「殿下、もう止めなさいって!」
Burdが心配になってボトルをマーティンの手から取ろうとすると、マーティンはボトルを抱きかかえたまま文句を言った。

「うるさいぞ!俺だって飲みまくって煩わしい日常を逃れたい時があるんだヒック」
「うお、殿下の一人称が『俺』に変化してる!?」
心配になってMiariも声をかけた。
「まーくん!まーくん大丈夫?酔っちゃったの?目が座っちゃってるわよ><」
「コラ、そこのお嬢ちゃん、俺は全然酔ってないぞ。酔ってるのはチミたちの方だ」

「あのですな、我々は確かに酔ってはいますが、殿下ほどではありません」
なだめるBurdを酔っ払い殿下はジロリと睨んだ。
「なにぃ?鋼鉄のケツよ、もう一度言ってみろ。何が俺ほどではないのだ。顔か?色気か?尻か?それとも髪の量か?フサフサなのは負けはせんぞ」

「お言葉ですが、自分は顔も色気も髪も殿下に負けておりません。ケツだって殿下に負けていませんな。自分でも形良く力強いケツだと自負しております」
「・・・お前の尻など嫌いだ。お前の鋼鉄の尻を触ってしまった俺の不憫な気持ちがわかってたまるか・・・ウッ(´;ω;`)」
「貴方が勝手に触ったんでしょ?言っておきますがな、私の引き締まったケツはまるで神の彫像のようだとBrumaの婦人たちの間で大好評だったんですぞ」

「ケツがなんだ。脱げば俺の方が凄くてモテモテだ。俺がKvacthにいたころはお前が想像出来ないほどマダム達にモテていたんだ」
マーティンは酒の勢いもあってか、やたらBurdに絡んだ。
「なぬ?体のことで自分と勝負しようとは聞き捨てなりませんな。どうやらNordの体の凄さをImperialの貴方は御存知ないようだ。ここは一発脱いで勝負してもよろしいのですぞ」
「よかろう、その勝負受けてやろう。俺の美体をしっかとその目に焼き付けておけ!」

2人が本気で脱ぎそうな気配になってきたのでMiariは慌てて止めた。
「キャー!もう、まーくんもBurdもなんで脱ごうとしてるのよ!」
「止めるなお嬢ちゃん、これは我々男同士の真剣な戦いなのだ、こやつに俺の素晴らしい肢体を見せて泣かせてやらねばならんヒック」

「泣くのは殿下ですがね!小生意気な殿下に私の方が断然イケてることを教える良い機会です!」
なぜそんなしょうもない戦いに2人が熱くなっているのかわからなかったが、ここでそんなことをされたら大変だとMiariは思った。
「だからって脱いじゃだめ!ガードが来て二人とも捕まるわよ!脱ぐならホテルに帰ってからやってちょーだい!>Д<」

「・・・そうだな、こんなことで捕まってはSeptim家の末代までの恥となってしまう。帰ってからサシで勝負といくぞBurdよ」
「いいでしょう殿下。二度とその生意気な口が聞けないように、立ち直れないほど思う存分見せ付けてやりますからな、覚悟してなさいっ!」
「はいはい、わかったから2人とも落ち着いてお酒飲みましょうね!まーくんは酔いすぎよ。Burdもあまりまーくん苛めないで。大人気ないわよもう!」
BurdはちらりとMiariを見て言った。
「貴公、以前から気になっていたのですが、この際一言よろしいですかな」

「なに、Burd」
「それですよそれ。なぜ私だけいつも呼び捨てなんですか?マーティン殿下はまーくんって可愛く呼ばれてるのに、自分のことはいつも呼び捨てだ」
「へ?BurdはBurdじゃない。それだけで十分かっこいいわよ。もしかして可愛く呼んでほしいの?」
Burdはちょっと俯いて、恥しそうに答えた。
「ですな、恥ずかしながら、自分もかわいい名前で呼んでいただきたいと常々思っておりました」

「貴方が?可愛いこと言うのね。うふふ、じゃあどんな呼び名がいいのかしら」
「そうですな
『ブードっち☆』とでも貴公から呼んでもらえれば自分は幸せです(照」
「そう、それじゃあ呼んであげ・・・」
「ブードっち☆」 「・・・」

「・・・」
「ブードっち☆、友に呼ばせるとはもっての他だ。可愛い名で呼ばれたければ俺がいくらでも愛情込めて呼んでやろう、嬉しいだろうブードっちよ、さあ喜べ」

「いえ、男から呼ばれてもちっとも嬉しくございません。自分は女性からそう呼ばれたいのです」
マーティンになぜ可愛く呼ばれなければならないのだと、Burdは悲しくなった。
「いい歳したおっさんがわがまま言うな。お嬢ちゃんが可愛く呼んでいいのは俺だけだ。お嬢ちゃん~これからも遠慮せずまーくんと呼んでいいからねヒック(^^*」

「殿下こそいい歳したおっさんでしょうが。自分が可愛がられてるからってノロケるのやめて下さい」
「ノロケてはおらん、嬉しいだけだ・・・むむ」
マーティンは急にモゾモゾしだした。

「どうしました、急に大人しくなって」
Burdが尋ねると、マーティンは困った顔をした。
「・・・ちょっと飲みすぎたようだな。マスター、トイレはどこだ?」
「そこの階段を下りた先にありますよ。でも大丈夫ですかお客さん、足元フラついてますよ」

「あ、私が連れて行ってあげるわ。まーくん、行きましょ」
「そうしてくれ、1人だと心細いのだヒック(^^*」
Miariが酔ったマーティンを介助しながら連れて行こうとすると、Burdにすぐ止められてしまった。

「お待ちなさい、殿下は自分が連れて行きます」
「トイレに案内するだけよ、すぐに戻るわ」
「貴公も酔ってるんでしょ?殿下と2人でそんなとこに行かせられません、危険です!殿下のことは自分に任せて、貴公はここで待っていて下さい」

「えー、まーくんおトイレに連れていってあげたいー>Д<」
2人がもめそうになってる側で、マーティンがソワソワしだした。
「ブードっち、お嬢ちゃん、どっちでもいいから早く案内してくれ、早くしないとヤバイことになりそうだ・・・フハハ(^^」
「うおお!殿下、我慢してください!こっちですこっち」

Burdは急いでマーティンを連れてトイレに行ってしまった。
「んもう、まーくんもBurdも子供みたいなんだから!マスター、お酒飲みたくなっちゃった。ピーチチューハイ下さいな」
席に戻ったMiariはマスターにお酒を頼んだ。

「はいはい、まいどあり。お嬢さんも変わった連れと知り合いみたいでいろいろと大変そうだねえ」
「そんなことないわよ。一緒にいると楽しいからいいの~!私ああいうかわいい男の人好きなのよ、えへへ(>w<」
「ほう、見た目によらずお嬢さんも通だねえ。ああいうおじさんたちが可愛くて好みなのかい?」

「可愛くて好きなのはまーくんだけど、Burdはすっごくカッコよくて~って私何ペラペラ喋ってるのかしらイヤンもう>w<」
「いいんだよ、そう嬉しそうに話してもらえるとこちらも楽しくなるからね。はい、ピーチチューハイお待たせ!」
「ありがとーいただきまーす!」

Miariはさっそくお酒を飲んだ。
味はジュースと同じだったが、アルコールが入っているので、ますますホンワカと心地よい気分になってきた。
その時、酒場の扉が開き客が入ってきた。

それは見るからに柄の悪そうな3人の男達で、店内の様子を伺いながら自分達が座る席を探していた。
中の1人が、カウンターにいるMiariに目をつけ、ヒソヒソと仲間同士で会話を交わした。

「ちょっと、兄貴、あれ見てくださいよ、いい女がいますぜ」
「む、1人で飲んでいるのか。あのケツと後姿を見るところ上物だな」
彼らはカウンターで1人飲んでいたMiariに目をつけ、側に寄ってきて取り囲んだ。

「あ、あんたたちは・・・」
マスターは彼らの姿を見たとたん、サッと青ざめた表情になった。
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