3人組はナイフを抜き、Burdを取り囲んだ。
「おっさん、俺たちはこれくらいのオモチャいつも持ち歩いてんだよ。でもな、謝るんならコイツを引っ込めてもいいぜ?」

チンピラたちはナイフをちらつかせBurdを脅したが、Burdは毅然とした態度で言い返した。
「よせよせ、そんなもの子供が使うと自分で怪我するだけだぞ」
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「なに?口の減らないおっさんだな。てめー、状況わかってんのか!?」
「わかっているさ、お前達を相手にケンカするのに武器などいらんとな」
そう言ってBurdは素手のまま構えた。

「クソッ!ナメてんじゃねー!」
Burdの態度にイライラしていた1人はとうとうキレて、叫びながらナイフでBurdに斬りかかった。
「ハッ!」
Burdは間合いを見定め、その攻撃を右腕で受け流した。

2人の腕がぶつかった瞬間、ガキン!と固い物がぶつかる鈍い音が響いた。
「い、いてェ!手首がああっ!!」
攻撃を腕に跳ね返された瞬間、チンピラは手首に強烈な痛みを感じ、片方の手で押さえ込んだ。
「お前何やってんだ!避けられただけなのに痛がってたら洒落になんねーぞ!」
「でもマジでイテーんだよぉ!」
後の2人は、仲間が本気で痛がっているのでたじろいだが、2人でなら、とBurdにナイフで襲い掛かった。
が、前腕に何か仕込んでいるのか、腕にナイフが当たっても跳ね返され、一切向こうは攻撃せず防御だけなのにまったく歯が立たない。

「どうした、その程度では自分を怪我させるどころか指一本触れることもできんぞ」
Burdは構えたまま余裕の表情で3人組に言い放った。
3人組はこの男は只者ではなく、とんでもない相手とケンカしているのでは、と恐れを抱きはじめた。
「くそっ、こうなったら・・・」

男の視線は酒場のカウンターの奥で見守っているMiariに向けられた。
「このままじゃ面目丸つぶれだ。道連れにあの女を傷つけてやる」

ナイフを握り締め、ゆっくりとMiariに近づいていく。
MiariはBurdを心配してそちらに気を取られていたので、男に狙われていることに気が付いていなかった。
「ねえちゃん覚悟しな!オラァッ」
チンピラはMiari目掛けてナイフで襲い掛かった。
「しまった貴公、危ない!」

「え?きゃ・・・」
カキィィン!
金属とガラスが衝突した耳障りな音が響いたと同時に、ナイフが宙に舞った。

「なに・・・っ」
チンピラのナイフは、突如現れた黒ローブの男が持った酒ビンに跳ね飛ばされていた。
「ま、まーくん?」

「・・・友よ、油断は禁物だぞ」
いつの間に戻ってきたのか、助けてくれたのは地下で酔い潰れていたはずのマーティンだった。
「怪我はないか?」
ちらりと横目でマーティンはMiariを見た。

彼のその表情は、とても泥酔していたとは思えない真剣な顔つきをしていた。
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