「あー、確か神像のある場所に向かう道はこっちの方でしたな」
Burdが自分が案内しますから、と先に歩き出した。

「Burd、よく知ってるな。この辺りには詳しいのか?」
後ろからマーティンが感心しながらついて行く。
[0回]
「当たり前で・・・おっと失礼。殿下、私がBrumaに配属されて何年経ってるとお思いなのですか。この周辺なら地図がなくてもどこに何があるかぐらいわかりますよ」
少し歩くと視界が開け、周囲が明るくなった。

空を見上げると、鳥が空高くゆっくりと舞っているのが見えた。

景色が良いので、私は一旦ここで休憩することにした。
「私は景色眺めてくるから、そのあたりで休んでてくださいな」
そう言って私は二人の側から少し離れた。

でも、聞き耳はしっかり立てたまま、二人の会話をこそっと聞くことにした。
「Burd、君は友と行動するようになって長いのか?」
先に話しかけたのはマーティンだった。
「え?ええ、まあ、長いかもしれませんな。初めはOBLIVION GATEを閉じるのを手伝うという真面目な件で同行した気がするのですが、今じゃどうでもいい事に付き合わされて参ってますよ」

「そうか・・・どうでもいい事につき合わせて申し訳ないな」
「は?い、いや、そういう意味で言ったのではないですぞ殿下。別の時のことを今のは言ったのであって」
マーティンが違う意味で取ってしまったことに気付き、Burdは首を横に振って否定した。
「いや、いいのだ。君に無理をさせているとしたら私も辛いものがある。もしついて来るのが苦痛になった時は遠慮なく言ってくれ。私から友に、君には先に帰ってもらうように頼もう」
「だから、違うと言っているではありませんか殿下(泣)。私が帰ったらお二人だけで行動することになるんですよ?危なっかしくて放ってはおけませんよ」
「何が危ないんだ。友の心配をしているのか?」
「違います。むこうではなくて殿下の心配を私はしてるんです。寺院を出る時に私は殿下に二人でSkingrad伯爵のところへ行ったらどうかと申しましたが、あれは挨拶代わりの冗談だったので本気にしないで下さい。私が心配しているのは、二人だけにすると、あれが殿下に何か失礼なことをしでかすのではないかと・・・」
「友が何をするというのだ?以前二人だけで行動を共にした事はあったが、何もなかったぞ」
「・・・なんですと?二人っきりで行動!?」
Σ(;゚Д゚)しまっ・・・
やばいっ、そのことを閣下に口止めしておくのを忘れてたっ。
予想していなかったまずい展開を引き起こしてしまい、私は慌てた。
成り行きとは言え、過去にマーティンを連れ回したことがBurdに知られてしまっては、どう誤解されるかわかったものではない。
「殿下?そろそろ行きませんか^^;早く行かないと時間がもったいないですからっ」

私は二人の間に割り込んで、会話を遮った。
「そうだな、あまり時間を潰している暇はなかったな。先に進む事にしよう」
マーティンは私の方に振り向いて、頷いた。
ちらりとBurdの方に目をやると、私を見る目が据わっていた。
「貴公、あなたって人はあろうことか殿下まで巻き添えに・・・」
「な、何睨んでるのよ。別に変なことしてないわよ」
え?巻き添え?
どういう意味かしら??
やましい事は何もないのだが、説明すると長くなってめんどくさいので、今はこれ以上言わず黙秘しておくことにした。
吊橋を渡り、登りが急な坂道になった。
この辺りになると、敵がオーガなどの強い系統になってくる。
しかし、相変わらず、Burdとマーティンの二人は先を争うように敵に立ち向かっていく。
マーティンも黙って見ていれば良いのに、どうも敵を見ると大人しくしていられない性分らしい。
私も負けずに戦わなくてはっ!

私も剣を抜き、オーガに立ち向かって行った。
えーいっ!>△<ノ
ガツン!と鈍い音が響いたかと思ったとたん悲鳴が聞こえた。
「ぐあっ!」
「あ、あれ?」
Burdが顔を引きつらせて私を睨んだ。
「貴公、何するんですか!敵はそっちでしょうが!!」
私はオーガと間違えてBurdを殴っていた。
「ごめん!まーくんに攻撃当てちゃいけないと思って」
私は自分でもよくわからない言い訳をしながらBurdに謝った。
「私なら間違って殴っても構わんのですかっ!!貴公はもういいから下がっててくださいっ」
二人が同時に攻撃するため、いつもと勝手が違い、どうも攻撃のタイミングが掴めない。
普通なら一度ミスったぐらいではBurdは怒らないのだが、さっきのことでどうも機嫌が悪くなっているようだ。
仕方がないので攻撃は二人に任せて、私は後ろに下がった。
とりあえず任せておいても大丈夫のようだ。
しばらく行くと、またオーガが襲ってきた。
ようし、今度は先に攻撃だー、と剣を抜いた時、
「貴公は余計なことしなくていいから後ろにすっこんでて下さいッ!」後ろからBurdが大声を出して私を制止した。
Burdは剣を抜いて、私の横を駆け抜け、オーガに切りかかった。
な、なんなの?
なんでそんなに怒ってるのよーー!
「彼は何を怒っているんだ?とりあえず私達に任せて君は下がっててくれ。奴は私と彼で片付けるから」
マーティンは私にそう言って、Burdの後を追っていった。

私は手を出さず、遠くから見守ることにした。
しかし、二人の個別の動きは手馴れているのだが、何か手際が悪い。
二人の戦う様子を見ていると、敵が思ったより強くて焦ったのか、Burdが魔法を封じる術をマーティンに当ててしまった。
「うお、殿下、申し訳ない!下がっててください、私がやりますから!!」
「・・・いや、平気だ。気にするな!」
マーティンは掛かっていた魔法が解けた瞬間、すぐに氷結の魔法(範囲魔法)をオーガに打ち込んだ。
もちろん側にいたBurdを巻き込んで。
「ぐあ!で、殿下!私がいるのにそれはないでしょ!!」
「すまない、悪かった。今のは手が滑った」
「手が滑って範囲魔法ってそれなんですかっ!!」
なんていうか・・・二人は相性が合わないのだろうか?
会話どころではなく、戦い方も噛み合ってない気がする。
傍から見ているのは面白いんだけど。
「随分手ごわい相手だったな」

マーティンは、倒されたオーガを見下ろしながら呟いた。
「手こずったのは当たり前ですよ。我々はバラバラでまとまりがないから苦戦して当然です」
「Burd、さっきから何を怒っているのだ。頭にくるほど友の攻撃が効いたのか?」
「殿下、私は怒ってもいませんし、間違って殴られたぐらいでいつまでも腹立てたりするような恨みがましい輩でもありません。気にせんで下さい」
「何言ってるのよ、どう見たって怒ってるじゃない。落ち着いてよ」
私がたしなめると、Burdは顔を強張らせた。
「だから怒ってませんって」
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