斜面を下ってきた私達の前に、Sancre Torの遺跡が現れた。

辺りを窺うと、どことなく不気味で異様な静けさに包まれているのがわかる。
[0回]
目を凝らして遺跡の周囲をよく見ると、遠くの方で、何か白い物体が動いているのが見えた。
「Sancre Torはここですな。確かこの辺りはアンデットの巣窟になっていて危険かと。殿下はここまでにしておいた方が良いかと思います」
「私だけここに残れと言うのか?それは君の頼みでも聞けないな。友が入口に着くまで私も同行させてくれ」
「本気ですか!?ここはヤバいくらい敵だらけなんですよ!」
「こんな所で待たされるよりいいさ。君がいれば心強いし、それに側にブレードが1人は居ないと私は寂しいのだ」
「わかりました、では・・・ってだから私はブレードじゃありませんって!(泣)。寂しいんですか、そうですか。じゃあもうお好きなようについて来て下さいよ・・・」
「ねえ、二人で盛り上がってるとこ悪いんだけど、ここでは私も戦闘していいのかな?」
二人が楽しそうに話しているのを邪魔するの悪いなと思いながら、私は横からBurdに聞いてみた。
「何言ってんですか、当たり前でしょうが!私1人にここの敵全部任せる気だったんですか!?」
「うん。だってさっき私にすっこんでろって怒ってたじゃない、だから」
「だから、じゃありませんっ!あれはあれ、これはこれ、状況を考えなさいっ!ほら、貴公がくだらない事言うから敵に見つかってしまったではありませんか!」

Burdが遠くからアンデットが襲ってきたことに気が付き剣を抜いて構えた。
マーティンも剣を即座に抜く。
よぉーし!
Burdが殴ってもいいっていうから私も思う存分戦うぞー!(^^

私はダガーを手に、張り切ってアンデットに殴りこんだ。
Burdが言ったとおり、ここはアンデットの巣窟のようだ。
応援にスケルトン先生を呼ぼうかと思ったが、敵と区別がつかなくなり、間違えて殴ってしまいそうなのでやめておく事にした。

横目でちらちら二人の戦い方を見ると、最初と違って、上手く相手の邪魔にならないように戦っているようだ。
なんだかここは異常にここは敵が多い。
倒しても倒しても次のアンデットがどこからか現われ襲ってくる。

「Burd、どうして敵が次々来るのよ!全然戦闘終わらないじゃない!」
「私に文句言わんで下さい!こう敵の数が多い理由はLichか何かから召喚されたアンデットが混ざっているからのようですな。まずい、これじゃあキリがありませんよ!」

「じゃあ、その大元をどうにかしてよ!殿下が困ってるじゃない。なんとかしないとBurdの変な話を殿下にもっと晒して笑わせるわよ!」
「は?笑わせる?こんな時に何ワケわから・・・あぁーっ!」
Burdが戦いながら素っ頓狂な声で叫んだ。
「何よ、急に変な声出すんじゃないわよ!剣落とすかと思ったわ」
「しまっ、私としたことが忘れ・・・」
Burdは戦っていた相手のスケルトンに一撃を食らわせて粉砕させ、大慌てでマーティンの側に駆け寄った。
「で、殿下!こんな時に話しかけるのもなんですが、さっきのことでお尋ねしたいことが!」

「今忙しい、後にしてくれ(^^」
マーティンは笑顔でBurdにあっさり返した。
「そ、そうですな。では後で」
「Burdこんな時に何やってんのよー殿下困ってるじゃない!マジメにやんなさいよ」
「貴公が余計なこと言うからでしょ!ああ、もう、気になって戦闘が手につかなくなりそうじゃないですか(泣)」
Burdはそう泣き言を言いつつも、さすが戦闘は手馴れたもので、もの凄い勢いで敵を倒していった。
慌てているのが、よくわかる。
すぐにLichを見つけ出して倒し、周辺の敵はすべて片付けられてしまった。

「はー・・・これでもうすべて片付けましたな?ここまで敵だらけとは思いもしませんでしたよ」
「おつかれー、Burd」
「Burd、君のおかげで無事乗り切れたのだ。で、何か私に尋ねたいことがあったのではないか?」
「ハッ!そ、そうでした。殿下、さっきの話なんですが、私がお尋ねした・・・ちょっと、貴公、何見てるんですか」
Burdは私が見ているのに気がついて、言いかけていた言葉を止めた。
「え?なんでもないわよ。ほら、殿下に言うことあるんでしょー。早く聞いてみたらぁ?」
「貴公がそんなに睨んでたら怖くて言い難いでしょうが。あっち行ってなさいよ」
「やだ。面白そうだから見とく」
「はぁ・・・言っても聞きそうにありませんな、わかりましたよ。殿下、先ほど聞きそびれてしまいましたが、これが殿下に話した私の笑えるような面と言うものを話してほしいのです」
「笑える面?ああ、そんな話をそういえばされたな。あれは確か・・・」
「なんですか?」
マーティンは少し考えて、Burdに答えた。
「・・・出てこないな。さっきまで憶えていたのだが、戦っているうちに忘れてしまったようだ」
「忘れんでくださいッ!・・・し、失礼(汗)。ああもう、わざとやってませんか?お二人共もしかして私をからかって楽しんでません?(泣)」
「そんなことはない。しばらく考えてみよう。すぐに思い出してあげるから、その間、君は休んでいるといい」
そう言って、マーティンは側から離れ、1人で思案しはじめた。
「まったく・・・。今度はちゃんと思い出して話してくださいよ?」
Burdはマーティンの背中に向かって懇願するように言うと、壁際の方に行って体をもたせ掛けて黙ってしまった。
私は、1人でたたずんでいるマーティンの側に近づいた。

この場所で、どうしても彼に伝えたい、ある言葉があったのだ。
それを言わなくてはならない・・・。
PR