マーティンは本を読む手を止めて、横の机に座っているMiari爺を見上げた。

「はは・・・友よ、そんな所から見つめられたら気になって本が読めないぞ。どうしたのだ、Burdをちゃかしたり、奇妙な言葉は使うし、今日の友は随分と面白い行動をするんだね」
ようやくマーティンが自分に話しかけてきたのでMiari爺は嬉しそうに答えた。
「なんじゃ、ようやく話しかけてきおったか。ずっとシカトしておるからワシがいることに気付いておらんのかと思っておったぞ」

Miari爺はマーティンと目が合うとニンマリとした。
「読書に夢中になっていたからね、友が来たことにすぐ気付かなかったのだ」
マーティンが謝ると、Miari爺はムッとした。
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「友じゃと?」

Miari爺はその言葉が気に入らなかったのかブツブツと文句をこぼしだした。
「お前にとってコレは友じゃというのか?ただの友じゃと?タダトモ?なんじゃ、もっとホットな間柄じゃとワシは目算つけておったのに他愛の無い・・・ブツブツ」
マーティンは苦笑いしつつ椅子から立ち上がった。
「なんだ、友では不満なのか?」

「不満じゃ」
Miari爺は口惜しげに一言こぼした。
「ではどのような関係が良いのかな?」
マーティンが尋ねると、むぅ~、と低く呻いてMiari爺は考え込んだ。
「そうじゃのう・・・」

そして、マーティンを興味深々に眺めながら尋ねてきた。
「Cyrodiilのプリンスよ。コレはお前にとって必要な擁護者かの?」

「擁護者?私に協力してくれる者という意味かな。それなら、君は居てもらわないと困るから当てはまるな」
「ほー、そうか。ワシとコレと同じじゃな、ひょひょ」
Miari爺は意味深な笑みを口元に浮かべて、言葉を続けた。
「呼び名は友でいいぞい。ワシはもっと愉快痛快な名で呼んでもらいたいがのう。Lordだとか支配者、島国の王と呼ばれるのは飽きたのぢゃ、だから友でイイ、タダトモ、ひょひょ」
「それでー・・・」
マーティンはMiari爺にただならぬものを感じ警戒していたが、それを顔に出さない様、和やかに笑いかけながら尋ねた。
「友は、今日はどのような用事でここへ来たのかな」

「そうじゃそうじゃ、危うく用件を忘れるところじゃった。ワシは遊びに来てやったのじゃ。コレの体を借りてCyrodillプリンスの為にワシの力を使って尽くしてやろうという大人の遊びじゃ」
「私と遊んでくれるのか、それは楽しみだ。今も遊んでいるのだろう?いつもとは違う口調で別人が君を動かしているフリをする遊びをね」
「ワシは何時だって好々爺な口調じゃよ。お前が知っておる友とはまったくの別人じゃが、気にせんで良い。半分はこの女の考えでワシは動いておるからの」
「はは、面白いな友は。で、誰のつもりになって遊んでいるのかな?」
Miari爺は急に暗い顔になった。
「・・・それはお前と二人きりになってから話す。こう余所者が多いテリトリー外でワシのプリティな名前など公表しとうはない」
「・・・友ははずかしがり屋さんだな。では別の部屋に行って食事でもしながら二人で話そうか」
マーティンが誘うと、Miari爺は首を横に振った。
「食事はいらん、もうたらふく食べてきたからの。メシは終わらせたから後はフロネルじゃ」

「フロネル?」
「風呂じゃ、風呂。そして早寝早起きしたいとワシは望んでおるのじゃ」
「あいにくそんな施設はここにはないんだが・・・」
Miari爺は真剣な顔をした。
「いや、あるぞい。この寺院は、もはやワシの影響下にあるからの、ワシが望めばあらゆる物が作り出され、そこに存在するのじゃ。変な顔をしておるな。とりあえずはお前の部屋に連れて行かんか。すぐに意味がわかるじゃろう」
「・・・わかった、それでは部屋を移ろうか。こっちだ」
マーティンはMiari爺を連れて席を離れた。
「私は部屋に戻るから、君たちはそのままここに居てくれ」

側で二人のやり取りを見ていたBurdが恐る恐る声をかけてきた。
「殿下、大丈夫なんですか?ご友人と二人きりになって、もしものことがあったら・・・(汗」
しかし、マーティンは不思議な顔をして答えただけだった。
「ん?なぜ心配するのだ、私は友と遊ぶだけだぞ」
「殿下、何暢気事のたまっておられるのですか。今のご友人の様子は普通ではないのですぞ。まるで他人でしかも爺・・・」
マーティンはBurdの言葉を途中で遮って口を挟んだ。
「そんなことはない、友は軽い悪ふざけをしているだけだろう。部屋にしばらく篭るが、よほどのことが無い限り邪魔するなよ(^^」

「邪魔するなって・・・ご友人もご友人ですが、殿下も殿下ですな。なんだかんだ言って一緒に居るのが楽しいんでしょ。ちょっと待ちなさいよ貴公、二人きりだからといって変な気起こしたら、ただじゃ済みませんからな」
Burdのたしなめの言葉にMiari爺は振り向くこともなく言い捨てた。
「ワシが何をしようと勝手じゃろうが。まあ案ずるな。ワシはプリンスに危害を加える為に来たのではないからの、安心はしても良いが嫉妬はいらんぞ、筋肉ダルマ」
「まだ言ってる!だからそんな酷い呼び方止めて下さいって(泣」
そう言って、Miari爺はマーティンの後を付いて二人はホールを出て行った。
寺院の西棟の階段を上がっていったところで、マーティンの足が止まった。
正面の壁に扉があった。
「おや・・・変だな、こんな所に扉があっただろうか」

「プリンス、そこが風呂への入口じゃよ。ワシ好みの風呂場を出現させておいてやったのじゃ。お前の気に召すかどうか知らんが、喜んで使ってくれい。ではプリンス同士、水入らずで風呂を楽しむとするかの」
マーティンは驚いてMiari爺を見た。
「ま、まて・・・友も風呂に入るのか?」
「風呂に入りたいといったのはワシじゃぞ?・・・いや、コレも元々風呂好きじゃからそっちの考えかもしれんな。どうもワシの考えかコレの考えなのかどうもわからなくなってきたぞい、むぅ」
Miari爺は愛らしく首を傾げたが、すぐに顎を使ってマーティンを扉の先へ進むようにと促した。
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