「私が作成した問題は、日常生活に密接した問題なのだから誰でもそこそこの点数は取れるはずなんだ。それがまったくダメだった友はこれからの処遇を考えなければならん」
マーティンのMiariに対する冷たい言葉にBurdは驚いた。
「ま、まさか殿下、大事なご友人をクビにしようなどと思ってないですよね」

Burdは心配になって側に駆け寄った。
「・・・残念だが友はブレードとして向いていなかったのだろう」
冷たく言い放つマーティンの言葉にBurdは唖然となって抗議した。
「そんな!待ってくださいよ、あの問題はブレードの素質を計るというよりただの家事全般知識を問うものだったじゃないですか!?あんなんでブレードに不向きと判定されてはたまらないですよ!!」
マーティンはBurdの抗議を無視して、Miariに言った。

「友はブレードとしての役目から外れてもらう。もう君が私を守る必要はない」
「ま、まーくん、なんで・・・うううっ」
Burdは信じられないようなマーティンの言葉に耳を疑い怒り出した。
「あんまりですぞ殿下!彼女を辞めさせるなら自分もブレードを辞めますからな!」

「わ、私も辞めます!」
「陛下、我々も彼女を辞めさせるというのならすべての合格を辞退して辞めさせて頂きます!」
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次々と抗議する者たちに向かってマーティンは一喝した。
「まて!私の話をまず聞け!聞けと言っているだろうが!いいか?」
マーティンはゆっくりと、その場にいる全員に聞こえる大きな声で言い放った。

「友の成績が良くなかったのは、試験の日程を教えていなかった私の責任だ。家事の大切さも自分が楽しいあまりに友に教えるのを忘れていた。必要な知識は生涯をかけ私が責任を持って友に教えていくつもりだ」
講堂内がシーンと静まり返った。
しばらくして、誰かがそっと呟いた。
「生涯かけてってまさか、そのお言葉は・・・プロポーズ?」
それまで厳めしい顔をしていたマーティンの表情がふっと緩んだ。

「そういうことだ友よ。ブレードを辞めて私のお嫁さんになりなさい」

「・・・えっ」
緊張した空気が一気に解け、座っていた者たちもすべて立ち上がり皆が二人に拍手を送った。

「おめでとう!」
「そういうことだったのか!おめでとう!」
「おめでとう!良かったな!!」
「陛下も憎いことやりますね!」

「殿下もいけずですなあ!この!この!最初からこうするつもりだったんですな!」
「ひゅーひゅー!」
「で、でも私、殿下を守るためにブレードになったんだから、もっと頑張らないとって思うし・・・」
Miariの不安そうな言葉にBurdは笑いながら言った。

「貴公、ブレードは努力さえすれば誰でもなれるんですよ。でも、殿下のお嫁さんは一人しかなれないし、努力したり頑張ればなれるってもんじゃないですよ」
「Burd・・・」
「断る理由なんてありませんって。その話受けちゃいなさいよ。世の中平和になってしまったし、いいんじゃないですか?殿下の護衛なら心配御無用ですぞ。貴公の代わりに自分がしっかりガードしますから」

「そうですよ、私たちもいるじゃないですか」
「陛下の事は俺達に任せてくれれば1000%、いや5000%安全だぜ。だから気兼ねなくこれからは陛下の嫁さんとして頑張ってくれよな!」
反対するどころか皆が喜んで二人を祝福し支持してくれた。
マーティンは真っ直ぐMiariを見つめながら、一言一言を強くしっかりと自分で確かめるように言った。

「君のお陰で私は変わり、運命を変えることが出来たんだ。君はもうブレードとして私を助ける役目は終わった。これからは妻として私を支えてやってくれ」
Miariはまだ泣いていたが、それは嬉し涙に変わり、ぼろぼろ涙を落としながら笑っていた。
「・・・もう、ひどいことして、まーくんがおちょくるのはBurdだけにしておいてよね・・・うう」

マーティンは罰が悪そうに苦笑いしながら言った。
「なかなかはっきりとプロポーズを言い出すタイミングが見つからなくてね・・・びっくりさせたくてこの計画を練ったんだが、泣かせてしまったのはやりすぎだったよ、すまない。それで友よ、返事を聞かせてくれるかな」
Miariはこくりと頷いた。
「うん、私もブレードよりまーくんのお嫁さんがずっといいな・・・」

周りのブレードたちから一層大きな拍手が沸き起こった。
祝福の言葉がしばらく止むことはなかった。
Mythic Dawnの脅威はなくなり、世界は平和になった。
しかしまだ完全に不穏分子は取り除かれていないことを、まだ誰も気付くものはいなかった。
END
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