Burdとマーティンの二人は、落としたガード服を探しました。
しかし、中々見つかりません。
マーティンはブツブツと文句を垂れつつ、Burdに尋ねてきました。
「Burdよ、本当にここで落としたのか?探してもまったく見つからないではないか」
「いや、だからここに落としたんですって。ちゃんと探してくださいよ。大事な服なんですからアレは」
「大事な物なら初めから落とすな、このおっちょこちょいめが」
「からかうような説教は止めて下さい・・・ったく、こんなことになるなら投げこまなければ良かった」
Burdがボソリと嘆いた言葉が聞こえたらしく、マーティンはじろりとにらみ付けました。
「なんだと?わざと投げ込んだのか?」
「ハッ・・・!い、いえ違います。落としたんですよ、うっかり」
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それからしばらくして、マーティンが何かを見つけたらしく声を上げました。

「あったぞ!お前が落としたのはこのガード服ではないか?」
そう言ってマーティンは赤いガード服を持ち上げ、Burdに見せました。
「いえ殿下、違います。私が落としたのはSkingradガード服ではございません」
「何?落としたのはガード服だと言ったではないか」

「ガードはガードでも、違う都市ガードの服です。私のはもっと明るい色のガード服ですぞ」
「ふうむ、そうか。ではもう一度探してみよう」
マーティンは池の底を眺めていて、あっ、と叫んだ。
服を拾い上げ、それを水面の上に出しました。
「見つけたぞ、明るい色のガード服だ。お前が落としたのはこれだな?」

マーティンは白いガード服をBurdに見せました。
「・・・それ、Kvacthのガード服じゃありませんか。私はBrumaガードですぞ。それも私のではありません」
Burdはこれも違うと言いました。
「Brumaガードだと?何を寝ぼけている、お前はブレードだろうが」

「今はそうかもしれませんが、元はBrumaガードです。ああもう、さっさと次を出してくださいよ殿下、次を」
「そうせかすな。ん・・・あ、あったぞ、お前の落とした服はこれだ!!(断言」
そう言って、マーティンは新品のブレード鎧を見せました。

「どうだ、これしか考えられん。お前が落とす物と言ったらこれしかない、ブレードだから、絶対にこれだ」
「・・・殿下、なぜそう決め付けるんですが。違いますよ、私が落としたのは黄色いBrumaガード服です。殿下も御存知のはずですが」

Burdはイライラを通り越し、もう呆れていました。
「黄色い・・・?ああ、もしかしてこれか?」
マーティンは黄色いガード服を足元からザバッと拾い上げてBurdに見せました。

「おお、殿下!私が落としたガード服はそれですよ!」
Burdはようやく自分のガード服が見つかり喜びました。
「これだったのか。足元に沈んでいたものだから踏んでいて見落としていたようだ、ははは」

「踏んでいたなんて、あんまりなっ!」
「Burdよ、お前が服なんぞ落とすからだろうが。これに懲りて、次からは落し物などしないようにな」
じゃあな、とマーティンは服を持ったまま、再び池の中に消えていこうとしました。
慌ててBurdはマーティンを呼んで引き止めました。
「殿下、ちょっと待ってください、服は返してくれないんですか!?私は正直に答えたでしょ!?」
「うむ、答えたな。だが、これは私が預かっておく」
「なぜですかっ」
マーティンは満面の笑みを浮かべて、Burdに言いました。
「お前が池に投げ込んだりするからびしょ濡れになってしまったではないか。これは洗濯して乾かさねばなるまい(^^」
「しまった、殿下は洗濯好きなお方だというのを忘れていた・・・」

「じゃあな~、帰り道は気をつけろよ」
マーティンは服を持ったまま池の中に消えていきました。
「ああ~、せっかく取り戻したガード服を今度は殿下に没収されてしまった・・・」

Burdはガッカリして、しばらくその場から動くことが出来ませんでした。
いくら自分が正直者でも、相手によってはおちょくられて大事な物を失うこともあるので気をつけましょう。
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この後おちょくり殿下は、さらなる刺激を求めてこちらに出張したようです。
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