試験結果が発表され、壇上は盛り上がっていたが、まだセレモニアルブレードの獲得者の名前をマーティンは発表してない。
気付いたMiariはマーティンに尋ねた。

「ちょっとちょっと殿下、何か忘れてない?」
「何をだ?1位まで発表は終わったが」
すっとぼけたような顔で答えたマーティンにMiariはちょっとイラッとした。
「んもー、セレモニアルブレードの発表がまだじゃない。それの受賞者もいるんでしょ!?」

「あ、ああそうだったな。Burdに黄色鎧を授けた時点ですっかり有頂天になってしまい忘れていた。すぐに発表を再開しよう」
マーティンはジョフレに向かって合格者の名前を尋ねた。
「ジョフレよ、セレモニアルの合格者の名前は誰だったかな」

「お待ちください、たしかこのページに・・・」
頑張ればきっと報われるはず。
二人がごにょごにょ話し合っているのを眺めながら次こそ自分の名前が呼ばれるだろうとMiariは信じていた。

[0回]
「ではセレモニアルブレード受賞合格者の発表を行う!」
マーティンは講堂を一望し、そしてある人物を見た。
それは、Miariではなかった。
「Caroline、セレモニアルブレードの栄冠は君の物だ、おめでとう」
「ええっ!?」「なんだって!」
「Carolineが最高賞取得だって!?」
「わ、わたしがですかぁ!?」

皆驚いていたが、一番びっくりしたのはCaroline本人であった。
「えええーなんで!?どうして!?」

Miariは思わず立ち上がって叫んだ。
エキストラ扱いだったCarolineが最高賞を受賞するなどとは、マーティン以外のここにいる者すべてが予想だにしていなかった。
マーティンはCarolineに壇に上がるように促した。

「おめでとうCaroline。セレモニアルの勇者となった気分はどうかな」
「え、ええと・・・まだ信じられなくてドキドキしています。テストも自信がなかったのに、どうして私が合格したのでしょうか」
Carolineは自分が不似合いな場所にいるのではという緊張でカチカチになっている。

「そうですよ、自分はてっきりアレがセレモニアルになるかと・・・」
横からBurdが率直な気持ちを打ち明けたが、マーティンは構わず説明した。
「試験問題にミスがあったのだが、それに気付いて指摘したのはCarolineだけだったのだ。第二次試験の問3で、油が燃える鍋に毛布を被せると私は書いていたが
『濡らした毛布を使用するのはストーブが燃えたときの緊急処置で空気遮断するためです。油の場合は濡れ布巾ですよ陛下』と答えが書かれていた。危うく私は寺院を大火事にしてしまうところだったよははは」
他の問題もなんとCarolineはほぼパーフェクトだったが、これがセレモニアル受賞の決定打となった。

「すごいな、やるじゃないか!」
「おめでとう、Caroline!」
「あ、ありがとうございます先輩方!」

セレモニアルブレードを装備したCarolineは超緊張した面持ちで皆の前に立った。
マーティンは皆に向かって言った。
「さあ、皆も拍手でセレモニアルブレードとなったCarolineを称えてくれ」

講堂内で大きな拍手が沸き起こった。
しかし、Burdは複雑な思いでその様子を見ていた。
「殿下、あのう・・・」

「なんだBurd、まぶしいな」
「まぶしいのはあなたがこんなの私に着せるからでしょ。そんなことより、取り残されたアレが気の毒なんですが」
皆が拍手する音にかき消されていたが、嗚咽する声が聞こえた。
「う・・・っうえーん・・・」

「殿下どうするんですか、泣かせちゃって」
泣くMiariを見てCarolineは負い目を感じ、マーティンにそっと申し出た。
「陛下、セレモニアルは私などよりもあの方に差し上げて下さい。彼女の努力は皆周知しておりますし」

「いや、セレモニアルは君がもらいなさい。気持ちだけ受け取っておこう」
マーティンはCarolineに軽く笑いかけ、壇を下りて泣きじゃくるMiariの前に立った。
「ほら、こんなところで泣くんじゃない、みっともないぞ」

「だって合格できなかったんだからくやしくて当たり前じゃない、うわーん!」
マーティンは呆れた顔になった。
「あれで合格できると思っていたのか?友の成績は最下位だったんだぞ」
「試験があること自体まーくんは私に黙っていたいたじゃない!ずるいわ、それで合格できるはずなんてないじゃないの!!」
「合格できないとわかっていたのなら、なぜ試験を受けたんだ」

「だって、私だけ仲間はずれにされるのが嫌だったんだもん。ブレードなら昇進試験を受けて当たり前じゃない、うう・・・」
大喧嘩になりそうなまずい雰囲気になってきた。
皆はマーティンがMiariをどうなだめるのか固唾を飲んで見守った。
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