早朝、私はカボミンたちを連れて、カボヨンを出た。

赤カボミンだけでなく、初めからカボヨンにいた青カボミンたちも私について来てくれた。
塔を目印にして戻ってみよう。
私が最初に倒れていた辺りまで戻って、周辺に何か手がかりがないか探して見なければ。
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歩きながら、ふと私は思った。
なぜ彼らは私についてくるのだろうか。
私が歩いていると、後ろから視線を感じるが、あれは私をボスとして見ているのか、それとも別の視点で私を見ているのだろうか。
・・・あまり考えると怖いことを考えてしまいそうだ、勘繰るのはよしておこう。
怒らせたら怖そうだが、これほど心強い味方もいない。
道を往く間、何度かモンスターに襲われた。

赤カボミンと青カボミンたちは怖いものなど何もないのか、一斉に立ち向かっていく。
彼らのお陰で私は難なく危険を乗り越えることができた。
二時間ほど歩いたところで、私は広い場所に出て、ようやく視界が開けた。

白い塔がすぐ目の前に見える。
あの塔はかなり遠くからでも見えるあたり、相当の高さがあるのだろう。
塔に登れば、宇宙船がどこかに着陸していないか確認できるかもしれない。
高い所から地上を見ることができれば、捜すのも容易くなりそうなのだが・・・。
ずっと歩いて来た事で疲れた私は休憩することにした。

私がカボミンたちにここで一時休憩することをジェスチャーで説明すると、カボミンたちはすぐにくつろぎだした。
彼らを草原で休ませ、私は木陰で休もうと、湖側の小さな林のある方に歩いていった。

おや?目の前の岩の上に何か黄色い物が落ちているようだ。
私はなんなのか気になり、近づいてそれを良く見てみた。

・・・カボミンが寝ていた。
今まで見たことがない色のカボミンだった。
私が側にいるというのに、そのカボミンは警戒することもなく、リラックスした姿勢でグウグウといびきをかいて寝ていた。

なんだかヘンなカボミンだな。
私はつい悪戯心で、そのカボミンを起こしてみたくなった。
目が覚めるかどうか頭を小突いてみよう。

コンコン。
鈍い音がした。
・・・中身は詰まっているようだ。
黄カボミンはなんだ?という表情をしてゆっくりと体を起こした。

あぐらをかいて、寝ぼけ眼のままじっとしている。
しばらくして、私が目の前にいることにようやく気付き、かったるそうに立ち上がった。
・・・気のせいだろうか。
なんだかこのカボミンは酒臭い気がする・・・。
黄カボミンは手を伸ばしてきた。
握手かと思い、私も手を伸ばした。

握手したまま、なぜか黄カボミンは手を離さない。
どうやらその行為は、握手ではなく、降りるから手を貸せ、という補助の意味で手を伸ばしたらしかった。
なんなんだこいつは。
私は黄カボミンを連れて、他のカボミンたちのところへ戻った。

カボミンたちは黄カボミンを見ても、なんの反応も起こさなかった。
彼らは顔見知りなのだろうか。
それとも人見知りで、知らん振りしてしまうのだろうか。
後ろでムシャムシャと何かを食べるような音がしたので振り向くと、黄カボミンが何かをつまんで食べていた。

なんだか酒のつまみをオッサンがムシャムシャと食べているような光景だった。
黄カボミンはタネをペッと地面に吐いた。
すると、それからすぐに葉が生え、花が咲き、実がなった。
カボミンは、これを引っこ抜けと私に命令してきた。

なんだかやけに態度がでかいので、私は内心カチンときたが、今はおとなしくカボチャを抜いてあげることにした。
私が引っこ抜くと、やっぱりそれは黄カボミンだった。

ふ、増えるのはいいことだ、きっと・・・。
3匹になった黄カボミンは互いの顔をみると、何かボソボソと会話を交わし、懐から瓶やカップを取り出し、一杯やり始めた。

なにをしているんだ、このカボミンは。
私は気を取り直し、全部のカボミンを呼び集めた。

相変わらず黄カボミンは酒をあおっている。
その時、すぐ近くから猛獣の唸り声が聞こえた。
カボミンたちは一斉に剣を抜き、その声の方に走って行った。

・・・おや、黄カボミンは?
走っていったのは赤と青のカボミンだけだ。
猛獣を倒し、元の場所に戻ってくると黄カボミンたちはその場に残ったままだった。

彼らは宴会をしていた。
・・・・しかも数が増えていた。
勝手に増えるな。
酒をあおり、歌を歌い、手拍子に合わせて、一匹の黄カボミンが踊っている。
どうやら彼らは、すっかり出来上がっているようだ。
見ていて面白いが、私はとんでもないカボミンを仲間にしてしまったのかもしれない。
赤や青カボミンと違って、彼らはまったく役に立ちそうにない・・・。

私は黄カボミンたちの宴がたけなわになったところでお開きにさせた。
隊を整列し、皆で目的地へと向かって歩き出した。

もう少し北に歩けば、最初の地点にたどり着くはずだ。
私たちは広い平原に差し掛かった。

宇宙船は、ライトメア号は一体どこに落ちてしまったのか・・・。
高い所から見なければ、やはり捜すのは無理だろうか。
そんなことを考えていると、フッと頭上を黒い影が横切った。
私はなんだろうと空を見上げた。

空を何かが飛んでいた。
あれは飛行機?
いや、鳥のようにも見える。
しかし鳥にしては、形がおかしいな。
私が目を凝らしてそれを追っていると、すぐ側の林に降りていった。

今の飛行生物には・・・誰か乗っていなかったか?
乗れるのなら、手に入れなければ。
あれがあれば、ライトメア号をきっと探し出せるはずだ。
私は謎の飛行生物を追って、カボミンたちと林の方へ駆け出した。
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