~これまでのあらすじ~
大企業Daedraの買収の手が迫るBruma支部を死守すべく、有力な社員を各支部から派遣するよう応援を要請してこいと、インペリアルブレードセキュリティサービス(通称IBSS)のJauffre会長直々の特命を受けた営業2課課長Miariは、特命営業活動を確実に遂行すべく立ち上がった!

Miari課長の活躍で、各地で進められていた大企業Daedraによる横暴なOBLIVION GATE開発計画は次々と中止に追い込まれ、各都市から賞賛の声と共に派遣社員の支援を受けることが出来た。
そして、残すところは今やSkingrad支部からの応援のみ。
[0回]
特命課長Miariにとって、Skingrad統治者であるHassildor伯爵は以前から非情に気になる特別な存在である。
しかし、滅多に姿を見せず、普段は寝室に忍び込むぐらいしか会う手立てがないほどのシャイな性格の持ち主であり、手強い相手だ。
しかし、今度ばかりは彼もMiari課長に会わざるを得ないだろう。
今回の任務は、そんなHassildor伯爵に会う、またとないチャンスである。
Miari課長、この日ばかりは苦になる外まわり営業も楽しくて仕方がない。
Brumaへの派遣を頼むのだから、依頼元であるBruma警備保障のBurd専務を伴なって、Miari課長はSkingrad城へと営業に赴いた。
「私は、Hassildor伯爵に面会するのは初めてだが、貴公は何度かお会いしたことがあるとか。どのような人物なのですか」

「どうっていうと・・・滅多に人前に姿を見せないシャイな性格の持ち主って所かしら」
「はぁ?シャイだって?なんだか一癖ありそうだな」
「ええ、ちょっと変わってるわね。だからSkingradの住人も伯爵を見たことが無い人が多いし、城の人も会えるのはごく一部の人なの」
伯爵の正体がバンパイアであることはBurd専務には黙っていた。
実際会ってみれば気が付くだろうし、伯爵からそのことに関して無意味に他言するなときつく言われていたからだ。
秘書に伯爵への面会を頼むと、すぐにHassildor伯爵が奥から現れた。

「なんだ?OBLIVION GATEの件で密使が尋ねてきたというから出て来てやったのに、なぜおまえがいる」
「伯爵、お久しぶりですぅ」
「失礼する」

「ああッ!伯爵お待ちを!!私を前にしたからってそんなに照れる必要はございませんわッ!!」
「ははは、面白いほどエライ嫌われようですな」

「違う!!あれは嫌っているんじゃなくて、照れてるの!!」
とにかく話をしなければならないので、代わりにBurd専務が交渉してくるからと、伯爵を追いかけた。
「誰だね君は、ここらでは見かけん身なりをしているが」

「私はBrumaガードキャプテンのBurdです。Hassildor伯爵にSkingradからBrumaへの援軍をお願いしたく、同胞と共にこちらへお伺いしました」
伯爵はまじまじとBurd専務の姿を見て、呆れたように言った。
「君はアフォか?その場違いな格好でBrumaガードの隊長と言われても、私は信じることは出来んな」
「ア・・・アフォですと?それは心外・・・い、いや、伯爵がそう思われるのはごもっともですな。失礼しました、少々お待ちを」
そう言ってBurd専務は営業用のアタッシュケースからBruma警備保障の制服を取り出し、名刺代わりに見せた。

「ふむ、信じるとしよう。しかしなぜBrumaガード隊長の君がそんな鎧を着けているのかね?」
「・・・これにはいろいろとワケがありましてな、説明すると長くなるかと」
「いや、かまわん。是非話してくれ」
私は二人の会話を遠くから眺めていた。

何を話しているのだろうか?
時折、冗談でも言っているのか談笑しながら二人は長々と話し合っている。
ま、まさか・・・このまま仲良くなって、私の伯爵を取ったりしないわよねBurd専務!(嫉妬)
「伯爵と話をつけましたよ、貴公と話をしてくれるそうだ」

私がイライラしだした頃、やっとBurd専務が戻ってきて告げた。
「で、なぜ君がこのようなお使いをしているんだ?」

私は伯爵に、Jauffre会長から特命を受けてここに営業に来たことを説明した。
「Brumaが大変な状況なのは分かるがね」
伯爵は苦渋の表情を浮かべた。

「我が都市Skingradは、すでに近くのOBLIVION GATEからDaedraの侵攻を受けており他の都市に援軍を送る余裕などない、諦めてくれ」
「伯爵、そのGATEの脅威が無くなれば、我々の都市に応援をお願い出来ますか?」

Burd専務が私の後ろから伯爵に声を掛けた。
「もちろんだ、そうなれば喜んで選りすぐりの兵士をBrumaに送ろう」
「じゃあ、私がGATEを破壊してくるわ」
私は特命を受けているのだから、それくらい、たやすいことよ。
「君が行くというのか?さすが命知らずのアフォだな。せいぜい道に迷ってー・・・ああ、GATE内ではなく、そこに行くまでの道の話だ。期待をさせておいて無理でした、などと呆れた結果にならんようにな」
そう言うと、伯爵は奥の部屋に去ってしまった。
ああ・・・もっとお話したかったのに、どうしてそうシャイなのかしら。
「貴公、それ以上伯爵に嫌われる前に早く仕事を済ませた方がいい」

「失礼ねー嫌われてなんかないって言ってるでしょ」
「いや、嫌われてますぞ。先ほど伯爵と話していた時に、貴公のことをアフォだのなんだの歯に衣着せず言ってましたからな、ははは」
ムカ。
さっきの二人の会話中の笑いはもしかしてそれだったのか?
「伯爵はシャイだから、あんな言い方でしか私に対して愛情表現出来ないのよ、わかった?!」
私はBurd専務に言い返した。
伯爵に嫌われる理由など
まったく思い当たらない。
そうよきっと、これをきっかけにHassildor伯爵との関係に進展があるに違いないわ。
私達は足早に、近くにあるOBLIVION GATEへと向かった。
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