゃ、家を追い出すのは可哀想だわ。

「わかった、貴方にこの家のメイドさんを頼むことにします。家の中の事でわからないことがあったら私に遠慮せず聞いてね」
「にゃ?いいにゃか?ミーがずっとこの家に住み着いてもいいにゃか!?」

「ええ、そのかわりメイドさんとしてのお仕事はちゃんとやってもらうわよ」
「もちろんだにゃ!ミーの特製またたび酒や、特製ひつじたんパイをいっぱい作っておみゃーに食べさせてあげるにゃ!添い寝も任せてにゃ!おみゃーの胸の上で丸くなって心をぽかぽかに温めてあげるにゃ!」
「そんな重そうな技披露しなくてもいいわよ><これからよろしくね、ネコミミさん」
「わーい、やったにゃー!これでもう野良猫耳暮らしに怯えることもなくなるにゃー、猫部屋に戻って、これからのスケジュールを考えてくるにゃ!」
ネコミミさんは嬉しそうに部屋を飛び出していった。

私もネコミミさんの喜ぶ姿をみていると、ちょっと幸せな気分になってしまった。
「朝はいつも何時に食事してるにゃ?昼は?夜は何食べたいにゃ?好きなもん言ってくれにゃ」

「そうねー、私が好きなのは~・・・」
やっぱり、1人より、2人の方が楽しそうね。
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