朝9時。
日は高くなっていたが、周囲は早朝の空気の冷たさがまだ残っていて寒かった。

空は青く澄み渡り、今日は絶好の旅の出発日和となりそうだ。
私はシャドウメアとマーティンの馬を寺院前の広場に牽いて話しかけていた。
「シャドウメア、殿下と殿下のお馬さんも一緒に行動するから失礼のないようにしてね」
「・・・(´・ω・`)」
「自分の方が早いぞって競り合ったりしたらダメよ」

「・・・Σ(´= ω =`)」
「殿下の用意が出来るまで少し待っててね、そろそろ来ると思うわ」
「・・・(´- ω -`)」
シャドウメアは無口なので、微妙な表情から感情を読み取るしかなかった。
[0回]
「マーティン殿下お早うございます」

「うむ、おはよう」
寺院の広間でマーティンは旅の為の支度をしていた。
「昨夜はよく御休みになられましたかな」
「ああ、昨夜は悪夢も見ず、久々ゆっくりと安眠できたよ」
「それは良かったですな。すぐにご友人と出発されるんでしょう?」

「そのつもりだが、忘れ物がないかもう一度確認しているところだ」
Burdはマーティンが眼鏡をしているのに気付いた。
「・・・張り切っておられますな、お洒落に変装用の眼鏡までされて」
「ん?眼鏡だったら変装用ではなく、私の普段の携帯品だが」

「携帯品といいますと?」
Burdが聞き返すと、マーティンは眼鏡の真ん中を指でを押し上げながら答えた。
「歳のせいか小さな文字が見づらくてな、最近はこれがないと本を読むのがしんどくてかなわん」
「老眼鏡ですか!?また殿下のイメージを崩すようなことを御自分でポロッと言ってっ!そこは伊達眼鏡だぐらい言って誤魔化していいんですよ」
「老眼鏡ぐらい良いではないか。・・・ふむ、伊達眼鏡か、いいな。友になぜ眼鏡をしているのかと尋ねられたらその手でいこう」

「あー!またアレの前ではカッコつけようとしてますな」
マーティンはコホンと咳払いをして、言い返した。
「別に格好はつけておらん。友に出来るだけ若く見られたいだけだ」
「それを格好つけてると言うのです殿下、ったく、ああ言えばすぐこう言う・・・」
「だったらああ言うな。お前がいろいろ言うからわざわざ言い返してやってるのだ。私はな、何か言われたら言い返さないと落ち着かない性分でな」
「酔っ払いみたいな御託並べてる暇あったら、準備を済ませては如何ですか。道中は十分気をつけて行かれて下さい。ご自身は敵に狙われている標的であることをくれぐれもお忘れなきように」
Burdが忠告するとマーティンは素直に頷いた。
「重々解っている。早めに戻るから安心してくれ。しかしお前も私を引き止めるのをよく諦めたな」
「殿下だけならともかくご友人にまで反発されては私に勝ち目はありませんよ。2対1では適いません」

「すまない。護衛としてお前も同行させるべきなのだろうが、今回は友と二人だけで行きたいのだ。お前とは今度二人で連れ立ってBrumaの酒場にでも飲みに行きたいと考えているから許せ(はぁと」
「・・・飲みに行こうと言うのは大変結構ですが、はぁとは余計です。鳥肌が立ちましたぞ」
「おお、鳥肌が立つほど嬉しかったか(^^」
「違います。背筋が同時に凍る方の鳥肌です」
二人のやり取りを見ていたジョフレが口を挟んだ。
「マーティン陛下、私からも少々宜しいですかな」

「ああ、ジョフレ、Baurus。君らにも余計な心配をかける事になってすまないと思っている。どうか私の身勝手な行動を許してほしい」
マーティンが謝ると、ジョフレはにこやかに微笑んだ。
「お話を聞いた時は驚きましたが、止める事はしませんよ。今度の行動は殿下ご自身の御事情とお考えがおありの様ですからね」
「私自身の謀が何もないというと嘘になるが、それを話せなくてすまない。それでも君らの許しを得る事が出来た私は幸せ者だよ」
「存分に羽を伸ばして来て下さい。敵の目が殿下に向かぬようにこちらで万全の手を打っておきましょう」
「ありがとう、恩に着る」
少し沈黙が続いた後、ジョフレはマーティンをしげしげと見て言った。
「・・・やはり似ておられますな」

「誰にだ?」
「貴方のお父上、Uriel Septim皇帝陛下です」
「皇帝陛下か・・・はは、顔が似ているのかな?」
「顔よりも、行動が似ておられます。若い頃は貴方の様に天真爛漫な御性格で、勝手にパレスを抜け出したりとお遊びもお好きで、側近や我々ブレードを翻弄させていたものです」
マーティンはそれを聞いてニヤッとした。
「血は争えないわけか。私に似ているとすれば非常に興味がある。今度父の話をじっくり聞かせてくれないか」

「いいですよ。殿下が戻られてからお話ししましょう」
「ありがとう、では私が留守の間、後を頼んだぞ」
PR