「この寺院の求人に応募しようと思ったきっかけは何かな?」
「はい、ここの職務に他にはないやりがいと魅力を感じたからです」

「そうか、ここの仕事はかなり厳しい面もあるが、君はそれに耐える自信はあるかね」
「もちろんです!以前就いていた仕事ではー・・・」
ここクラウドルーラー寺院では新ブレード隊員入隊志願者のための面接会が行われていた。

求人応募者に対し、一人一人丁寧に面接を行うマーティン。
その姿をBurdとMiariは彼を少し離れた場所から見守っていた。
「とうとうこの日がやってきましたな。どんな人物が採用されるのか楽しみです」

「そうね。募集は帝都、Chorrol、Cheydinhal、Brumaだけに出したらしいけど、予想以上に人が集まったらしいから、いい人材がきっと見つかると思うわ」
「外で応募者が待っているそうだから見に行ってみませんか」
「うん、見てみましょ」
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二人が外に出ると、大勢の人たちが寺院の前で待っている光景が目に飛び込んできた。

「おお、すごいな、こんなに集まっていたのか!」
「いっぱいいるわねー」
Burdが集まった人々の数に驚きつつ眺めていると、その中に黄色のガード服を着た見覚えのある人物がいた。

それはBurdがBrumaガード時代、よく苦楽を共にした部下のCariusだった。
「よお!Carius!そこに居るのはCariusじゃないか?」
呼掛けられたCariusは振り返り、相手がBurdだと気付くと笑顔を見せて返事をした。

「Burd隊長じゃないですか!お久しぶりです!」
「おいおい、まさかお前、ブレードになりに来たのか?」
Cariusは苦笑いしつつ首を横に振った。
「ははは、違いますよ。僕は隊長がどうしてるのか気になって顔見せに来ただけです。こんなことでもないと、なかなか会えないですしね」

「おお、俺のこと気にかけてくれてたんだなあ!ちょっとこっちで話をしようぜ」
BurdはCariusをつれMiariの側から離れた。
「しばらくBrumaには帰ってないからすっごく気になっていたんだよ。皆どうしてる?元気にしてるか?何か変わりはないか」

「皆元気ですよ。そうですね、ちょこっと変わったかもしれないなあ。隊長がいたころとは随分人も入れ替わりましたし」
「Brumaガードの皆はしっかりやってるだろうな?」
「そのあたりはもちろん大丈夫です。僕が隊長に任命された後も前と変わらず皆がんばってくれてますから」

Burdは目を丸くした。
Cariusが隊長って、つまり・・・。
「隊長って・・・Brumaガードの隊長じゃないよなあ。俺がガード時代にいた時の役職・・・」

Cariusはのんびりとした調子で答えた。
「はは、僕の立場はもちろんBurd隊長の後釜ですよ。Burd隊長がブレードになって3ヶ月目ぐらいだったかなあ、僕が隊長職を引き継ぐように伯爵婦人に命じられたんです」
「ウッソー・・・」
Burdは息が詰まりそうになった。
Cariusが後を継いだのはまだいいとして、知らないところで自分がBrumaガード隊長を解職されていたことは涙が出そうなほどショックだった。
「そ、そうか・・・まあ仕方がないことだろうな。Yvaraは元気にしてるか?」

BurdはBrumaに残してきた恋人のYvaraが気になっていた。
自分がいなくなりひどく寂しい思いをしているのではないか・・・。
「Yvara女史は相変わらずBruma城の仕分け作業に没頭していてスチュワードの仕事頑張ってますよ。結婚してからはさらに元気になって前よりもパワーアップしちゃってもー皆大変です(笑」

「えっと、聞き間違いかな、今、Yvaraが結婚したって聞こえ・・・」

「Yvaraですよ!隊長と仲が良かったあのスチュワードです!あの人、半年前に結婚したじゃないですか!」

(え・・・)

離れたところにいたMiariの良すぎる耳に、二人の会話は筒抜けだった。
「え?あれ?隊長、知らなかったんですか?連絡行ってると思ったのに。なんで誰も教えなかったんだろう。すごいイケメンと結婚したんですよー彼女」

「・・・・」
Burdは硬直し、言葉が出なかった。
自分と結婚を約束していたYvaraが、何も連絡一つよこさず、知らない男と結婚してしまったという事実に、彼は大衝撃を受け、頭の中が真っ白になっていた。
この事は、Burdにとっては悲しき事件であったが、同時に寺院にとっても新たなる危機の予兆だったのである・・・。
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